【書評】「政治と宗教 この国を動かしているものは何か」島田裕巳, 前川喜平
2026/02/11公開 更新
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【私の評価】★★★☆☆(79点)
要約と感想レビュー
前川喜平氏の正体
宗教学者である島田裕巳さんと、文部科学省の事務次官だった前川喜平氏との対談です。島田裕巳さんは女系天皇推しで男系天皇を維持すべしという保守派と対立しているので、前川喜平と話が合うのでしょうか?
この本でも前川喜平氏は教育勅語、憲法改正に反対とわかります。その理由は、教育勅語の「父母ニ孝ニ」は家長である父親への服従を前提としたものであり、「夫婦相和シ」は妻の夫への従属を前提とするものだからだというのです。前川氏は日本語が理解できないのか、それとも頭がおかしいのでしょうか。
また、「必要な自衛の措置をとることを妨げず」と憲法改正することは、自衛を可とすれば、攻撃は最大の防御だとして攻撃する可能性があるので、自衛はダメだと主張しているのです。これも理解不能な論理です。
前川喜平氏の主張が異常なのは、「中学校の歴史教科書に従軍慰安婦の記述が載るようになりました」と肯定し、自民党のタカ派の抗議で従軍慰安婦の記載が減ったと批判している点です。逆に、日本神話から始まる育鵬社の歴史教科書の採択が2020年以降少なくなったことを中立性が戻ったと肯定しているのです。朝日新聞が捏造した従軍慰安婦を教科書に載せるべきと考えている点で、前川氏の異常が際立ちます。
さらには、安倍首相が教育基本法を改正し、道徳の教科書では、自己抑制、自己否定、自己犠牲を美徳として褒めたたえ、個を捨てて全体のために尽くすのがいいことだと誘導していると批判しています。従軍慰安婦で日本が悪であったと前川氏は誘導しているので、その工作が失敗しそうなことが許せないのでしょうか。
もともと、憲法改正、自主憲法制定の前段階として、教育基本法を改正するんだという話は自民党保守派のなかにありました・・・私は、そういった動きを心配していました(前川)(p48)
公明党と創価学会の問題
文科省の文化庁が宗教を所管しており、前川氏は文化庁宗務課長でした。実は文科省の副大臣または政務官のうち1人は、必ず公明党の議員の指定席で、公明党が文科省をコントロールしていたのです。
公明党が自民党と連立する前は、自民党議員が「創価学会は単なる信徒団体で、宗教法人なのはおかしい」と、公明党と創価学会を批判していました。公明党と自民党が連立することで、公明党と創価学会の立場は安泰となったのです。
もともと公明党は安保反対で左側で、社会党と組んで政権を取ろうとした時期もあったし、日中国交回復のときは、池田第作が「一つの中国」と発言するなど、公明党は中国と連携しており、現在まで続いています。
教育基本法改正のときには、「愛国心」の明記を求める自民党に対し、公明党の山下栄一氏が憲法の戦争放棄にもとづいて愛国心が強制とならないよう工作してくれたと、前川氏は感謝するのです。日本人が愛国心を持つと困る勢力が存在するとわかります。
政教分離の気運は、今が一番強くなっていると思います。もちろん旧統一協会の問題がありますが、底流にあるのは公明党と創価学会の関係です。これが政教分離に反するのではないかというのが、一般的な声です(島田)(p112)
統一協会の歴史
統一協会については、戦後「反共」の性格を持った宗教の一つでした。統一教会は保守系の国会議員のもとに、労働奉仕として秘書を大量に送り込んでいたのです。
島田さんは、笹川良一や児玉誉士夫というスポンサーがいなくなり、日本の統一協会が資金を稼ぎ出さなければならなくなり、そこから霊感商法や無理な献金が始まったと説明しています。最初から霊感商法をやっていたわけではないのです。
旧統一協会の会長だった久保木修己という人は、もともと立正佼成会の信仰2世で、立正佼成会の会長から派遣されて統一協会を調べはじめたのですが、旧統一協会に共鳴するようになり、改宗してしまった(島田)(p82)
祖母の教え
前川喜平氏は、加計学園問題で文科省が獣医学部の新設を岩盤規制していたのに、安倍元首相が推進する国家戦略特区として規制緩和したことを、安倍首相に忖度して行政を歪めたと主張しています。省益だけ考える官僚の悪いところがすべて出ている人といえるでしょう。
前川氏は「モリカケ」も「桜を見る会」も風化してきたと残念に説明しているように、左翼の活動化か他国の工作員に近いことがかわりました。
島田氏については宗教学者だけあって、事実をたんたんと説明しているのが印象的でした。特に、世界史では宗教が重要であることが強調され、日本史では歴史の本筋に関わるところで宗教の重要さを説明しない点を指摘しています。
つまり、本史で宗教が軽視されるのは、日本では共産党系の学者が歴史学を牛耳ってきたからだと分析しているのです。それが実態なのかもしれないと思わせてくれました。
島田さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・靖国神社は別格官幣社の枠から外されて、国家からの援助がなくなりました・・国が創建し、軍部が所管してきた靖国神社が民間に移行・・(島田)・・・戦後は軍隊がなくなったのですから、廃止すべきだったと思います(前川)(p18)
・大学4年生のときにヤマギシ会に出会い、そこのメンバーになって、そのまま大学を卒業しました。しかし、ヤマギシ会での生活が嫌になって大学院に戻ることになりました(島田)(p136)
・私はもともと(安倍首相の)国葬には反対で・・・政治を私物化するし、うそはつくし、外交でも経済でもろくな功績はありません。どんどん戦争できる国づくりをしてしまったし、国葬に値する人ではなかったと思います(前川)(p151)
・国が関わった葬儀としては、暗殺された人物を明治維新の功績者だから国葬にするという動きから始まっていて、暗殺と国葬は結びついている。岸田さんが国葬を選択したのは、安倍さんが銃撃されて亡くなったから(島田)(p160)
▼引用は、この本からです

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【私の評価】★★★☆☆(79点)
目次
第1章 国は宗教団体をどのように扱ってきたか
第2章 自民党と創価学会・公明党の関係性とは―連立政権における公明党の功罪
第3章 旧統一教会をめぐる諸問題の現状―安倍元首相銃撃事件で再注目
第4章 戦前回帰志向の流れと日本会議・神社本庁
第5章 日本人は宗教への関心、理解を深める必要がある
第6章 安倍元首相国葬と旧統一教会に対する解散命令請求
著者経歴
島田裕巳(しまだ ひろみ)・・・:1953年東京生まれ。東京大学大学院人文科学研究課博士課程修了。放送教育開発センター助教授、日本女子大学教授を経て、現在は東京大学先端科学技術研究センター特任研究員、中央大学法学部兼任講師。文筆家。
前川喜平(まえかわ きへい)・・・1955年1月13日、奈良県生まれ。1979年に東京大学法学部を卒業後国家公務員試験を4番目の成績で合格し文部省に入省、配属は大臣官房総務課。文部科学省大臣官房総括審議官、大臣官房長、初等中等教育局長、文部科学審議官などを経て2016年6月文部科学事務次官。その後、文部科学省で起きた再就職等規制違反を受け、2017年1月20日に文部科学事務次官退官。
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