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「わが友マキアヴェッリ―フィレンツェ存亡〈1〉」塩野 七生

2002/12/04公開 更新
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わが友マキアヴェッリ 1 (新潮文庫)


【私の評価】★★★☆☆(75点)


要約と感想レビュー

誰でも人は、自らのファンタジアによって行動するものです。・・・他人に忠告を与えるな。また、一般的なこと意外は他人からの忠告を容れるな。人はそれぞれ、自分の心と意思にしたがって生きるしかありません(p317)


●あの「君主論」を書いたマキアヴェッリは、
 実はフィレンツェの
 ノンキャリア役人だっんですね。


 マキアヴェッリが生きた時代は、
 都市国家間で戦争がたえませんでした。


 マキアヴェッリは、安い給与にも文句も言わず
 役人として祖国のために東奔西走します。


●現実を理解する力を持つマキアヴェッリには、
 祖国フィレンツェのとるべき道が見えていました。


 しかし、知恵はあっても力のないマキアヴェッリは、
 さまざまな提案をしますが、
 思い通りに国を動かすことができません。


 日本の役人を見ているようです。


●学生時代には面白くなかった塩野七生の本が、
 今こうして面白いと感じるのは、
 自分の成長を示すようで
 なんともいえない感慨があります。


この本で私が共感した名言

・私生活がどうあろうと、それでその人の政治能力までうんぬんする幼稚さとは、マキアヴェッリは生涯無縁であった(p234)


・すべての国家にとっては、領国を侵略できると思う者が敵であると同時に、それを防御できると思わない者も敵なのである。・・・どこの国が今までに、防御を他人にまかせたままで、自国の安全が保たれると思ったであろうか(p263)


・現実主義者が誤りを犯すのは、相手も自分と同じで、だから馬鹿なことはしないと思いこんだときである(p283)


・ことが祖国の存亡を賭けている場合、その手段が、正しいとか正しくないとか、寛容であるとか残酷であるとか、賞讃されるものかそれとも恥ずべきものかなどは、いっさい考慮する必要はない。何にも増して優先さるべき目的は、祖国の安全と自由の維持だからである(p331)


宗教を敵にまわしてはならない。また、神と関係することはすべて、敵にまわさないように心がけるべきである。なぜなら、この対象たるや、馬鹿者どもに頭に、あまりにも強力な影響力を持っているからである(グイッチャルディーニ)(p414)


・父親の蔵書の中から一冊引きだしてきてページをめくるのが,子供の読書の一歩である



【私の評価】★★★☆☆(75点)



著者経歴

 塩野 七生(しおの ななみ)・・・1937年7月、東京生まれ。学習院大学文学部哲学科卒業後、イタリアに遊学。1968年から執筆活動を開始。1970年、『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』で毎日出版文化賞を受賞。この年よりイタリアに在住。1981年、『海の都の物語』でサントリー学芸賞。1982年、菊池寛賞。1988年、『わが友マキアヴェッリ』で女流文学賞。1999年、司馬遼太郎賞。2002年にはイタリア政府より国家功労勲章を授与される。2007年、文化功労者に。『ローマ人の物語』は2006年に全15巻が完結


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