人生を変えるほど感動する本を紹介するサイトです
本ナビ > 書評一覧 >

精神科医の苦労話「精神科医は腹の底で何を考えているか」春日武彦

2020/10/06公開 更新
本のソムリエ
本のソムリエ メルマガ登録[PR]


【私の評価】★★★★☆(87点)


要約と感想レビュー

精神科を専門の一つに持つ友人がいるので、話のネタになるかな、と手にした一冊です。精神科医とはどんな仕事なのか。どんなお客さまが来るのか。わかったような気になる一冊です。精神疾患としては、だいたい6つにわけることができるのだという。(躁)うつ病・統合失調症・神経症・パーソナリティ障害・器質性精神疾患(認知症を含む)・依存症です。


精神科の診察では、死ぬ、殺してやりたい、恨む、呪う、もう一生××したくない、出家したいなど、「あざとい」言葉が氾濫しているという。また、精神病であるあることが露見するのが嫌なあまりに仕事を辞めてしまう人、年賀状が一枚も来なかったことを恥じて自殺を決意する人、道を歩いていたら小学生に見詰められ、自分が精神を病んでいることが子どもまで知れ渡っているのではないかと悩む人などと出会うことになるというのです。


面白いと思ったのは、例えば生意気な年下上司をイジメるために周囲にありもしなことを吹き込み、上司を孤立させ、職場の人間関係を破壊するのが得意な人がいたとしましょう。こうしたことが常態化している場合、精神科では境界性パーソナリティ障害と診断されるらしいのです。そうした人が病院にやってくると病院内でもナース間や医師間の噂話をでっちあげて対立を煽り、大混乱になることがあるという。いるな~そういう人。パーソナリティ障害とは、病気ではなく単に性格が悪いだけなのかもしれません。


本書で紹介している境界性パーソナリティ障害の女性患者の例では、「あの人はこんなことを言っていたわ」と互いの反目を強めるような話を巧みに吹き込み、最終的には何人ものナースを巻き込む形で人間関係にかなりの深刻な諍いをもたらしたという。上司となる医師に対してもいろいろとアプローチをして、潜在的なライバル意識を煽るようなことをしていたというのです。


・パーソナリティ障害においては、もはや医師を困らせるために通院しているとしか思えないケースすらある(p65)


逆にどこに行っても、性格の悪い人からイジメに遭うタイプの人は、極端に変わった人物であることは少ないというのです。ただ、微妙にどこか言動が普通の人と「ずれて」いたり、ちょっとした差であるがゆえに却って周囲の人をイライラさせ、イジメを受けることになりやすいというのです。


狂気の中で仕事をしながら、ニコニコと一歩引いて患者に話しかける著者が面白いと思いました。どうやって薬を飲ませるのか。どうやって入院させるのか。精神科ゆえに苦労が多いというのです。


そもそも、幻覚や妄想が出現する患者は、往々にして自分の異常があるとは考えないのです。著者は患者から「あんた、何が楽しくてニコニコしているんだよ、そんな場合かよ!」と罵倒されたことが何度かあるという。


人にはどこか狂気はあるのですが、極端に振れないよう注意したいものです。春日さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・いっぽう精神症では、むしろ患者自身が病気であることをアピールしたがることがある(p64)


・DV対策・・・結局は暴力男の元へ舞い戻ってしまう・・・結局のところ、彼女はある種のドラマチックさ、濃くて過剰な人間関係でなければ満足いかない人なのである(p145)


・初老の独身女性で、自分はフランスの女優の妹であると主張する人がいた(p153)


・統合失調症の患者は、往々にしてどこか素っ気ない。時にはまるで取り付く島がない(p54)


・精神科医の名医リストを、わたしは目にしたことがない。もちろん、それには理由がある。判断基準を定めることが容易ではないからである(p22)


▼引用は、この本からです

春日 武彦 、幻冬舎


【私の評価】★★★★☆(87点)


目次

第1章 赤ひげ医師・熱血医師・愚かな医師
第2章 相性ということ
第3章 優しさと支配
第4章 技術と人柄
第5章 物語・心・世界
第6章 偽善と方便
第7章 幸福・平穏・家族



著者経歴

春日武彦(かすが たけひこ)・・・精神科医。1951年京都府生まれ。日本医科大学卒業。医学博士。都立中部総合精神保健福祉センター、都立松沢病院、都立墨東病院精神科部長などを経て、東京未来大学教授


精神科医関係書籍

「あなたが死にたいのは、死ぬほど頑張って生きているから」平光源
「自己評価の心理学―なぜあの人は自分に自信があるのか」
「「苦しい」が「楽しい」に変わる本 ー「つらい」を科学的になくす7つの方法」樺沢 紫苑
「精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方」
「精神科医は腹の底で何を考えているか」春日武彦
「人生に、上下も勝ち負けもありません 精神科医が教える老子の言葉」野村総一郎
「患者のカルテに見た自分」中沢正夫


この記事が参考になったと思った方は、
クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓ 


人気ブログランキングへ


にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村へ


メルマガ[1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』]
3万人が読んでいる定番書評メルマガです。
>>バックナンバー
登録無料
 

<< 前の記事 | 次の記事 >>

この記事が気に入ったらいいね!

この記事が気に入ったらシェアをお願いします

この著者の本


コメントする


同じカテゴリーの書籍: