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「暇力―50人企業の経営者が実践する一番「ユルい」令和の働き方」松本毅史

2022/12/20公開 更新
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「暇力―50人企業の経営者が実践する一番「ユルい」令和の働き方」松本毅史


【私の評価】★★★★☆(80点)


要約と感想レビュー

 著者は年商20億円、純利益2~3億円の社員50人の化粧品会社のCEOです。それまで著者は普通の経営者のようにビジョン・理念を決め、新規事業に取り組み、福利厚生を充実させ、社員全員と個別面談するなど試行錯誤を繰り返してきまいた。しかし、生来、やりたいことしかしない、放浪や冒険好きの著者は、こうした仕事に全力投球する生活は、自分のためにも社員のためにもならないのではないか、と考えるようになりました。


 それまでも著者は仕事を部下に任せようと努力してきましたが、どうしても仕事が気になって部下の仕事に口を出して、現場を混乱させていたという。そこで、CEOの自分が暇でも廻る会社の仕組み「暇力(ひまりょく)」を作ったのです。


 「暇力(ひまりょく)」では、部下がすべての仕事をプロジェクトとして仕事内容と参加者と期間を決めて、提案します。実施が決定したプロジェクトは部下が責任を持って実行することになります。プロジェクトの実施の可否を判断するだけなので、著者の勤務時間は、週2,3時間程度。月に1,2回しか出社しないという。さらに組織は「部署なし役職なし」で、社内にはプロジェクトを承認する取締役,ブランドディレクター,エキスパートとプロジェクトを提案・実施する社員(個人事業主含む)がいるだけなのです。


・人生を壊してまで仕事に熱中する必要はないですし,事実,僕は今,周りの人にもそういうことは求めません(p69)


 もう少し具体的に見ていきましょう。「暇力(ひまりょく)」では、プロジェクトを構成する作業別に設計単価を決めています。例えば、事務所の掃除であれば5万円とか、商品の写真撮影なら3万円などと作業の設計単価が決まっていて、すべてのプロジェクトの報酬額が計算されるのです。そして社員一人ひとりがどれくらいの作業をしたか(プロジェクト報酬)が積算されます。


 そして各社員に決まっている基本給に対して、プロジェクト報酬がどれだけ上回っているか(個人の原資)を計算します。その社員の個人の原資の比率で、会社のボーナス予算を社員に配分するのです。つまり、基本給を超えて働かなければ、ボーナスは出ないのです。逆に、何もしなくても基本給は支払われます。プロジェクト報酬は、成功・失敗に関わらず支払われますので、ボーナスを稼ぎたければ、多くのプロジェクトを提案したり、手伝えばいいわけです。


 これは仕事を外注するのではなく、内注するような仕組みといえるのでしょう。社員一人ひとりがどれだけの付加価値、労働を提供したか見える化しているのです。


・仕事も暇つぶしでやっている趣味の延長として取り組んだらいいのになぁと思います(p76)


 この方式だと、設計単価を適切に決めることが大事になります。つまり設計単価が安すれば、だれも基本給を超えるほどプロジェクト報酬を集めることができなくなるし、設計単価が高すぎれば、多くの人が基本給を簡単に超えるので、ボーナスの差がなくなってしまうでしょう。作業別の設計単価は常に外注費を参考にして改定し,だいたい外注費の7割くらいに設定されているという。基本的には社内の人材でプロジェクトを実施しますが,社内にやりたい人,やれる人がいなけらば外注することになります。


 アメーバ経営をさらに細かくしたような仕事のやり方ですが、著者の会社でも社内の反対で現実化は難しかったようです。しかし、新型コロナの影響で在宅勤務をしなくてはならなくなり,このような社員に任せきる方式が導入できたというのです。


 ただ,社員同士が直接会って話す機会が減るし、雑談やムードメーカーのようなプロジェクトとして認められないことは評価対象外となります。そのために孤立してしまう人もいるらしいのです。その後の経過を知りたいと思いました。松本さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・「働く」とは「真剣に暇つぶしする」こと(p74)


・成功事例は,今振り返ってみても"たまたま"が多かった気がします(p107)


・最大で1年間は売上が止まるリスクを想定することにしました(p213)


▼引用は、この本からです
「#暇力―50人企業の経営者が実践する一番「ユルい」令和の働き方」松本毅史
松本毅史、けやき出版


【私の評価】★★★★☆(80点)


目次

第1章 やりたいことをやる幸せか、求められる幸せか。
第2章 働くこと、経営そのものを再定義する。
第3章 WORKING3.0 一番新しい働き方。
第4章 目覚めよ経営者、令和は「暇」こそ最大の武器。



著者経歴

 松本毅史(まつもと つよし)・・・1977年山口県岩国市生まれ。激動の幼少時代を過ごし、養父の破産をきっかけに高校中退。アルバイト生活を経て、実父の援助を受け、18歳で高校に再入学。大学卒業後25歳の時、数千万円の負債を抱えていた実父の会社の一部門だった化粧品事業を引き継ぎ、のちにパートナーとなる南沢典子と有限会社あきゅらいず美養品(2019年に株式会社LIGUNAに社名変更)を設立。極貧時代を過ごしながらも徐々に経営手腕を発揮し、年商20億円の優良企業に成長させる。


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