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「朝日新聞の大研究―国際報道から安全保障・歴史認識まで」古森義久、井沢元彦、稲垣武

2018/03/13公開 更新
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朝日新聞の大研究―国際報道から安全保障・歴史認識まで


【私の評価】★★★☆☆(77点)


要約と感想レビュー

朝日新聞には共産党シンパが多い

古森さんは、元毎日新聞・現産経新聞社員。井沢さんは、元TBS記者。稲垣さんは、元朝日新聞社員です。2002年発刊された古い本ですが、15年前に従軍慰安婦のウソを明確に指摘している点は評価できるのではないでしょうか。朝日新聞には共産党シンパが多く、共産勢力のプロパガンダ誌であるとしています。


戦争直後からの共産党のフラク活動(団体の中にフラクションと呼ばれる党員の小グループを組織し,フラクションの組織的活動によって、団体の活動方向を共産党の方針に合致させようとする活動)で、マスコミ内部に共産勢力、党員が急増しました。朝日には、共産党の影響力が強い労働運動の中核となる産別会議(全日本産業別労働組合会議)の議長になった論説委員の聴濤克己氏がいたのです。戦後、GHQによる報道機関のレッドパージで、朝日新聞はこ104人がパージされましたが、パージ後も、そのシンパは朝日の内部に残存していたのです。


共産党が浸透しているといわれる教職員組合を、全面的にバックアップしてきたのが朝日新聞です。2002(平成14)年に宮崎市で開かれた日教組の教研集会では、国旗・国家に反対した運動の成果や自衛隊に入隊を希望した高校生を「人を殺すことになるかもしれないところには進んでほしくない」と説得して断念させたケースを"成果"として報告しています。


また、一般の国民が、朝日新聞の記事を見て圧力をかけたりデモをしたりすれば、言論弾圧事件ということで徹底的に問題にされるのに、朝鮮総連に取り囲まれると、実態を曲げずに書いた人を悪者にします。そして右翼は「右翼」と書くのに、左翼系とか朝鮮総連系は「市民団体」と朝日新聞は書くのです。


・これまで日韓関係をいちばん妨害してきた張本人は、朝日新聞である・・日韓関係では、せっかく何度か日韓関係が良くなりかけたときに、必ずそれをつぶすような形で騒ぎを起こしてきました・・従軍慰安婦がその典型です・・(井沢)(p250)


朝日新聞の報道と現実が全く違う

彼らが朝日新聞をこのように見るようになったきっかけは、海外に出て取材をすると、朝日新聞の報道と現実が全く違うことがよくあるというのです。南ベトナムの市民は、解放戦線側を支持していると思ったら、現地では全く支持していない。アジア諸国が靖国参拝に怒っているのかと思ったら、批判しているのは中国と韓国だけ。つまり、朝日新聞は、ある一方側の情報をそのまま紙面に載せているのではないか、という疑いを持つようになったというのです。


例えば、2001年の小泉首相の靖国神社参拝を受けて、山崎拓自民党幹事長が東南アジア各国への説明に外遊したとき、インドネシアの副大統領は「日本軍がやってきて、オランダの植民地支配が終わった」と述べたという。「アジア各国が日本の靖国問題などを懸念している」という朝日の論調と実態はぜんぜん違っていたのです。


朝日新聞、共同通信等は、日本の安全保障の新たな動きや、教科書や靖国参拝に関連して、中国政府の記者会見で、中国政府の抗議声明、批判発言を引き出すような質問をよくするという。例えば、「日本政府がこういうことをしている。日本の国内でこういう少々、危険な動きが起きている。それに対して中国政府の見解はどうでしょうか」という質問です。しかしこの種の記者会見で中国の軍拡問題や人権問題、民族問題などには一切触れないのです。


・日本で朝日新聞掲載の本多勝一氏のルポを読んで、南ベトナムに1972(昭和47)年4月に行ってみて、いろいろ見聞し、体験すると、「現地の態度は日本で読んでいたこととぜんぜん違うじゃないか」ということばかりだったのです・・日本での報道を読んで知る以外になかった私は「南ベトナムの民衆は、みないわゆる解放戦線側を支持している」と思いこんでいたのです。ところが、彼らはぜんぜん支持していない・・(古森)(p90)


