「池田大作「権力者」の構造」溝口 敦
2009/10/03公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★☆☆☆(66点)
要約と感想レビュー
昭和50年代に書かれた創価学会についての本です。すでにこの時点で、公明党は政党として力を持っており、今の政権政党となる基礎を作っていた時期です。
やはり池田大作という人間に興味が出てきました。池田氏は、「国立戒壇建立のためには、関所というべきどうしても通らなければならないのが、創価学会の選挙なのでございます」「一致団結、火の玉に」『聖教新聞』昭和34年5月8日)『日本をみれば自民党、社会党、創価学会の三国志なんだ。共産党なんか問題でない。世界もまた三国志である』(『聖教新聞』昭和35年1月1日)と発言しているとおり、政治に興味があるようです。
そして池田氏は「共産主義者は、ソビエトで、何よりも先に印刷工場をつくった、と聞いております。そうすることが革命への方程式だ」「広宣流布は文化活動である」と発言しており、出版活動によるプロパガンダを重要視していたことがわかります。実際に創価学会は、『潮』潮出版社『第三文明』『灯台』などで出版活動を積極的に行っているのです。
・赤裸々な池田像・・・
1 43年7月参院選をピークとする大量替玉の脱税の疑い、
2 共産党委員長・宮本顕治宅をはじめとする盗聴行為、
3 池田自身と創価学会の脱税の疑い、
4 国有地などの土地、不動産の不正取得、
5 公明党との政教分離の不履行、
6元民音職員・松本勝弥などの裁判での偽証工作(p310)
池田氏は「創価学会は全大衆の最大の味方であります。敵は邪宗教であります。邪宗教は人々を地獄に落とす。正法は仏にする」と語り、三百万世帯の達成、世界の名材を使用した大客殿の建立、邪宗教の徹底的粉砕という三大目標を明らかにしています。
三百万世帯の達成のために何をしたかといえば、未会員の家に大勢で上がり込んで折伏(しゃくぶく)をしていたというのです。折伏(しゃくぶく)とは、入会しなければ無間地獄に落ちるとの威迫によって、会員を増やしていったのです。
この本が出版されてから20年がたっています。池田氏の亡きあとは、一体どうなるのでしょうか。興味深いです。
この本で私が共感した名言
・当時の最高幹部はこうも語っている。「池田は頭が悪かった。私が哲学を勉強しろと本を貸しても読み通せない。いつも途中で放り出していた。ただ指導力はあった。人をその気に持っていくのはうまかった(p232)
・創価学会が短日月に急伸した理由のひとつに、戦後の日本での軍国調の再現が挙げられる。・・・創価学会はこれに答え、「死を賭しても」という緊迫感と精神の昂揚を彼らに与え、彼らを「邪宗」との闘争に導き、英雄的な陶酔感を味あわせた。池田も「身命を捧げて」といった言葉を多用している。(p166)
・昭和56年現在、創価学会が好んで表面に立てる会員芸能人には、山本リンダ、朝比奈マリア、研ナオコ、朱里エイコ、泉ピン子、岸本加世子、大野えり、桂木文らがいる。(p290)
・創価学会は昭和49年から52年にかけて会員から特別財務として670億円を集め、全国各地に会館や研究所を乱立させたが、山崎正友の手記(『週刊文春』、昭和55年12月4日号)によれば、そのうちの三分の一を下らない額を池田専用の豪華施設に振り向けたという(p360)
講談社
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【私の評価】★★☆☆☆(66点)
目次
第1章 知られざる生い立ち
第2章 偽造の履歴
第3章 戸田城聖の番頭から創価学会の大幹部へ
第4章 三代目への抗争
第5章 池田大作の独裁体制へ
終章 池田大作とその時代
著者経歴
溝口 敦(みぞぐち あつし)・・・ノンフィクション作家。ジャーナリスト。1942年、東京都に生まれる。早稲田大学政治経済学部卒業。出版社勤務などを経て、フリーに。著書には、「暴力団」「続・暴力団」(以上、新潮新書)、「危険ドラッグ 半グレの闇稼業」(角川新書)、「詐欺の帝王」「歌舞伎町 ヤバさの真相」(文春新書)、「パチンコ30兆円の闇」(小学館文庫)、「武富士 サラ金の帝王」「食肉の帝王、さらに「血と抗争 山口組三代目」「山口組四代目 荒らぶる獅子」「ドキュメント 五代目山口組」「武闘派 三代目山口組若頭」「撃滅 山口組vs.一和会」「四代目山口組 最期の戦い」「六代目山口組ドキュメント 2005~2007」(以上、講談社+α文庫)などの一連の山口組ドキュメントなどがある。常にきわどい問題を扱い続けるハード・ノンフィクションの巨匠。「食肉の帝王」で、第25回講談社ノンフィクション賞を受賞した。
創価学会関連書籍
「創価学会とは何か」山田 直樹
乱脈経理 創価学会VS.国税庁の暗闘ドキュメント」矢野 絢也
「カルトとしての創価学会=池田大作」古川 利明
「お笑い創価学会信じる者は救われない」佐高 信、テリー伊藤
「池田大作「権力者」の構造」溝口 敦
「創価学会財務部の内幕」「学会マネー」研究会
「創価学会の研究」玉野 和志
「芸能人と新宗教」島田裕巳
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