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「人生に、上下も勝ち負けもありません 精神科医が教える老子の言葉」野村総一郎

2022/12/21公開 更新
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「人生に、上下も勝ち負けもありません 精神科医が教える老子の言葉」野村総一郎


【私の評価】★★★★☆(88点)


要約と感想レビュー

精神科医の著者が教えるのは「老子の言葉がうつ病に効く」ということです。老子といえば、「足るを知る」「無為自然」などと悟った人生を勧めるものです。うつ病になった人の悩みや不安の根本的な原因は「他人と比べる」ことだという。自分はダメで誰からも評価されない。成功している人が妬ましい。そんな考え方にとらわれた結果、ベッドから起き上がれなくなってしまうのです。


老子では、自然のままにいれば、ただそれでいいと考えます。「そのままでいいんだよ」ということです。明石家さんまさんは「生きているだけで丸儲け」と子どもにIMALU(イマル)と名付けてしまいましたが、生きているだけで、十分 成功なのではないでしょうか。


・「自然に任せて生きる」ことで十分ではないか(p200)


「上がり坂の儒家、下り坂の老荘」と言われるように、右肩上がりのイケイケ時代には孔子、右肩下がりの行き詰まりの時代には老子が合うのではないか、というのが精神科医である著者の提言です。私たちは、西欧化によって目標設定して、達成度を測定し、やり方を改善するような結果を重視する生活をしています。そうした生活には、礼儀を重んじ、自らを厳しく戒める孔子が合うのです。


反対に、人口が減少、高齢化し、いくら頑張っても経済が縮小していくような時代には、まあ、そのままでいいじゃないか、という老子のゆるい思想が合うのではないかということです。老子では目標を達成するよりも目標に向けて努力しているだけで、じゅうぶん立派だと考えます。目標達成よりも、その途中にこそ人生の大切なものがあるという考え方なのです。


・目標を持って努力をすること自体が大切だ。努力を続けている人は、それだけで目的を達成している(p78)


著者は、「自分がもし幽霊になったら?と想像してみてください」と語りかけます。親しい人と会話できなくなった自分、やりたいことができなくなった自分、を想像しれば、今のままで十分ではないかということです。もちろん私達は食べて、寝て、生きていくためにある程度の成果を出していかなければなりませんが、そんなに頑張らなくてもいいんじゃないの、という「ゆるさ」も大切なのかもしれません。


特に仕事を引退するのが近い50代の人にぴったりの一冊ではないでしょうか。野村さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・知っていても「知らない」と言うのが謙虚な人間である(知りて知らずとするは上)(p218)


・エネルギーが貯まるのを待つことは、絶対に必要です・・・充電する時間。それが「何もしないをする時間」(p68)


・怒り・・・相手よりも大きな存在になって、相手を自分のスプーンの上にのせる(p61)


▼引用は、この本からです
「人生に、上下も勝ち負けもありません 精神科医が教える老子の言葉」野村総一郎
野村総一郎、文響社


【私の評価】★★★★☆(88点)



著者経歴

野村総一郎(のむら そういちろう)・・・医学博士。元防衛医科大学校病院長。1949年生まれ。慶應義塾大学医学部を卒業後、テキサス大学、メイヨー医科大学に留学。。帰国後、藤田保健衛生大学精神医学室助教授、国家公務員共済組合連合会立川病院神経科部長。そして、平成9年に防衛医科大学校教授、平成24年に防衛医科大学校病院病院長に就任、現在は六番町メンタルクリニックの院長として、仕事や人間関係に悩む人の相談、カウンセリングを行っている。また平成18年より読売新聞の人生案内での回答者も務める。


精神科医関係書籍

「あなたが死にたいのは、死ぬほど頑張って生きているから」平光源
「自己評価の心理学―なぜあの人は自分に自信があるのか」
「「苦しい」が「楽しい」に変わる本 ー「つらい」を科学的になくす7つの方法」樺沢 紫苑
「精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方」
「精神科医は腹の底で何を考えているか」春日武彦
「人生に、上下も勝ち負けもありません 精神科医が教える老子の言葉」野村総一郎
「患者のカルテに見た自分」中沢正夫


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