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「トヨタ式ホワイトカラー革新」金田 秀治 近藤 哲夫

2011/05/25公開 更新
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トヨタ式ホワイトカラー革新


【私の評価】★★★☆☆(73点)


要約と感想レビュー

 トヨタのコンサルタントが、ホワイトカラー、つまり事務職の改善に取り組むとどうなるんだろう、という一冊です。トヨタでも事務職の改善は なかなか難しいようです。その理由は、作業のムダは見えやすいのですが、事務のムダは見えにくい、というところにあります。


 トヨタでは、「改善はメシを食い、眠る、と同じくらいの、生理的要素にまで高めないと、良い知恵、良い改善はできない。今すぐやれ!」と怒られるのですから、ホワイトカラーでも「忙しい」など言い訳は出ると思いますが、改善すべきことは出てくるのでしょう。


・部下の仕事の出来栄えと納期について、上司は明確に指示を出していない・・・上司が事前に要求レベルを指示していれば、より少ない人員と労力で、その仕事ができるはずである(p188)


 改善のやり方は、現場作業と同じように、目標設定、業務の見える化(測定)、改善と流れていきます。ただ、ホワイトカラー特有のムダはない、とかムダを指摘すると上司否定になる、といった改善を阻害する雰囲気は強いようです。


 この本では、「役に立たない会議、役に立たない資料づくり等々」を止めてみるとか、誰でも仕事をできるようにして「助け合う」仕組みを提案しています。


・「むだ」を排除した工数でチャレンジ活動をするのではなく、チャレンジ活動をまずは推し進めると、推し進めた分だけひとりでに「むだ」は自動的に押し出され、「むだ」の排除は進む。(p104)


 ホワイトカラーの仕事の改善に挑戦しながらも、従来のトヨタ方式の説明となっていました。トヨタ生産方式の生みの親である大野氏や鈴村氏のエピソードが秀逸でした。


 著者はトヨタに在籍中、ずっと大野氏が答えを教えてくれない非常に不親切な人だと感じていたという。しかし自分でコンサルティングしていると「考える」ということの重要さを改めて認識して、「そうか、大野さんはわれわれに「考える」という力をつけさせる「人財づくり」をやっていたのだ」と気づいたのだというのです。


 金田さん、近藤さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・人間は困らないと考えないものである。困らせるような難問を与えることで人は育つ。(p237)


・現場の仕事(または作業)の半分は「ムダ」、残り半分は、「付帯」作業と「正味」作業である。お金になる(付加価値がある)のは「正味」だけ・・・よって「ムダ」を除くことから始めた方がよい。(p191)


・組織が動くためには、
 1 トップの具体的目標指示
 2 改善サポートチーム
 3 改善のための教育訓練
 4 改善実績を毎月フォローする体制
 5 組織のトップがまず「やってみる」ことを強く勧める(p184)


・改善リーダーは、あらゆるチャンスを利用して、フォーマル、インフォーマルの「場」を構築することが肝要である。(p205)


・働いている作業員(約1500人)全員が毎日、改善活動をしているという。働いている人が単に『作業』をしているだけではなく、全員が『改善』活動をしているIE(インダストリアルエンジニア)屋である。(p39)


・阻害する大きな要因の一つは、設備故障である。設備故障があると客先に商品が届かず迷惑をかける。そのために日常から保全(TPM:トータル・プロダクティブ・メンテナンス)をメンバー全員で実施することがキーポイントとなる(p128)


・私が出した条件、提案は一つだけ、リストラ(人員整理)しないということである。過去、ある会社の改善をお手伝いして効果を上げたときに、改善して余裕が生まれた三十数名をすぐリストラされてしまった苦い体験がある。当然、改善はそこでストップした(p153)


トヨタ式ホワイトカラー革新
金田 秀治 近藤 哲夫
日本経済新聞出版社
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【私の評価】★★★☆☆(73点)


目次

第1章 トヨタ式革新の奥義
第2章 トヨタ式ホワイトカラー革新
第3章 トヨタ式革新の二一世紀展開
第4章 ホワイトカラー革新をどう進めるか
第5章 チェンジリーダーの育成が鍵



著者経歴

 金田秀治(かねだ しゅうじ)・・・ゴールドライツ代表取締役、スコラ・コンサルト・パートナー。富山大学卒業後、トヨタグループの関東自動車工業に入社。1960年代より大野耐一氏、鈴村喜久雄氏の指導を受ける。主に生産管理畑を歩み、部門戦略展開としてのイノベーション活動に幅広く取り組む。現在は、「革新し続ける企業づくり」「チェンジリーダーの育成」などに関するコンサルティング活動を行う


 近藤哲夫(こんどう てつお)・・・ケーズエンジニアリング代表取締役。慶應義塾大学卒業後、トヨタグループの関東自動車工業に入社。アメリカジョージア工科大学大学院修了。1971年より大野耐一氏、鈴村喜久雄氏の指導を受ける。関東自動車工業生産技術部長、(株)紀文食品専務取締役を歴任。技術士(経営工学部門)


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