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「コンビニ外国人」芹澤 健介

2024/09/10公開 更新
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「コンビニ外国人」芹澤 健介


【私の評価】★★★☆☆(78点)


要約と感想レビュー

コンビニで働く外国人は4万人(2017)

2018年に外国人労働者について、取材した一冊です。2018年は、「技能実習」や「留学生」の制度の課題が顕在化する中で、外国人労働者の拡大を狙った新在留資格「特定技能」の審議がはじまり、大きな転換点となった年です。政府の方針は「移民」は認めないが、外国人が日本の住んで働く機会を増やし人手不足を補っていくというものでした。実質的な移民推進政策です。

 
2017年当時、コンビニで働く外国人は大手三社だけで四万人を超え、20人のうち1人が外国人。コンビニは、技能実習、特定技能の対象外なので、外国人アルバイトはほとんどが留学生です。


日本の留学生は、週に28時間(夏休みなどは1日8時間、週に40時間)と労働時間の上限が定められています。アメリカやイギリスなどは「学生ビザ」のアルバイトは原則禁止。カナダやフランスの留学生のアルバイトは20時間程度までと比べれば、日本はゆるいのです。そのため日本の留学生の中には、勉強せずにアルバイトに打ち込む「出稼ぎ留学生」と呼ばれている人も多いのです。


国連などの国際機関では、1年以上外国で暮らす人はすべて「移民」に該当すると解釈している(p54)

出稼ぎ留学生の存在

日本では留学生のアルバイトが認められているので、ネパールやベトナムからアルバイト目的での留学生がやってきていると言われています。その留学生のほとんどが、あっせん業者への手数料として100万円を超すような大金を払ったり、借金しているというのです。


例えば、ネパールの日本語学校の看板には「成績が悪くても問題なし」とか「バイトもできます」と書いてあるという。平均月収数万円というネパールでは、日本での出稼ぎ留学が魅力的に見えるのです。また受け入れ側の日本の日本語学校でも教師一人に対し、生徒100人以上で、学生の日本語能力向上が見られないなど学校というよりただの人材派遣会社のような学校もあるという。


もちろんお金持ちで真面目に留学して勉強している外国人もいます。しかし、日本の留学生はアルバイトが週28時間可能なので、貧乏国の学生を労働力として集めているのも事実なのです。


ST比(教員1人あたりの学生の割合)・・100を超すような学校・・という状況は異常だろう・・600校のうち半数近くは法務省の調査の呼びかけに協力すらしていない(p138)

留学生が日本の労働力を支える

著者は強制送還を覚悟でオーバーワークしている留学生たちが、日本の労働力不測を支えていると指摘しています。そして、アルバイトの外国人留学生が現場からいなくなったとき、はじめて日本の労働力不足が顕在化するというのです。


私は、国際的な労働者の奪い合いが起きているのだと思いました。制度によって、良い人材を集めるのか、犯罪に走りやすい悪い人材を集めるのか決まるのです。芹澤さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・日系ブラジル人が多いことで知られる群馬県大泉市は、外国人の割合が全体の約18%(2017年9月)を占める(p45)


・2016年に茨城県内で不法就労が発覚した外国人は2038人・・こうした外国人は入管に収容されてほとんどの場合は母国へ送還されることになる(p111)


・新宿区多文化共生連絡会・・夜中の二時、三時に洗濯機を回す・・週末になると友達を読んで酒盛りをしたり、狭いベランダでバーベキューしちゃう・・注意しても直らない(p204)


・「ドイツは、人口約8260万人のうちの約1860万人が外国人・・「反移民・反イスラム」を掲げる新興右派政党「AfD(ドイツのために選択肢)」が台頭するなど、反発は根強い(p60)


▼引用は、この本からです
「コンビニ外国人」芹澤 健介
芹澤 健介、新潮社


【私の評価】★★★☆☆(78点)


目次

第1章 彼らがそこで働く理由
第2章 留学生と移民と難民
第3章 東大院生からカラオケ留学生まで
第4章 技能実習生の光と影
第5章 日本語学校の闇
第6章 ジャパニーズ・ドリーム
第7章 町を支えるピンチヒッター
おわりに―取材を終えて



著者経歴

芹澤 健介(せりざわ けんすけ)・・・1973(昭和48)年、沖縄県生まれ。横浜国立大学経済学部卒。ライター、編集者、構成作家。NHK国際放送の番組制作にも携わる。長年、日本在住の外国人の問題を取材してきた


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