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「わしの眼は十年先が見える―大原孫三郎の生涯」城山 三郎

2010/03/24公開 更新
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わしの眼は十年先が見える―大原孫三郎の生涯 (新潮文庫)


【私の評価】★★★☆☆(79点)


要約と感想レビュー

倉敷紡績(クラボウ)、中国水力電気会社(中国電力)倉敷絹織(クラレ)、中国合同銀行(中国銀行)などを設立した大原孫三郎の生涯です。倉敷には大原孫三郎が資金を出して集めた美術品が見られる大原美術館があります。


孫三郎の特徴は、当時の資本家と労働者という考え方ではなく、両者平等の視点に立ち、労働環境の改善に尽力しているところです。株主への配当を減らしてでも、かなりの資金を労働者のために使っていたという。例えば、多くの会社が十割配当する中で、孫三郎は配当を六割以内にとどめ、労働者ための基金や退職手当資金などを積み立てていたのです。


また、人材育成にも大金を投じており、育英資金、留学資金を出しています。孫三郎は、「自分は勉強しない代わりに、他人に勉強してもらう」とよく言っていたという。実際に、孫三郎は大正時代に24人を欧米留学に送り出したという。当時は海外に出るのが、最高にして高額な勉強だったのです。


「一度、倉敷の街に行ってみたいな」そう思わせてくれる一冊でした。城山さん、よい本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・十人の人間の中、五人が賛成するようなことは、たいてい手おくれだ。七、八人がいいといったら、もうやめた方がいい。二、三人ぐらいがいいという間に、仕事はやるべきものだ・・・一人もいいと言わないときにやると、危ない(p298)


・子孫は先祖の誤りを正すためにあるんじゃ。わしはそう思って、やってきた(p265)



【私の評価】★★★☆☆(79点)


目次

一 やる可し、大いにやる可し
二 「友達」の顔
三 大集会の大男
四 不学の大学者
五 済人道楽
六 一本の電話
七 人生最後のおねだり
八 「エヲカッテヨシ カネオクル」
九 大不況の中で
十 勲三等の旅
十一 一人息子への手紙
十二 いちばんの傑作



著者経歴

城山三郎(しろやま 三郎)・・・(1927-2007)名古屋生れ。本名、杉浦 英一(すぎうら えいいち)。海軍特別幹部練習生として終戦を迎える。一橋大学を卒業後、愛知学芸大に奉職し、景気論等を担当。1957(昭和32)年、『輸出』で文学界新人賞を、翌年『総会屋錦城』で直木賞を受賞し、経済小説の開拓者となる。吉川英治文学賞、毎日出版文化賞を受賞した『落日燃ゆ』の他、『男子の本懐』『官僚たちの夏』『秀吉と武吉』『もう、きみには頼まない』『指揮官たちの特攻』等。2002(平成14)年、経済小説の分野を確立した業績で朝日賞を受賞。


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この著者の本


コメント(3)

はじめまして、てんぷうと申します。
本のソムリエ様のお陰で喜多川泰さんの作品の他、私の人生に大きな影響を与えた本を多数知ることができ、とても感謝しております。
ソムリエ様を知ったのはメルマガでしたので、実はこのブログを訪問したのは今日が始めてでした。
毎日素晴らしい記事を書かれていることに感銘を受けております。楽しみにしていますので、これからも頑張ってください。
応援クリック!!

この本は実際に私が倉敷を訪れた際に、
街の素晴らしさと大原孫三郎という人物に
興味を惹かれ、思わずそこで買った本でした。

図らずも、本のソムリエさまと、
私がこの本で共感した箇所が一致したことに、
驚いたと同時に、

このメルマガの活用で
私も「本の読み方」が身についてきたのかも
という嬉しい気持ちになりました。

これからも宜しくお願いします。

「自分は勉強しない代わりに、
 他人に勉強してもらう」

これはしびれますね~~

私も会社では教える立場にありますので、
参考にします。

本当に昔の人から学べることって
たくさんありますね。

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