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「吉越式 利益マックスの部下操縦術」吉越 浩一郎

2022/10/17公開 更新
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「吉越式 利益マックスの部下操縦術」吉越 浩一郎


【私の評価】★★★★☆(80点)


要約と感想レビュー

 天使のブラのトリンプで2006年まで社長をつとめ、19年連続増収増益を達成した吉越元社長の一冊です。吉越さんの本はすべて読むことにしていたので、未読の本を発見して買ってみました。元のトリンプは吉越社長が退任してすぐに減収減益が続き、最近は赤字を出すこともあり、厳しい経営が続いています。


 もちろん経営環境が変わったということもあると思いますが、いかに社長が会社経営に大きな影響を与えるのかということを、まざまざと示しているのでしょう。吉越さんの特徴は、スピードです。早朝会議で、各部門から報告と決定の案件を1件2分で50件くらい処理していくので、2時間もかからず終わるのです。とにかく行動して、結果を見て、次の日、次の週にはまた対策を打っていくという、まさにスピード経営の最たるものなのでしょう。


・「とにかく川に飛び込め!」・・・仕事にはスピード感と勢いが必要(p47)


 そして情報を社員全員にオープンにするということです。吉越さんの信条は、「持っている情報が同じであれば、だいたい考えることは誰でも同じになる」ということです。もし、すべての情報がオープンになっているのに、別の解決策があると主張する人がいるとすれば、その人はよほど頭が悪いか、実際にやってみた経験があるのか、実は隠れた事実があるのか、ということです。


 反発が出てきたらその反発もオープンにして、仮に反発が正しいとすれば、決定を覆せばよいのです。しかし大概の場合は、正しい情報を与えれば、反発していた人は引き下がることが多かったという。現場、現物、現実ということで、いかに現場がどうなっているのか正しい情報を全社員で共有し、トップが2分で決断していくという会社が存在していたのです。


・情報をオープンにする・・・反発も出てくる・・"情報格差"が埋まれば、そこから導かれる答えは自ずと同じになるはずです(p69)


 吉越さんのデキる部下のイメージは「野性味」をもっている人です。「おはよう!」と声がでかい。現場を知っている。締め切りまでに企画書を片付ける。企画書は「現状」「問題点」「対処法」「必要とされる時間と経費」などが、簡潔に網羅されている。仕事に締め切りを設けて、自分を追い込み、必要とされるアウトプットを出す人なのでしょう。


 外国暮らしが長く、奥様もフランス人である吉越さんの人生観は、会社がすべてではないというものです。もちろん会社でバリバリ仕事をすることは当然ですが、定時になったら帰宅して自分の人生を考えたり、プライベートの時間を豊かにするべきであるという。定年後に仕事を続けたいなら、自分の能力を高める勉強をすればいいし、定年後に遊びたいなら、定時以降に遊びながら準備しておけばいいのです。


 吉越さんが退任してからトリンプの業績悪化の原因を知りたいと思いますが、どこかで書籍となっていれば読んでみたいものです。吉越さんが返り咲くしかないのでしょうか。吉越さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・自ら現場に足を運んで実際の事実を把握し、そのうえで生の声、意見、考え方を聞いて自ら判断するわけです(p136)


・これはと思う部下なら2段でも3段でもハードルを上げて苦しめてあげれば、それが飛躍的な成長につながっていく・・・場を与えてあげる(p25)


・仕事は永遠に続くものではなく、働き盛りの頂点・60歳で一方的に取り上げられてしまう(p39)


▼引用は、この本からです
「吉越式 利益マックスの部下操縦術」吉越 浩一郎

吉越 浩一郎、幻冬舎


【私の評価】★★★★☆(80点)


目次

第1章 部下に仕事をまかせなさい
第2章 部下はあなたのここを見ている
第3章 部下に嫌われてこそプロ上司
エピローグ 60歳で社長をすっぱり辞めた理由
付録 上司力チェックシート



著者経歴

 吉越浩一郎(よしこし こういちろう)「・・・1947年千葉県生まれ。ドイツ・ハイデルベルク大学留学後、72年に上智大学外国語学部ドイツ語学科卒業。その後、メリタジャパン設立に参加。プロダクトマネージャーとして活躍した後、83年にトリンプ・インターナショナルに入社。92年に代表取締役社長に就任し、19年連続の増加増益を達成。毎朝八時半からの「早朝会議」「ノー残業デー」「がんばるタイム」の導入、「即断即決」などのユニークな仕事術で話題となる。2004年には日本経済新聞社『平成の名経営者』100人の1人に選出される。2006年にトリンプの社長を退任、吉越事務所を設立。2008年、第37回ベストドレッサー賞"政治・経済部門"を受賞。現在、東京と、夫人の故郷である南フランスの二か所を拠点として、広く講演活動、執筆活動などを行う


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