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「同和と暴力団 公金をしゃぶり尽くした日本の闇人脈」一ノ宮 美成

2015/04/25公開 更新
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同和と暴力団 公金をしゃぶり尽くした日本の闇人脈 (宝島SUGOI文庫)


【私の評価】★★★☆☆(71点)


要約と感想レビュー

大阪の人は普通に話しているだけで東北人には怖く感じることがありますが、暴力団、同和団体などはもっと怖いようです。


同和対策事業特別措置法(同特法)が施行された1969年~2002年の33年間に同和地区に使われた15兆円の国家予算の一部が、暴力団山口組の資金源となっていたと、この本では説明しています。暴力団が同和組織を乗っ取って、国の同和対策予算を手に入れる仕組みができていたというのです。本当かどうかわかりませんが、山口組が同和対策事業の公金を手に入れるため「八興建設」を設立して同和対策予算の受け皿とし、事業を請け負ったり、土地の売買を通じても大金を動かしていたという。


また、同和対策事業の一環として、自治体が同和地区住民の不動産取得税を半分にしたり、固定資産税、都市計画税などを三分の一に免じてきた同和減免を悪用したり、暴力団と関係のある解放同盟支部幹部が大手業者から金をもらって、「同和」の名刺を持ち歩いて行政当局に開発許可を迫ったり、公共事業を受注したりした例も数多いというのです。


・東大阪市の同建協加盟業者「八興建設」は、三代目山口組直参・中川組の中川猪三郎組長が、同和対策事業の受け皿として設立したものだった・・同社は78年11月、社屋を、東大阪市に専修職業訓練学校用地として買い取らせ、その代替地として約400坪の私有地を1億2000万円で入手。即日、大手マンション業者・朝日住建に転売し、一億円の利ざやを稼いだ(p130)


この本で説明する部落開放同盟の構造が面白いのです。部落開放同盟は集金組織として「同和建設協会」を設立し、組織内国会議員として松本龍氏を国会に送り込んだというのです。そして、「同和建設協会」には多くの暴力団組長や構成員が入り込んで、暴力団と一体化しているという。どうりで松本龍氏が震災復興大臣として被災地で岩手・宮城県知事に暴言を吐いて辞任しましたが、そうした裏社会の代表者が民主党政権で大臣にまで出世していたのです。


松本龍氏については、唯一人の部落解放同盟組織内候補の国会議員としています。松本前大臣は、ゼネコン「松本組」の筆頭株主であり、同和で富を築いた一族です。ちなみに松本龍婦人の姉が、九州最大級の指定暴力団である工藤會(北九州市)の最高幹部と数年前に結婚していたとしています。


この本では、部落解放同盟の支部長である小西邦彦の事件についても書いています。小西邦彦は山口組直参暴力団・金田組の幹部でもあるのですが、財団法人飛鳥会理事長として大金を不法に稼いでいました。そのため2006年に業務上横領と詐欺の容疑で、起訴されています。具体的には、同和対策事業の一環として大阪市から駐車場の運営を独占的に受注。また、同和住宅に部外者を不法入居させ、入居者から30万~50万円を徴収。同和対策事業が暴力団の資金源になっていたのです。


小西邦彦は大阪市の人権文化センターの従順な職員には天下りポストを提供し、反抗する職員にはに怒鳴りつけるなどして暴力団らしい手法で職員を支配していました。公共事業では、手続きさえ正しければ、問題となることはないわけで、役人の天下りを斡旋したりしてアメを与え、言うことをきかない役人には暴力団得意の圧力を加えればよいのです。


東北ではこうした暴力団をあまり見ることがなく、私もよく知りませんでした。この本に書かれてある内容は、誰でも知っている内容なのでしょうか?一ノ宮さん、良い本をありがとうございました。



この本で私が共感した名言

・(橋下徹氏の実父の)弟は、安中で水道工事会社をやっていたが、いまは倒産してない。この水道工事会社は実は橋下知事(当時)の実父が段取りして設立した会社や。(実父は)大男で暴れん坊だった。土井熊系津田組の三羽ガラスといわれたほどの男やった。実父は"ビキ"と呼ばれとった。三人とも在日やった。暴力団の組員という立場上、名前を出せなかったんで、弟に会社をやらせていたんや(p21)


・丁順子とは、豊中市に自宅があった金田三俊の同居人、内縁の妻である。その金田三俊とは、実は構成員260人の山口組直参暴力団・金田組の組長で、小西被告は同組の幹部組員でもあった・・・小西被告が自ら飛鳥地区の同和住宅に入居しながら、奈良市内の高級住宅地に白亜の豪邸を所有・・同和住宅に部外者を不法入居させ、入居者から30万~50万円を徴収するなど、同和対策事業をくいモノにしていた(p79)


・ライトプランニング事件・・・大阪市が計画した開発プロジェクト予定地を、「ライトプランニング」という暴力団がらみの地上げ業者が、旧三和銀行や松下電器の子会社「ナショナルリース」、さらに「阪急電鉄」の子会社などの資金提供を受けて、次々と買収し・・ゼネコン大手の「鹿島」などにすぐに転売し、巨額の利潤を手にしていたという事件(p109)


・丸尾勇被告は、「同和」「人権」団体代表という顔とは別に、山口組系有力組織、山健組系健竜会(約1000人、神戸市)の相談役という強面の顔を持ち、地元建設業者の間では公共事業の仕切り役として知られていた・・民間委託が決まっていた市立安中東保育所の移管先を、自分が評議員を務める市内の社会福祉法人「虹のかけはし」にするよう、再三、市の担当者に迫っていた(p153)


・同和系建設業者・・海原建設のあこぎな蓄財法・・・70年に、「羽曳野市立と畜場」新設工事・・ありもしないヘドロ除去費を水増しし、約2100万円を手にしたといわれている。73年には、豊中市開発公社に、買取価格の2.5倍で池を売りつけ、数ヶ月間で2億2000万円も利ざやを稼いでいる(p142)


・「平成管財」の名前が知られるようになったのは・・通天閣の足元にできた都市型遊園地「フェスティバルゲート」が、04年9月、390億円の赤字を抱えて破綻したのが発端である・・破綻の最大の要因は巨額の警備費用だった。開業当初の警備費は、年平均24億円。収入を上回る額で・・この警備を請け負っていたのが、ほかならぬ「平成管財」だ。同社の監査役には06年7月まで中山正暉・元自民党衆議院議員が就任。その前の監査役には、大阪ミナミのドンと言われている先の岡山・大阪市人権協会副会長、さらに暴力団・池田組元幹部である西尾求・元解放同盟荒木支部長が就任していたという・・なんと大阪府警ナンバー2の高橋康夫元総務部長が、役員として同社に天下りしている(p122)


▼引用は、この本からです。
同和と暴力団 公金をしゃぶり尽くした日本の闇人脈 (宝島SUGOI文庫)
一ノ宮 美成 グループ・K21
宝島社 (2012-01-13)
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【私の評価】★★★☆☆(71点)


目次

第1章 名声と富と暴力の地下水脈
第2章 山口組人脈と同和マネー
第3章 エセ同和の極悪事件簿
第4章 差別をカネにかえた闇紳士
第5章 同和人脈につらなる闇事件史



著者経歴

一ノ宮 美成 (いちのみや よしなり) ・・・1949年大分県生まれ。同志社大学文学部卒。新聞記者を経てフリージャーナリストに。


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