「後世への最大遺物 デンマルク国の話」内村 鑑三
2012/07/16公開 更新本のソムリエ [PR]
Tweet
【私の評価】★★★☆☆(74点)
要約と感想レビュー
内村 鑑三さんは、札幌農学校に学び、あのクラーク先生達の影響で、キリスト教に改宗しています。そしてアメリカ留学。帰国後は、教師、新聞記者、キリスト教伝道活動に従事しています。その内村さんが主張する「後世への最大遺物」とは何でしょうか。
その答えは、まず、「お金」です。
・後世へわれわれの遺すもののなかにまず第一に大切なものがある。なんであるかというと金です。(p19)
しかし、金を稼ぐにはある種の能力が必要となります。だれもが金持ちになれるわけではない。では、道路や橋を作って残そうか。しかし、お金を動かせる地位になければ、大事業はできません。
では、本を書いて、思想を残そうか。しかし、だれもが本を書けるわけではありません。
結局、最後に残るだれでもが残せる最大遺物とは、「高尚なる生涯」であると、結論づけているのです。
・それならば最大遺物とは何であるか。・・勇ましい高尚なる生涯であると思います。(p54)
内村さんは、日露戦争反対、社会主義反対、アメリカの排日政策反対と、バランスの良い思想家であったことがわかります。札幌農学校で同期の新渡戸稲造さんと同じく米国留学などで、広い視野を持っていたのでしょう。あなたはどんな生涯を残すのでしょうか。
内村さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・「この世の中を、私が死ぬときは、私が生まれたときよりは少しなりともよくして逝こうじゃないか」と。ハーシェルの伝記を読んでごらんなさい(p18)
・金を儲けることは己のために儲けるのではない、・・天地宇宙の正当なる法則にしたがって、富を国家のために使うのであるという実業の精神がわれわれのなかに起らんことを私は願う(p25)
・金は後世への最大遺物の一つでございますけれども、遺しようが悪いとずいぶん害をなす。それゆえに金を溜める力を持った人ばかりでなく、金を使う力を持った人が出てこなければならない(p27)
・もしわれわれに思想がありますならば、もしわれわれがそれを直接に実行することができないならば、それを紙に写してこれを後世に遺しますことは大事業ではないかと思います(p44)
岩波書店
売り上げランキング: 2814
【私の評価】★★★☆☆(74点)
目次
後世への最大遺物
デンマルク国の話
著者経歴
内村 鑑三(うちむら かんぞう)・・・明治・大正期のキリスト教の代表的指導者、伝道者。1861年高崎藩士の子として江戸に生まれる。1877年札幌農学校に入学し、W・S・クラークの残した「イエスを信ずる者の契約」に署名。1878年受洗。1881年同校を卒業。1882年上京し、農商務省水産課に勤めたが、1884年渡米。1885年アマースト大学に入学。1887年同校を卒業し、一時ハートフォード神学校で学んだあと、1888年5月に帰国した。1891年、第一高等中学校での教育勅語「不敬事件」を引き起こして辞職。大阪の泰西学館、熊本の英学校、名古屋英和学校の教師となる。昭和5年3月28日に没した。
読んでいただきありがとうございました! この記事が参考になった方は、クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓
人気ブログランキングに投票する
メルマガ「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』」 50,000名が読んでいる定番書評メルマガです。購読して読書好きになった人が続出中。 >>バックナンバー |
配信には『まぐまぐ』を使用しております。 |
コメントする