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「逆境を生きる」城山 三郎

2010/07/11公開 更新
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逆境を生きる


【私の評価】★★★★☆(86点)


要約と感想レビュー

■戦争前後を生き抜いた
 真珠の御木本幸吉、A級戦犯となった広田弘毅、
 ライオン宰相と呼ばれた浜口雄幸の生き方から、
 男の生き方を考察した一冊です。


 城山さんは、「落日燃ゆ」「男子の本懐」など
 彼らを主人公にした小説を書いていますので、
 その資格があるのでしょう。


■城山さんが言いたかったことは、
 逆境を切り開いている人には、
 偶然はないということです。


 興味を持つ、それを調べる、
 改善点を提言する、実行する、
 といったその人間の行動が、
 逆境を切り開いていくということです。


・渋沢栄一・・・そうやって勉強して吸収していくと、当然ながら、ここはちょっとおかしいじゃないか、ってところが出てきます。・・・それを今度は、書くのです。建白する(p25)


■人にはそれぞれ特徴がありますが、
 それぞれの人にはそれに応じた器があり、
 それに応じた運命が待っているという
 ことなのでしょう。


 城山さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・御木本幸吉、あの真珠王は、汽車に乗る時は二等車には決して乗りませんでした。必ず、一等車か三等車に乗る・・・いずれも情報が取れる(p17)


・<三本の矢>の教訓も嘘ですね。・・・団結の必要性を繰り返し説いたのは事実です。元就は息子たちに対して膨大な数の手紙を残しています(p60)


・中山素平さんも、「人を選ぶ時には、なりたくない人を選ぶんだ」と言っていました。「なりたい、なりたい」という人は、リーダーの器ではないのかもしれない。(p119)


・浜口に「自分は死ぬ覚悟でやる。あんたも自分と一緒に死んでほしい」とまで言われ、「そこまで自分を見込んでもらえるなら、私も命を投げ出しましょう」。ここで、初めて二人が結ばれるのです(p175)


・人間が大きな事を成そうと思ったら・・・まず四囲の状況を観察して、足元と背後をしっかり固める。その上で、やり始めたら、「信念が兎の毛ほども動いてはならない」。そして、「問題は最後の五分間だ。うんと踏ん張るべし」(p185)


逆境を生きる
城山 三郎
新潮社
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【私の評価】★★★★☆(86点)



著者経歴

 城山三郎(しろやま 三郎)・・・(1927-2007)名古屋生れ。本名、杉浦 英一(すぎうら えいいち)。海軍特別幹部練習生として終戦を迎える。一橋大学を卒業後、愛知学芸大に奉職し、景気論等を担当。1957(昭和32)年、『輸出』で文学界新人賞を、翌年『総会屋錦城』で直木賞を受賞し、経済小説の開拓者となる。吉川英治文学賞、毎日出版文化賞を受賞した『落日燃ゆ』の他、『男子の本懐』『官僚たちの夏』『秀吉と武吉』『もう、きみには頼まない』『指揮官たちの特攻』等。2002(平成14)年、経済小説の分野を確立した業績で朝日賞を受賞。


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