「NASAより宇宙に近い町工場」植松 努
2020/02/17公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(93点)
要約と感想レビュー
自腹でロケット開発
北海道で国の補助金ももわらず、自腹でロケット開発をしている植松電機という町工場があります。町工場ながら爆発しないロケットや超小型人口衛星開発に取り組み、さらには55メートルの無重力実験塔を敷地内に建設しています。本業である解体現場の重機用の鉄筋を選別するマグネット販売の利益を原資として、自分の好きなロケット開発をしているのです。
よく「補助金がつかないから何もできない」と言う人がいますが、著者は自腹でやっているのです。著者の考え方は、やってみたいことをどうやったらできるかなと考えて、やり始めることです。ただこうしてやってきた結果、ロケット開発が進んでいるのです。
これまで「おまえ、何カッコつけてんだよ」「何いい気になっていんだよ」と言われたことがあるという。こうした人の自信を奪う評論は、人のやる気を失わせる精神的な殺人です。しかし植松さんのすごいところは、「そんなの無理」「やってもムダ」と言われながらも、自分の好きなことを計画・実行していることなのです。
植松さんの取り組みに対して、好意から「そんなこと無理」とアドバイスしてくれる人もいます。親切心から「そんなもんで食えるわけがない」とアドバイスしてくれる人もいます。このように目の前にある不安を解消するためにお金を稼ぐという人は、今日生き延びるのが精一杯という貧困の中に生きる人たちと同じレベルの思考だと厳しく批判しています。
・人にとって一番つらくて悲しいことは、可能性が失われることです。だから、言葉で人の可能性を奪うということも、殺人と同じくらい罪深いことなんです。「そんなもん、できるわけないよ」とか「やってもムダだ」とか「どうせ無理」というのは、人の心を確実に殺す言葉です(p163)
手加減した生き方はもったいない
著者は手加減した働き方をしていると、手加減した人生の生き方になり、人生の時間がもったいないと言います。その職場という環境を生かして学べることを徹底的に学ぶのが植松流です。いかにして暇を生かして前例や規則のない分野に挑戦していくのか。前例がない、規則がない世界で、そこに関わっていくのです。
そもそも失敗を織り込み済みだから諦めることがない。成功するまでやることが、成功するための一番の秘訣なのでう。そして自分でやってみるから知恵がつく。自分で失敗するから技術力がつくと知っているのです。
終戦時、樺太へのソ連侵攻を経験した植松さんのおばあさんの教えが印象的でした。お金はくだらないよ、一晩で価値が変わっちゃうからね。お金があったら本を買いなさいと教えてくれたのです。このおばあさんありて、この孫ありということでしょう。植松さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・僕は5年半で(仕事を)辞めています。なぜなら、その職場に飛行機が好きではない人たちが急増してきたからです。飛行機の設計をしているにもかかわらず、彼らは飛行機の雑誌を読もうとしませんでした。彼らは飛行場に行ってもわくわくしないんです。そして、ただ言われたことを言われた通りにやるだけでした(p98)
・「好き」という心を失った人が増えてきた前の会社では、恐ろしい言葉が流行っていました。「芸は身を滅ぼす」という言葉です。「なるべくできないようにしていたほうが楽に生きることができるよ」という意味なんです(p102)
・夢をかなえるためには、それをやっている人と仲良くなるのが一番の近道です(p178)
・悔しいことと出会ったときに、何とか耐えるための言葉を紹介しておきましょう「明日のために、今日の屈辱に耐えるんだ」(p190)
▼引用は下記の書籍からです。
植松 努、ディスカヴァー・トゥエンティワン
【私の評価】★★★★★(93点)
目次
第1章 僕たちの宇宙開発
第2章 「よりよく」を求める社会をつくろう
第3章 「夢」って何だろう?
第4章 教えてくれる人がいないなら、自分で学べばいい
第5章 楽をしないで努力を楽しもう
第6章 他のどこにもない経営方針
第7章 あきらめないで世界を変えよう
著者経歴
植松努(うえまつ つとむ)・・・1966年、北海道芦別市生まれ。北見工業大学卒業後、航空宇宙関連企業に就職。1994年、父が経営する植松電機に入社。1999年よりリサイクルに使うマグネットを開発。2004年、北海道大学大学院の永田晴紀教授とともにロケット開発を開始。2006年、株式会社カムイスペースワークスを設立、ロケットや人工衛星の研究開発を行う。2009年、「ARCプロジェクト」を始動させる。
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