「逆検定中国国定教科書―中国人に教えてあげたい本当の中国史」井沢 元彦、金 文学
2005/11/04公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(79点)
要約と感想レビュー
海外に住む日本人が100万人を超えたそうです。中国で仕事をしている人も、なかりの数になるでしょう。そうした交流が進むなかで、中国で仕事をしていくなかで、過去の歴史について質問されて、回答に悩む人もいるのではないでしょうか。
中国ではかなり歪曲された教科書で「反日」教育がされているようですので、そのような環境で教育された中国人に対応するのは、骨が折れることに違いありません。そうしたときに、日本人が欲しいのはQ&A(想定問答集)ですが、この本が、その役割をしてくれると思います。
たとえば、日本の軍国主義や、「日本が中国を侵略した」と言われたら、日本が戦後一貫として平和主義であったということを主張すべきでしょう。中国のほうが戦後、侵略や戦争を行ってきたではないか、と言うべきです。弱い者は叩く。弱みを握ったら、徹底して攻撃するのが中国流なのです。
・日本は中国に対して、「私たちは戦後60年間、平和主義を貫いてきた。でもあなたたちは、反対に侵略や内乱が絶えないではないか。あなたたちの問題のほうが大きいではないですか」とはっきり批判すべきです。そういうことを言わないから、中国側はいじめるんですよ。(金)(p229)
過去の日本人の残虐さを指摘されたら、妊婦の腹を割いたり、紐で人間をつないだり、板でクビをはさんだりするのは日本ではやらないと主張すべきなのです。そもそも「倭寇」はほとんどが日本人の真似をした中国人であり、日本人の倭寇は不当なことに対しては武力で威嚇しますが、基本的には普通の商人であったのです。
・中国に多大な被害をもたらした「倭寇」というのは、八割から九割が中国人なんですよ。・・・例えば、妊婦の腹を裂いて遊んだとか。・・・少なくとも牧畜民族ではない日本人は、あまりそういうことはやらないんですよ。(井沢)(p237)
中国で仕事をしていると、なにかにつけて日本が侵略したとか、中国は日本に戦争賠償を求めなかったなどと言い出して、交渉を優位に進めようとする人が多いそうです。私たち日本人はもっと勉強して、日本が満州に学校や鉄道、病院などのインフラをそのまま中国に移転したことを説明できなくてはならないのでしょう。
中国で仕事をしている方にお勧めの一冊ですが、私自身は、近いうちに中国へ行く計画がありませんので、星3つとしました。
この本で私が共感した名言
・台湾も本当は中国共産党は一回も支配したことなどないのに、「統一」と言っていますよね。だから「統一」を使うのは、中国の非常に巧妙な手口なんです。台湾にしても、「一つの中国」というのは明らかに侵略ですよね。(金)(p48)
・ここ最近10年来、中国と日本の関係は、日本の「友好」と中国の「反日」で一貫してきた。率直に言って、「反日」を叫ぶ中国は、日本の教科書を叱責したり非難する前に、自国の歴史観や、教科書における意図的な歪曲、捏造を反省しなければならない。(金)(p270)
・私は中国人ほど好戦的な民族はいないと思います。・・・「日本が侵略した」と言っていますが、日本と中国の戦いも、ある面でいえば中国の反日、あるいは侮日といった挑発によって、日本が巻き込まれた構造なのだと思います。(金)(p39)
祥伝社
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【私の評価】★★★☆☆(79点)
目次
1章 中国における「歴史教育」とは何か
2章 国定教科書の「歴史記述」を検証する
3章 教科書以外に見る中国歴史教育の実態
4章 中国人の取り扱い方マニュアル
著者経歴
井沢 元彦・・・昭和29年、名古屋市生まれ。早大法学部卒。TBS入社後、報道局放送記者時代『猿丸幻視行』で第26回江戸川乱歩賞受賞。その後退社し執筆活動に専念。歴史推理・ノンフィクションに独自の世界を開拓。
金 文学・・・1962年生まれ。中国の瀋陽で韓国系三世として生まれる。東北師範大学卒業。6年間大学講師を務め、来日。同志社大学院、広島大学院で学ぶ。現在、呉大学講師。
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