「食肉の帝王」溝口 敦
2010/03/23|

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【私の評価】★★★☆☆(79点)
■地盤沈下が激しいと言われる大阪ですが、
大阪で同和と暴力団と政治家を使って
財をなした浅田満さんの調査記録です。
現在、BSE(狂牛病)問題の牛肉買い上げによる
国の補助制度を利用し不正を行ったとして、
詐欺罪などで逮捕、裁判中のようです。
この本は、逮捕以前に発行されており、
浅田満の逮捕に大きな影響を与えたのか、
それとも警察によるリークなのかでしょうか。
■この本で見えてくるのは、
同和による税金の優遇、
公共事業の浪費です。
これでは、財政破たんするのも
当たり前のように感じました。
・68年1月、当時の高木文雄・大阪国税局長が
部落解放同盟などとの団体交渉の席で、
同和地区の状況を踏まえて課税すると申し合わせた。
簡単にいえば、課税面で優遇するという話です・・・
ただ近年はなくなったはずですけど(p58)
・羽曳野市・・・教育費の52%、
土木費の65%が同和予算です。
そして同和事業の総額が決算しました
全予算の三分の一を占めました・・(p84)
■本書の主人公浅田満は、同和の力だけでなく、
山口組との関係もうまく利用していたようです。
同和と山口組と政治家に関係があれば、
「アンタッチャブル」のような
力を持っていたようです。
ただ、この点については、
あくまでも取材による聞き取りによるものですが、
ここまで書いて、著者の身に危険はないのでしょうか。
・浅田さんから山口組にカネが流れるいうんは
一面の事実に過ぎんわけ。そやなく、
逆に大金を抱えた関西の親分筋が浅田さんに
『このカネ預かといてや』と
百億の単位のカネを出してる。
親分筋にすれば税務署が怖いし、
安心できる保管先もない(p240)
■世の中、いろいろな世界があるのだな、
と思いました。
溝口さん、怖い世界を見せていただき
ありがとうございました。
■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・中部国際空港建設・・・ヤクザの息のかかった会社は
業者が生コンを搬入するたび、一立法メートル当たり
千~千五百円をピンハネする。(p224)
・部落解放同盟に籍を置く者たちは何をやっても自由、
払うべきものを払わなくても自由という「聖域」を
許した官僚エリートの臆病と事なかれ主義、
バラ撒き行政が浅田にど外れた富を許し、
同時にその富を汚したのだ(p278)
・大阪府では府知事・太田房江以下、
府議の半分以上、府庁幹部の過半が
浅田の子分同然だったとされる(p292)
講談社
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【私の評価】★★★☆☆(79点)
■著者紹介・・・溝口 敦(みぞくち あつし)
1942年生まれ。
出版社勤務などを経てフリー。
著書多数。
読んでいただきありがとうございました!
いつも応援ありがとうございます。
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