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「嘘と拡散の世紀 「われわれ」と「彼ら」の情報戦争」ピーター・ポメランツェフ

(2020年7月15日)|本のソムリエ メルマガ登録
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【私の評価】★★★☆☆(73点)


内容と感想

■アメリカの大統領選挙では、ロシアが
 ネット上でトランプ候補を支援し、
 トランプ支持のデモさえ演出したという。


 ロシアで暗殺事件があると、
 その犯行の裏にはアメリカがいるのでは?
 チェチェン勢力かも・・といった
 噂話がネットにアップされる。


 ロシアのクリミア併合でも
 非正規軍の軍事侵攻前には
 クリミアのロシア人が虐殺される・・
 といった偽情報が拡散されていたのです。


 ロシアではインターネット上での
 情報かく乱を、業務として
 受注している企業があるのです。


・ロシアのサンクトペテルブルクにあるインターネット・リサーチ・エージェンシー(IRA)・・・はアメリカの大統領選で世界的な悪評を得たが、主な仕事はロシア国内の反対勢力を「トロールする」ことだ・・・(p35)


■現代の情報戦は、ネット上の
 ソーシャルメディアを使って
 行なわれます。


 トロールとは、ウソ情報を大量に流すこと、
 ボットとは、人間のふりをしたロボット。
 ソックパペットとは、SNSのコミュニティ
 の中に入りこみ、わからないように
 ウソ情報を流すアカウントです。


 こうしたネット上の活動によって
 選挙の結果が左右されたり、
 政権反対デモを暴力化させて
 政府を転覆させたりすることが
 可能となってきたのです。


 だれもがスマートフォンを
 持つ時代だからでしょう。


・2012年のメキシコの大統領選挙・・・最終的に大統領に選出されたエンリケ・ペーニャ・ニエトが使ったソーシャル・メディア上の無数のペルソナ(基本的には人間のふりをしているコンピュータプログラム)・・「ペーニャ・ボット」として知られるそれらのペルソナはツイッター上に多量に作られ、ペーニャ・ニエトを支持するメッセージを吐き出すようにプログラムされていた・・・本物の人間のオペレータに入れ代わって会話を主導することもある(p79)


■大手メディアも信用できませんが、
 ネット上の情報もさらに信用できない
 という時代になってきたと感じました。


 実はトランプ大統領が大手メディアを
 フェイクニュース!と批判するのは
 一理あることなのかもしれないと
 思いました。


 メディアもネット上でも
 だれもが情報操作をしようと
 試みているのです。


 ポメランツェフさん、
 良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感したところ

・トロール工場・・・コメンターの上には編集主任がいて、ロシアのどの反対勢力の人間を攻撃すべきかを彼らに指示する。その指示のもと、コメンターは朝から晩まで彼らのことを「CIAのスパイ」「売国奴」「サクラ」と非難する(p37)


・野党の政治家ボリス・ネムツォフが2015年2月に赤の広場に建つ大聖堂の近くの橋で射殺されたとき、工場の中間管理職の男がいきなりオフィスを走りまわり、トロールに直接指示を与えたことがある・・・トロールが命じられたのは、ネムツォフ暗殺の黒幕は誰なのかについて混乱を巻き起こすことだった。ウクライナ人か?チェチェン人か?アメリカ人か?・・・暗殺と関係があると思われるクレムリンを今度はわざとぼやかしたのだった(p40)


・サイボーグの次に登場してきたのは「ソックパペット」(多重アカウントによるなりすまし)である。これはデモ参加者のオンラインコミュニティに入りこみ、中からコミュニティを操るソーシャルメディアアカウントだ・・・デモが起きると、ソックパペットが暗躍した・・・窓が壊されたスーパーの写真を添付した書き込みを行い、暴力や略奪があったという作り話を広めた(p80)


の政府系テレビは、右派セクターがクリミアのロシア系住民を虐殺しに行こうとしていると、話を捏造して放送し続けた・・・クレムリンの情報操作は軍事行動への前奏曲だった。ウクライナでのクレムリンの代理人ともいうべき非正規軍がウクライナ東部の町・・を占領した(p122)


・(セルビアの)現大統領のアレクサンダル・ヴチッチはミロシェヴィッチ政権では情報大臣だった・・・新聞社やテレビ局が、政府の広告の仕事を撮りたい、あるいは政府となんらかの契約を結びたいと思ったら、政府の規則に従わなければならない。事情はエルドアン大統領のトルコ、オルバーン・ヴィクトル首相のハンガリーでも同様である。こうした国々は見かけは市場経済だが、中身は独裁主義だ・・・今やメディアは内部からすっかり空洞化されている(p70)


・メキシコ北東部の町レイノサ・・・レイノサでは麻薬カルテルが地元の新聞社を支配している。だから新聞は・・町がいかにクリーンで平和で繁栄しているかというような記事しか載せない。だが現実の町では麻薬がらみの銃撃戦が起きており、市民が撃ちあいに巻きこまれても公式の発表ではそんなことは起こらなかったことになっていた。しかしソーシャルメディアの時代となり、事態は一変した。「レイノサ・フォロー」と名乗るツイッターのアカウントが撃ちあいの最新情報をライブで発信するようになったのだ(p81)


・中国にはそのほかにもさらに洗練された「国家公認」の活動が複数存在し、カミーユ・フランソワは、国家が支援するトロール行為を調査している。あるフランス人ジャーナリストが中国から強制退去させられた。中国の人権侵害をあえて批判したことに対して、国外追放を求める声がネット上で爆発したからだ・・・中国政府はネットを炎上させた首謀者たちを北京に招いて表彰したりごちそうしたりして、彼らを焚きつけていたのだ(p252)


・ラプラーがドゥテルテの超法規的殺害(裁判なしの処刑)を報道しはじめると、オンラインの脅迫状がひっきりなしに舞いこんだ・・・「ラプラーが伝える『殺害』はでっちあげだ」「ラプラーはドゥテルテの敵から金をもらっている」・・・フィリピン政府が(ラプラーの)マリアを告訴した。ラプラーへの投資家のなかにアメリカの財団があったことから、ラプラーは外国からの編集指示に従ったとフィリピン政府が告発したのだ・・・広告も急激に減った(p28)


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▼引用は、この本からです

ピーター・ポメランツェフ、原書房


【私の評価】★★★☆☆(73点)


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目次

序章 電報です!
第1章 トロールの町
第2章 迷える民主主義
第3章 史上最大の電撃情報作戦
第4章 やわな事実
第5章 ポップアップ・ピープル
第6章 未来はここからはじまる



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