【書評】「外国人雇用のトリセツ」井上直明
2026/01/09公開 更新
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【私の評価】★★★★☆(83点)
要約と感想レビュー
日本は外国人就労条件が緩い
著者の運営するワールドチアーズ協同組合は、「外国人技能実習生」と「特定技能外国人」の受け入れを支援しています。技能実習生は、3年間は同じ会社で働いて、技能を磨くもの。特定技能外国人は、介護、建設、農業、製造業など日本語能力や技能が求められます。
実は日本よりも中国、韓国、欧州のほうが給与水準が高いのですが、なぜ日本に外国人が来るかといえば、就労条件が緩いからです。日本企業に採用してもらえれば、誰でも来られると言っても過言ではないというのです。
中国は韓国以上に給与水準が高く、さらにヨーロッパはそれよりも高いのですが、外国人が働くための条件が厳しいために、選択肢から外れてしまうのです。日本の場合、企業に採用してもらえれば誰でも来られると言っても過言ではありません(p15)
誰でも来られる技能実習生
問題は、誰でも来られる技能実習生でしょう。技能実習生は、日本語力は高いとは言えません。したがって、技能実習生は即戦力にもなりません。1年経てば「いてくれて助かる存在」に成長するという。
さらに問題は、技能実習生は、本来3年間、仕事を学ぶはずですが、失踪するケースが多いのです。2022年には約34万3000人の技能実習生のうち、およそ2.6%にあたる9006人が職場から失踪しています。
技能実習生は日本に来る際に、日本語学校の費用や、本国の送り出し機関に手数料を支払うために、日本円で20万円から70万円程度の借金をしているからです。借金が返せない場合、失踪してもっと儲かる仕事をしたり、最悪の場合、犯罪に走るわけです。
技能実習生は即戦力にはなりません・・育ててけば、1年後には「いてくれて助かる存在」に成長します(p179)
技能実習生の受け入れ費用は180万円
受け入れ企業側を見てみると、普通の給与では日本人が集まらないというのは事実でしょう。新卒採用の求人費用は平均で約140万円、中途採用の場合は約128万円との調査結果もあります。それだけお金をかけても、採用できない可能性もあるわけです。
一方、技能実習生を1人受け入れるには、3年間でおよそ180万円が必要という。現地での送り出し機関への支払い、渡航費、日本での管理団体への費用(100万円程度)が含まれます。そして、給料の相場は、通常業務では手取り13万円程度。建設業などで手取り16~17万円で、若干上乗せすれば集まりやすいという。
著者の営業トークは、「3年180万円で確実に1人は採用できる」「月にすれば5万円で、確実に若くて元気な人が雇えます」というものなのです。
毎月1人3万円・・受け入れ企業からは毎月、監理団体に対して、受け入れ人数分の監理費用・・相場は1人2万5000円~3万円(p176)
誰でも入国して働ける制度の問題
著者の管理団体は、優良団体としてしっかりしている印象でした。
問題は、技能実習生や留学生など、誰でも入国して働ける制度にあるのでしょう。日本より給与の良い中国、韓国、欧州で働くことのできないような外国人が日本にやってきているのです。確率的に貧乏で教育レベルの低い人が多くなり、犯罪に走る人が増える可能性を高める構造になっているわけです。
私は個人的に、外国人労働者を使って利益を上げている企業は、外国人労働者の犯罪で被害を受けた人に賠償するべきだと考えています。(保険や基金でもいいのですが)
今後の国の外国人労働者受け入れの制度設計の厳格化に、期待したいものです。井上さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・お伝えしているのは、「家賃」「水道光熱費」「WiFi代」「生活消耗品」の4つ以外は徴収しないでください、ということです(p86)
・毎日必ず1回は話しかける・・ランチタイムを一緒に過ごす・・イベントを行う・・毎日、就業前にミーティングを行う・・性格を見極める(p88)
・「雨が降ったら休む外国人」には心のケアを・・なにか事情を抱えている場合が多い(p102)
・外国人の「できます」を鵜呑みにしない・・たとえできなくても「できます」と答えるケースが少なからずある(p114)
・受け入れ企業が外国人のお金のトラブルにタッチするべきではありません・・・違法賭博で膨らんだ借金を会社が肩代わりしたら、会社が罪に問われます(p157)
▼引用は、この本からです

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井上直明 (著)、ぱる出版
【私の評価】★★★★☆(83点)
目次
第1章 人手不足倒産を救う外国人雇用
第2章 外国人を雇う10のメリット
第3章 どうしたら中小企業が外国人を雇えるか?
第4章 外国人が働きやすい環境づくりとは
第5章 長く働いてもらうためのマネジメント
第6章 優秀な外国人を獲得するための採用術
第7章 国別・外国人の国民性とお国事情
第8章 こんなときどうする? トラブル事例解決集
第9章 優良支援団体を見極める7つのチェックポイント
著者経歴
井上直明(いのうえ なおあき)・・・ワールドチアーズ協同組合代表。1987 年東京都町田市生まれ。高校を1 年で中退。建設業、新聞配達などで働き、妻と2人の息子を養う。18 歳でオーストラリアに留学。1年半の滞在中に多くの現地の人に助けられたことが契機となり、日本に来る外国人のサポートを自分の天職とすることを決意。2015年、個人事業主としてワールドチアーズを立ち上げ、2020 年に協同組合に改組。2024年5月にはインドネシアのジャカルタ郊外に日本語学校をオープン。インドネシア政府も巻き込み、日本で働きたい外国人のために本格的な活動を開始している。
日本の外国人関連書籍
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「「低度」外国人材 移民焼き畑国家、日本」安田 峰俊
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