「黒幕の興亡 関西闇社会の血の掟」一ノ宮美成
2022/10/16公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★☆☆☆(66点)
要約と感想レビュー
バブル期に不動産業界に暴力団が介入
京都に山段芳春という闇社会のフィクサーがいました。山段氏は京都信用金庫オーナーとの関係を足がかりに蓄財し、警察・検察・市役所OBの再就職を斡旋するなどして影響力を拡大していったのです。
しかし、1988年に京都銀行株が、山口組系暴力団・池田組が主宰する仕手集団コスモポリタンに買い占められました。山段芳春は会津小鉄会を間に入れ、許永中を通じて京都銀国の株式買い戻し交渉をしたという。
この京都銀行株買い占め事件の解決金として、許永中に664億円、会津小鉄会に100億円、部落開放同盟に230億円が、山段芳春氏の会社であるキョート・ファイナンスから融資されたという。これらの1400億円もの融資は不良債権となり、山段芳春の1996年の急死で事件の真相は封印されてしまったのです。
このようにバブル期には不動産業界に暴力団が介入して、銀行から融資を引き出し、資金源としていたようです。
元イトマン常務の伊藤寿永光被告のバックが、宅見組長・・・当時イトマンには同組長秘書が堂々と出入りしていた(p12)
暴力団の利権
ちなみに、会津小鉄の資金源の中心は土木、建築工事の利権で、地元対策費、下請け、警備などの名目に工事費の1~3%が入る仕組みがあり、公共事業業でも0.8%が入金されていたという。会津小鉄と佐川急便との関係も古く、佐川清会長は"用心棒代"として会津小鉄を利用し、毎月1000万円を払っていたという。
また、大阪の「末野興産」については、住専など金融機関から借入し、返済せずに子会社に貸し付け分散させていました。そうした資金は、暴力団に流れ、株の買い占めなどに流用されていたのです。
当時、住専などの金融機関は暴力団や風俗にも貸出していました。また、担保不足でも融資したり、実勢価格より高い価格で不動産を買取るなど、倒産しそうな不動産会社への情実融資したり、不良債権の隠しを行っていたのです。一ノ宮さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・「S資金」・・・「末野興産」の定期預金と普通預金の総額は、1809億円・・・貸付金という形で、「S資金」は子会社に分散・・「ワールドエステート」は・・17の金融機関から総額762億円の借入金があった・・・利息は支払っていなかった(p90)
・新規開店とともに暴力団組員・・・干支の置物や門松を売りつける。その際「何かあったら・・」と名刺を置いていく。やがて、別の暴力団組員が来て難癖をつける。店主は名刺の連絡先に頼んで、間に入ってもらう。これをきかっけに「今後も頼みます」と、用心棒代を払うようになる(p22)
【私の評価】★★☆☆☆(66点)
目次
第1章 宅見組長射殺事件と京都ヤクザ戦争
第2章 京の闇を仕切った会津小鉄会・高山登久太郎
第3章 山口組・高山若頭恐喝事件
第4章 京都政財界の黒いフィクサー・山段芳春の謎と死
第5章 ナニワの借金王・末野興産の一〇〇〇億円の裏金脈
第6章 闇の帝王・許永中、謎の逃亡劇
第7章 東本願寺の実弾と恫喝の裏面史
第8章 西本願寺の差別発言でっち上げ事件と権力抗争
第9章 紀州和歌山の政界・ヤクザの「地下爆弾」
第10章 阪和銀行の暴力団融資と副頭取射殺事件の全貌
著者経歴
一ノ宮 美成(いちのみや よしなり)・・・1949年、大分県に生まれる。同志社大学文学部を卒業し、新聞記者を経てフリージャーナリストに。
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