「関西電力「反原発町長」暗殺指令」齊藤 真
2021/04/10公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★☆☆☆(65点)
要約と感想レビュー
1億円以上もらっていた人が2人
2019年に関西電力の役員を含む社員20名(もっといるかも)が、福井県高浜町の元助役から金貨やスーツ仕立券、商品券など3億円相当の金品を受領していた事件がありました。その責任を取って、会長、社長が辞任。なんと30年以上もそうした状況が続いており、1億円以上もらっていた人が2人もいるというのですから、まるで時代劇か犯罪ドラマです。
この本はこの金貨の事件とは別の内容で、「高浜の天皇」と呼ばれた関西電力の若狭支社副支社長Kが、警備会社の社員に高浜町の今井町長を警備犬で襲わせるよう指示したという疑惑の裏取り調査をした記録です。
警備会社の社員からのタレコミ
この疑惑は警備会社の社員からのタレコミであり証言も曖昧なのですが、今井町長自身も「ワシの喉笛(喉元)を凶暴な犬に食いちぎらせたろいう、あの話や」と、そうした話を聞いたことがあると証言しています。今井町長としては、関電の高浜町に対する一部の者だけに利益を得させるようなやり方に、反対してきたという。
本書が発行された2011年時点では週刊誌レベルの話と無視されたのでしょうが、元助役から関西電力社員が金貨や現金をもらい、関西電力は元助役の関係する会社に仕事を発注してきたという事実を考えれば、現実味が増していきます。
関西電力の若狭支店副支社長Kは「高浜の天皇」と呼ばれていたようですので、もう少し取材を徹底していけば、同じように「高浜の天皇」と呼ばれていた森山栄治元助役までたどりついたかもしれないと思いました。ちょっと残念!齊藤さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・この"特命"を、具体的に加藤や矢竹に下命したのは、関西電力のK・・・若狭支店の副支社長ですわ(p69)
・Kなんて、高浜では"高浜の天皇"とまで言われてたらしいわ。(p150)
・地元対策に長けた関電いうんは、最初から、その地元の実力者を抱き込んで、反対する奴なんかを封じ込めてしまうんですな。あとは、利権やなんやかんやあるでしょ?原発の町には(p119)
【私の評価】★★☆☆☆(65点)
目次
第1章 発端―原発警備犬
第2章 核心―町長暗殺指令
第3章 迷宮―原発のある町
第4章 逮捕―隠微な黒幕
著者経歴
齊藤 真 (さいとう まこと) ・・・ジャーナリスト。週刊雑誌記者を経て、フリーランスに。著書に齊藤寅の筆名で『世田谷一家殺人事件 侵入者たちの告白』(草思社)がある。
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