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「それでも習近平が中国経済を崩壊させる」朝香 豊

2021/04/13公開 更新
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【私の評価】★★★★☆(88点)


要約と感想レビュー

 アリババのジャック・マー行方不明とアントグループ上場中止が報道されており、中国では何が起きているのか?と不思議に思い手にした一冊です。著者の見立ては、旧来の金融機関と近い習近平がネット金融大手のアントグループの上場阻止したというものです。


 つまり、新しいネット金融グループが上場して資金を手に入れるということは、反習近平派が金銭的に強くなってしまう。そのために勝手に便利なサービスを開発し発展してきたネット金融を、共産党のコントロール下に置こうとしているのです。


・人民元をSDRの構成通貨に組み入れるために、中国は数年以内に人民元と外貨との自由な交換を認めるようにするという約束をしました・・・むしろ外貨との自由な交換に対する制限を格段に強めました(p63)


 中国ではすべてが中国共産党にコントロールされているということを、著者が教えてくれます。自動車販売数は減り続けているのにGDPは安定成長。外貨準備高が世界一を誇っているのに、中国元を外貨に自由に交換できない。人口は増えているとされているが、実際には減少している。


 つまり、現在の中国を支えているのは「世界一の市場になるかも」とか「GDPがアメリカを超える」といった中国共産党が作り出した幻想に騙された外国企業の投資なのです。


・自動車販売数・・・2017年は2376万台だったのが、2018年は2235万台(前年比5.9%減)、2019年は2070万台(前年比7.4%減)、2020年は1929万台(前年比6.8%減)(p44)


 こうした中国の経済状況を知ってみると、なぜ中国がこの中途半端なタイミングで軍事的な対外圧力を強めていることの答えがあるように思いました。普通の人であれば、中国がもう少し我慢していれば、自然とアメリカを経済力でも軍事力でも超えるだろうと考えるはずです。


 しかし、実は中国の経済はすでに限界に来ている可能性が高いのです。GDPや人口の統計偽装で中国の市場を狙う海外からの投資を呼び込む工作活動も限界に来ており、今後は軍事力で富を手に入れようとしているのかもしれません。朝香さん、良い本をありがとうございました。



この本で私が共感した名言

・2019年10月に中国政府がこの年の第3四半期のGDP成長率が前年比で6%増加したと発表・・・向(松祚)教授は・・・「財政収入と企業利益はほとんどマイナス成長で、国税収入もマイナス成長なのに、GDP成長率はどうして6%になるのか」と書き込みました(p23)


・中国のGDP統計の偽装・・・経済成長が7.8%あったとされている1998年にエネルギー消費額がマイナス6.4%と落ち込んでいる(p41)


・中国の外貨準備ですが、建前としては3兆2000億ドル程度を保有していて、圧倒的な世界一・・・人民元を外貨に交換して持ち出すことには、すでに厳しい制限が付けられている・・・潤沢な準備があるならば、外貨への交換に厳しい制限を加える必要などないでしょう(p50)


・中国がWTO(国際貿易機関)に加盟を認められたのは2001年でしたが、この時には中国は数年後の市場開放を約束していました。しかしながらこの約束は未だに実現していないのはよく知られたところです(p143)


・2020年に上海でも空室率は22%になっていますし、北京でも19.4%まで上昇しています・・・東京のビジネスエリア(千代田区、新宿区、港区、渋谷区、中央区)でのオフィスビルの空室率・・・2020年11月に53ヶ月ぶりに4%を突破し、4.33%になりました。この空室率の上昇は日本では大問題とされている(p134)


・中国の人口は2017年の12億8千万人をピークにすでに減少している・・・中国の統計に偽装があるのは間違いありません(p185)


・すでに黒龍江省、青海省、遼寧省、吉林省では事実上年金積立金は底をついていると見られています・・・地方財政の破綻は始まりだしているというのが実情で、今後年々深刻化していくのは確実です(p190)


▼引用は、この本からです


【私の評価】★★★★☆(88点)



目次

第1章 衝撃!中国GDPの大ウソ
第2章 崩壊した「外貨準備高世界一」
第3章 債務危機のリアル
第4章 米中対立が拍車をかける


著者紹介

朝香 豊(あさか ゆたか)・・・1964年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。経済評論家。日本のバブル崩壊とサブプライムローン危機・リーマンショックを事前に予測し、的中させた。ブログ「日本再興ニュース」 https://nippon-saikou.com を主宰する。


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