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「ほんとうは仕事よりも大切なこと」吉越 浩一郎

2020/07/16公開 更新
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【私の評価】★★★★☆(84点)


要約と感想レビュー

 女性下着メーカートリンプで19年連続増収増益という実績を残し、引退した吉越さんが教えるワークライフバラスです。奥様がフランス人ということもあり、現役時代は奥様の圧力によって定時退社を余儀なくされたという。定時退社を前提としつつ、自分を追い込み仕事を効率化し、成果と実績を出していくのが吉越流です。


 そもそも人が働いているのは家族を養うためであり、家族との夕食はおろか、顔を合わせる時間さえないような働き方をして、はたしてそれは、本当に「家族のため」と言えるのか。その人の人生にとって、そこまで仕事が重要なのか、ということです。


・私生活を大事にしたいからと、仕事をおろそかにしたままで何が何でも定時退社、という発想はあまりに短絡的です。定時退社を前提に、仕事の効率化を図るためにとことん自分を追い込む。成果も実績もちゃんと上げたうえで、堂々と定時退社する。これがスジだと思います(p204)


 吉越さんに言わせると、職場とは遅くとも65歳で終了する仮想空間です。仮想空間の中で社長や課長という肩書が与えられ、その役割をこなすことで決まった報酬をもらえるのです。ただし、それは会社という組織を動かすための仮想空間であり、定年とともにその空間は人間関係含めすべて消滅するのです。


 そんな仮想空間のために家族との食事、ふれあいの時間を失ってしまうのはいかがなものか、というのが吉越さんの考えです。さらにいえば、仕事はゲームというのが、吉越さんの持論です。仕事の場は、60歳前後になれば、定年と共にプツンと切れてしまうのです。仕事というゲームは定年で、ゲームオーバーと共にリセットされてしまうのです。


 私は松下幸之助も好きですので、「会社は社会の公器である」「仕事は失敗すれば血が出る真剣勝負」という考え方も好きです。しかし現実問題として、普通の職場なら遅くとも65歳には会社員人生は終わります。そうした現実を見据えて、その後の生活も考えながら一生付き合うであろう家族との時間を意識して確保する必要があるのでしょう。


 著者のお勧めは、「人生を楽しむ」ことです。しかし楽しむとは、たんに享楽的にはしゃぎまくるということではありません。普通の生活、ときには辛い場面にも直面する毎日の生活をまるごと楽しむということです。吉越さんは、「味わい尽くす」と表現しています。


 定年になれば、毎日が休日となります。働いているときから休日に何もしていないと、毎日が粗大ごみになってしまいます。著者の提案は、現役時代から、休みの日は遊ぶ、何かして楽しむという習慣をつけておくことです。定年前から遊び方を学び、定年後の準備をしておくということです。


 こうした定年後の準備は、仕事と同じで事前の準備が大事なのです。リスト化してデッドラインを作って準備したいものです。吉越さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・フランスには週35時間以上働いてはいけないという法律があって、平日5日間の1日の平均就労時間は7時間。フランス人はそれ以上働きたがらないので、まず残業などあり得ない。だから、ワークとライフのバランスを取るという発想自体が出てこないというわけです(p17)


・愛するということは、互いを見つめ合うことではなく、共に同じ方向を見つめるということだ(p38)


・寄り添う言葉・・・「そうだね」まず、このひと言を最初に言えばいいのです(p96)


・結婚生活では・・・さまざまな波風が立ちます・・・「自分はこう思うけど、きみはどう思う?」「私はこう思うけど、あなたは?」単純化すれば、この繰り返しでいいのです(p141)


▼引用は、この本からです

吉越 浩一郎、プレジデント社


【私の評価】★★★★☆(84点)


目次

偶然を大切にすれば、必ず「運命」に出合える
仕事の生きがいなんて、あくまで期限付き
役割を演じる職場での自分は「仮想現実」
「流れ」を感じたら、その勢いに身を任せよう
価値観の違いが結婚の高いハードルになるなんてウソ
結婚とは、ふたりで同じ方向を見つめて歩んでいくこと
「おしどり夫婦」と言われて喜ぶのは情けない
手をつなげば、互いの心が穏やかになる
妻に育てられるのは、男子の本懐
「いい人」に絶対なっちゃいけない



著者経歴

 吉越 浩一郎(よしこし こういちろう)・・・1947年生まれ。大学卒業後、メリタジャパンなどを経て1983年にトリンプ・インターナショナル(香港)入社。プロダクトマネジャーなどを経て、86年よりマーケティング本部長。87年代表取締役副社長。92年代表取締役社長。毎朝八時半に開かれる「早朝会議」をはじめ、「ノー残業デー」「がんばるタイム」など、効率重視の経営で、19年連続の増収増益を達成。2006年、予定どおり60歳で社長を退任。吉越事務所を設立。


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