「最後の努力 ローマ人の物語13」塩野 七生
2012/03/19公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(74点)
要約と感想レビュー
■「すべての道はローマに通ず」と言われた
古代ローマ帝国。
そのローマでさえ歴史から
消えていく運命にあります。
この本を読んで
ローマの衰退の原因は4つです。
ローマ人の心。
官僚の肥大。
税金の増大。
軍事的衰退。
・軍事力の増強は、・・行きつく先は、増税である・・国に払う一年の借地料は収入の10%と決まっていた・・ところが中世になると・・領主に払う小作料は、50%ならばほとんど天国で、70や80%になるのも珍しくなかった(p58)
■これらはそれぞれ関連しており、
外部環境の変化(蛮族の侵入)に
対応できなくなっていくことがわかります。
国力。
つまり金と国民の意思です。
抽象的な言葉ですが、
国力が弱くなって
帝国でさえ消滅する。
そのように感じました。
今の日本は、どうなんだろう。
私を含めて、
今の日本人の行動が
日本国の国力を作り、
国家の運命を作るのでしょう。
塩野さん、
良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・いかに悪い結果につながったとされる事例でも、それがはじめられた当時にまで遡れば、善き意思から発していたのであったユリウス・カエサル(p3)
・このローマ帝国も、後期になるや「大きな政府」に変貌する・・「税金を納める人の数よりも、税金を集める人の数のほうが多くなった」(p79)
・ディオクレティアヌス帝による税制の改革は、これまでの間接税を主とした税制から直接税主体の税制に変えた結果、重税にあえぐ羽目に陥ったのが、とくに中間層であったのだ(p269)
・ローマ軍の真の強さは、戦闘行為以外にも人間が成すべき「技」のすべて、を投入したところにあった・・戦闘に訴えないでも味方にしてしまうのは、もはや政治である・・(p147)
・北方蛮族の侵略が激化した三世紀からすでに、騎馬戦力を主とする蛮族に対抗するためにローマ軍も、伝統であった重装歩兵から騎兵に、軍の主力を転換せざるをえなくなっていた(p234)
・公共建築の修理を行った事実は石碑にして立ててよかったし、貧しい娘の婚資の援助が目的の財団の設立者は、その財団に自分の名を冠することが許されていた。人間は、形に遺るとなれば、より一層やる気を起こす(p91)
【私の評価】★★★☆☆(74点)
ローマ人の物語シリーズ
「ローマ人の物語 (1) ― ローマは一日にして成らず(上) 」
「ローマ人の物語 (2) ― ローマは一日にして成らず(下) 」
「ローマ人の物語 (3) ハンニバル戦記(上) (4) ハンニバル戦記(中)」
「ローマ人の物語 (5) ― ハンニバル戦記(下)」
「ローマ人の物語 (6) ― 勝者の混迷(上) 」
「ローマ人の物語 (7) ― 勝者の混迷(下)」
ローマ人の物語・ユリウス・カエサル ルビコン以前
ローマ人の物語・ユリウス・カエサル ルビコン以後
ローマ人の物語・パクス・ロマーナ
ローマ人の物語・悪名高き皇帝たち
「ローマ人の物語〈21〉危機と克服〈上〉」
「ローマ人の物語〈22〉危機と克服〈中〉」
「ローマ人の物語〈23〉危機と克服〈下〉」
ローマ人の物語・賢帝の時代
ローマ人の物語 (27) すべての道はローマに通ず(上)
「ローマ人の物語 (28) すべての道はローマに通ず(下)」
ローマ人の物語・終わりの始まり
ローマ人の物語・迷走する帝国
「ローマ人の物語・最後の努力13」
ローマ人の物語・キリストの勝利
ローマ人の物語・ローマ世界の終焉
著者経歴
塩野 七生(しおの ななみ)・・・1937年7月、東京生まれ。学習院大学文学部哲学科卒業後、イタリアに遊学。1968年から執筆活動を開始。1970年、『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』で毎日出版文化賞を受賞。この年よりイタリアに在住。1981年、『海の都の物語』でサントリー学芸賞。1982年、菊池寛賞。1988年、『わが友マキアヴェッリ』で女流文学賞。1999年、司馬遼太郎賞。2002年にはイタリア政府より国家功労勲章を授与される。2007年、文化功労者に。『ローマ人の物語』は2006年に全15巻が完結
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