平和・人権活動家の背後に何があるのか

君が代斉唱反対。沖縄基地反対、自衛隊反対、安保法制反対、破防法反対、秘密保護法反対。憲法改正反対。外国人参政権賛成。平和、人権、反差別といった理由で活動している人たちがいますが、その背後に何があるのか考えなくてはならないのだと感じました。


朝日新聞は、破防法(破壊活動防止法)に関して、破防法が自分たちにも適用されることを危惧して強硬に反対する過激派や左翼勢力の代弁者として、一貫して適用反対の立場をとってきました。


また、朝日新聞の中国特派員だった秋岡家栄氏は、中国共産党の機関紙『人民日報』の日本での販売店を運営しています。同じく朝日新聞記者だった横堀克己氏は1981~84年まで北京特派員を務め、定年で朝日を辞めて、いま北京の政府系の日本語版雑誌『人民中国』の編集者となっています。この雑誌は中国共産党当局の対外プロパガンダ出版物だという。


古森さん、井沢さん、稲垣さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・朝日新聞は、中国の文物展を日本で何回か開催していたわけです。文物展が開催できるように、報道も歪めたということがあると思います・・出版担当重役の高津幸男氏が私に「あのとき発掘文物を紹介する大型の出版計画があって、ちょっと悪口は言えなかったんだよ」と言いましたから(稲垣)(p57)


・朝日がよく使う古典的な手法に「戦車一台を買うカネがあるなら、その分を社会福祉に回すべきだ」というのがあります・・まったく別な二つの事案をいかにも相関関係があるかのように、あえて混同させて、自分の政治主張の材料に使っている一種のプロパガンダです(古森)(p159)


・海外の生活を経験して、日本人であることを真剣に意識させられ、朝日新聞のスタンスのウソがよくわかったという人たちを私はたくさん知っています(古森)(p331)


・日教組のやっている非常に悪質なことで、表に出ない具体例を挙げてみます・・自衛隊の子弟に対する教師のいじめ・・まず社会科の授業で「軍隊というのは人殺しだ」という話をさんざんするわけです。そのすぐあとで、ひどい場合は児童・生徒のいる前で・・「おまえのお父さんは自衛隊員だろう。なんでそんな人殺し稼業をやっているのだ」と言うのです・・(井沢)(p181)


・日本国民のわれわれは講和条約とか安保条約とか、重要な選択に直面した際、まず朝日新聞の主張をみて、とにかくその主張とは反対の道を選べば、だいたい日本はうまくいく・・(古森)(p21)


朝日新聞の大研究―国際報道から安全保障・歴史認識まで
古森 義久 井沢 元彦 稲垣 武
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【私の評価】★★★☆☆(77点)


目次

第1部 朝日新聞の戦後責任
第2部 朝日新聞の巧みな報道手段
第3部 朝日新聞が描く日本に未来はあるか



著者経歴

井沢 元彦・・・昭和29年、名古屋市生まれ。早大法学部卒。TBS入社後、報道局放送記者時代『猿丸幻視行』で第26回江戸川乱歩賞受賞。その後退社し執筆活動に専念。歴史推理・ノンフィクションに独自の世界を開拓。


古森義久・・・1941年東京生まれ。慶応義塾大学卒業後、ワシントン大学院留学を経て、毎日新聞社会部記者、サイゴン・ワシントン両特派員、政治部編集委員を歴任。1987年に産経新聞社に移り、ロンドン・ワシントン両支局長、初代中国総局長を経て、2000年12月からワシントン駐在編集特別委員。1981~82年、米国カーネギー財団国際平和研究所上級研究員


稲垣 武(いながき たけし) ・・・昭和9年、埼玉県に生まれる。京都大学文学部西洋史学科(技術思想史専攻)卒業。朝日新聞入社、「週刊朝日」副編集長をへて平成元年退社、フリージャーナリストとなる。「悪魔祓いの戦後史」で第3回山本七平賞受賞。


朝日新聞内部告発関連書籍

「朝日新聞 日本型組織の崩壊」朝日新聞記者有志
「崩壊 朝日新聞」長谷川熙
「朝日新聞の大研究―国際報道から安全保障・歴史認識まで」古森 義久、井沢 元彦、稲垣 武
「「朝日」ともあろうものが。」烏賀陽 弘道
「朝日新聞血風録」稲垣 武


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