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【書評】「日経新聞と財務省はアホだらけ」高橋洋一, 田村秀男

2026/01/16公開 更新
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「日経新聞と財務省はアホだらけ」高橋洋一, 田村秀男


【私の評価】★★★★☆(87点)


要約と感想レビュー


財務省が増税のためにやってきたこと

本書は2019年の8%→10%の消費増税の前年、2018年に書かれた財務省OBと日経新聞OBの対談です。日経新聞OBの田村さんは、デフレの現状から見れば、さらに増税を急ぐのは自殺行為同然と批判しています。


財務省OBの高橋さんは、財務省が消費税増税するためにやってきた工作事例を説明しています。


例えば、5%→8%の増税では財務省は経済対策を行うことで経済成長は止まらないと説明しており、安部首相が騙されたと表現しています。


財務省は、消費増税が必要な理由は、財政再建のためだと説明してきました。ところが、高橋さんが大蔵省で日本の負債と資産(バランスシート)をまとめたとき、負債から資産を引くと、財政赤字は半分以下になりました。高橋さんは上司から都合が悪いので、口外しないように指導されたという。


また、バランスシートには日銀を連結していましたが、後で日銀を連結から抜いたという。理由を聞くと、日銀が国債を持っているので相殺され、財政が悪いと言えなくなるからだったという。


さらに、大蔵省は1990年代まで「消費税を社会保障目的税としている国はない」と主張していましたが、1999年の小沢一郎自由党党首に「消費税の社会保障に使う」と説明して、増税の根拠としました。


本来、世界的な流れは、社会保障を保険原理で運営し、保険料を払えない人の分を所得税の累進部分で補填するというものです。社会保障のための増税は必要ないのです。


IMFが各国の財政状況について、負債だけではなく資産にも注目したレポートを公表しました。「財政モニター報告書」(IMF Fiscal monitor, October 2018 managing Poublic Wealth)・・日本の負債額は年金債務を除くと、国内総生産(GDP)の287%に相当するけれども、それは日銀など政府機関が半分以上を保有している。だから資産と差し引きした「純資産」はほぼプラスマイナスゼロ・・財政再建は終了しているとわかる(高橋)(p130)

日経新聞はなぜトンチンカンなのか

財務省が恐れるのは、新聞の社説で財務書にとってまずいことを書かれることです。


そこで財務省は、論説委員を審議会に入れます。そして、審議会のレクや海外出張で論説委員を財務省の言うとおりになるポチに養成してきたというのです。最終的に、財務省は日本のマスコミの論調をコントロールしてきたと、高橋さんは説明するのです。


新聞社側も阿吽の呼吸で、日経新聞で社長になった人はすべて財務省記者クラブ出身であり、財務官僚トップやOBと親しくならないと出世できない構造になっていると田村さんは解説するのです。


2010年に民主党の菅直人首相が、「日本はギリシャになる」と消費税10%を主張しましたが、日経、朝日、毎日も同調する紙面作りをしていました。これも、財務官僚の誘導があったわけです。最近は、高市政権を批判する論調が多いのですが、これもどこかの組織からの誘導があるのでしょうか。


私が日経新聞はトンチンカンだとすごく感じたのは金融政策について・・なぜかというと、金融機関のエコノミストから話を聞いているからなんですよ(高橋)(p56)

米中貿易戦争の本質

日経新聞がトンチンカンなのは、中国が進める一帯一路やAIIB(アジアインフラ投資銀行)について「バスに乗り遅れるな」と日経や朝日が主張していたことからもわかります。田村さんは、AIIBは中国共産党主導の銀行であり、中華帝国の再建を目指しているわけで、日本の国益にならないことが、なぜわからないのかと疑問を呈するのです。


さらに、田村さんは日本とアメリカが主導するADB(アジア開発銀行)がメコン川流域の開発に資金を出して、中国企業の進出を助けていることを批判しています。当時の黒田東彦総裁、中尾武彦ADB総裁の対中国融和路線が許せないのです。


高橋さんは、米中貿易戦争の本質は、「中国はアメリカの技術を盗んでいる」というアメリカの主張を引用し、つまり資本取引を自由にさせろという中国が絶対にのめない要求であるとしています。つまり、米中貿易戦争の本質は、大国の覇権争いであり、絶対に妥協はないということなのです。


高橋さんは日本の民主党政権時代の為替の政策ミスで円高となり、民間は仕方なく中国に進出したものの、中国で会社の支配権は持てず、上場もできず、金を出すだけで、賄賂も必要で、撤退しようとすれば、すべて置いてこないといけないという失敗事例を数多く見てきたという。


