「わしの眼は十年先が見える」城山 三郎
2010/03/24|

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【私の評価】★★★☆☆(79点)
■倉敷紡績(クラボウ)、中国水力電気会社(中国電力)
倉敷絹織(クラレ)、中国合同銀行(中国銀行)などを
設立した大原孫三郎の生涯です。
倉敷では、大原美術館が有名ですね。
■孫三郎の特徴は、
当時の資本家と労働者という考え方ではなく、
両者平等の視点に立ち、
労働環境の改善に尽力しているところです。
株主への配当を減らしてでも、
かなりの資金を労働者のために
使っています。
・利益処分の中に、職工賃金調節資金、工場衛生研究費、職工組合基金、従業員退職手当資金などを次々に設け、積み立てをはじめた・・・他社は十割の配当を出したりしている中で、孫三郎は配当を抑えると発表し、六割以内にとどめた(p183)
■また、人材育成にも大金を投じており、
育英資金、留学資金を出しています。
当時は海外に出るのが、
最高にして高額な勉強だったことが
よくわかります。
・孫三郎の口癖のひとつが、「自分は勉強しない代わりに、他人に勉強してもらう」であったが、その言葉通り、孫三郎は大正年間に24人を欧米留学に送り出した(p217)
■「一度、倉敷の街に行ってみたいな」
そう思わせてくれる一冊でした。
城山さん、よい本をありがとうございました。
━━━━━━━━━━━
■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・十人の人間の中、五人が賛成するようなことは、たいてい手おくれだ。七、八人がいいといったら、もうやめた方がいい。二、三人ぐらいがいいという間に、仕事はやるべきものだ・・・一人もいいと言わないときにやると、危ない(p298)
・子孫は先祖の誤りを正すためにあるんじゃ。わしはそう思って、やってきた(p265)
新潮社
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【私の評価】★★★☆☆(79点)
■著者紹介・・・城山 三郎(しろやま さぶろう)
1927年生まれ。2007年没。
『総会屋錦城』で直木賞。
『落日燃ゆ』で吉川英治文学賞、毎日出版文化賞。
『もう、きみには頼まない』で菊池寛賞。
著書多数。
読んでいただきありがとうございました!
いつも応援ありがとうございます。
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はじめまして、てんぷうと申します。
本のソムリエ様のお陰で喜多川泰さんの作品の他、私の人生に大きな影響を与えた本を多数知ることができ、とても感謝しております。
ソムリエ様を知ったのはメルマガでしたので、実はこのブログを訪問したのは今日が始めてでした。
毎日素晴らしい記事を書かれていることに感銘を受けております。楽しみにしていますので、これからも頑張ってください。
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この本は実際に私が倉敷を訪れた際に、
街の素晴らしさと大原孫三郎という人物に
興味を惹かれ、思わずそこで買った本でした。
図らずも、本のソムリエさまと、
私がこの本で共感した箇所が一致したことに、
驚いたと同時に、
このメルマガの活用で
私も「本の読み方」が身についてきたのかも
という嬉しい気持ちになりました。
これからも宜しくお願いします。
「自分は勉強しない代わりに、
他人に勉強してもらう」
これはしびれますね~~
私も会社では教える立場にありますので、
参考にします。
本当に昔の人から学べることって
たくさんありますね。