日経は記者を中国に派遣して、中国に都合の悪いことを書くと出入り禁止になるので、そういうことは書かないのです。金融機関も中国に進出していて、中国の悪口は絶対に言えず、中国の株式市場をもてはやすものの、実際には、中国では資金の海外送金が厳格に規制される不自由市場なのです。


田村さんは、日経という日本を代表する経済紙が、日本企業が中国から撤退に苦労していることを報道しないで、一帯一路への日本企業の参加を称賛する報道することを非常に大きな問題であると批判するのです。


政治家の中には中国にコミットした、いわゆる親中の人はすごく多い。石破茂氏も親中です・・二階俊博さんの要請で、財界人を大勢中国に連れて行きました(高橋)(p38)

大蔵省の体験談がすごすぎる

高橋さんは財務省OBなので、その体験談がすごすぎて背筋が寒くなります。


例えば、山一証券の破綻のとき高橋さんは証券局にいたという。山一証券が「飛ばし」をしたというなら、有価証券報告書を審査していた財務省も知っているはずであり、直感的に「飛ばし」は大蔵省がコントロールしていたのかな、と感じたという。


また、日銀がバブル以降、金融政策を引き締める必要がなかったのに引き締めたことについては、責任は財務省と日銀にあり、放置した責任は政府にあるとしています。当時、大蔵省の銀行局の中でもバブルは日銀の金融緩和は関係ないと言っていたという。


バブルは株価が上がっているだけで、インフレ率が3%にもなっていないのに、日銀は一般物価と資産価格の上昇を混同してバブルは日銀のせいだと思い込んでいたというのです。


高橋さんがなぜわかるかといえば、アメリカの大学でバーナンキ教授に、インフレ目標に株価は入っていなから、株価が上がったからといって金融を引き締めたらダメだよと教えてくれたというのです。


日銀の三重野総裁はそれがわからず、マスコミは「平成の鬼平」と持ち上げ、日本人は40年ともいわれるデフレに苦しむことになるのです。


リーマン・ショック後の金融緩和を行ったFRBのバーナンキ議長と円高を放置した日銀の白川方明総裁の差が大きすぎて落胆しました。高橋さん、田村さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・脅しは簡単・・テクニックとしては交際費を調べる。例えばテレビ局ではキャスター関連の交際費を調べるのです・・・「これは本当に交際費ですか?」と言う。そうすると皆さん、テレビではもう話さなくなるんです(高橋)(p232)


・リーマン・ショック後の超円高・・当時各国中央銀行は失業率の上昇をおそれ大幅な金融緩和を行ったが、日銀はやらなかった・・・これで苦しんだ企業は多かった。しかし、その無策を反省するでもなく、「実質為替レートでみたら大した円高でないので、それを言うと叩かれるから放置した」という趣旨の記述が(日銀の白川方明前総裁の)著作中にある(高橋)(p7)


・日銀の白川方明前総裁・・・・・世界の常識は「金融政策が雇用政策」であるが、白川氏の著作や発言には雇用の話はまず出てこない。しかも、著作では「インフレ目標2%の意味がわからない」という内容が書かれている(高橋)(p5)


▼引用は、この本からです
「日経新聞と財務省はアホだらけ」高橋洋一, 田村秀男
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高橋洋一, 田村秀男 (著)、産経新聞出版


【私の評価】★★★★☆(87点)


目次


序章 日経新聞を読むとバカになる
第1章 デフレと消費増税はアホが原因
第2章 財務省と日経は欺瞞だらけ
第3章 財務省と日銀とバブルつぶし
第4章 日経、財務際、学者のトライアングル


著者経歴


高橋洋一(たかはし よういち)・・・(株)政策工房会長、嘉悦大学教授。1955 年、東京都生まれ。東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980 年、大蔵省(現・財務省)入省。大蔵省理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、内閣参事官(首相官邸)などを歴任。小泉純一郎内閣・第1次安倍晋三内閣で経済政策のブレーンとして活躍。


田村秀男(たむら ひでお)・・・産経新聞特別記者・編集委員兼論説委員。高知県出身。早稲田大学第一政治経済学部卒。日本経済新聞ワシントン特派員、米アジア財団上級フェロー、日経香港支局長、編集委員、日本経済研究センター欧米研究会座長(兼任)、早稲田大学政経学部、同大学院経済学研究科の各非常勤講師を歴任。現在、早稲田大学オープンカレッジ講師を兼ねる。


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