「もう、きみには頼まない 石坂泰三の世界」城山 三郎

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もう、きみには頼まない―石坂泰三の世界 (文春文庫)

【私の評価】★★★☆☆(72点)


■東芝に興味があって読んだ一冊。


 戦前は第一生命社長、戦後は東芝社長という
 石坂泰三の人生をたどりながら、
 人間 石坂泰三がわかります。


 石坂泰三さんの
 エピソード集といった趣でした。


・「人間にも燃料が要る。たくさん食え、
  うまいものを食え、おいしく食え」
  が、石坂の持論であった(p19)


■印象的なのは強烈な自尊意識でしょう。


 タイトルのように大蔵大臣に
 「もう、きみには頼まない
 と切れる。


 マッカーサーに呼ばれても行かない。
 「用があるなら、こっちへ来ればいい
 と、バッサリ。


 こうした人だからこそ、
 大きいこともできたのでしょう。


・帰国した石坂は、「なぜアラビア石油に肩入れするのか」
 との記者たちの質問に、反問する形で答えた。
 「どうして日本は第二次大戦に突入したんだい
 石油が無かったためじゃないのか」(p172)


■昔は偉い人が多かったという
 イメージがありますが、
 どうなのでしょうか。


 豪快な人を許容する余裕があったか、
 良い加減さがあったのかもしれません。


 豪快な人が
 活躍できる場があったのです。


 城山さん、
 良い本をありがとうございました。


─────────────────────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・経団連ビル建設に際してのエピソード・・・
 大手町の一画に在る千八百坪の国有地払下げを申請した・・・
 石坂は正面から、そして、何度も何度も大蔵省へ
 足を運び、大蔵大臣水田三喜男に頭を下げた。
 それでも、大蔵省側はのらりくらりするばかり・・
 「もう、きみなんかに頼まない!」
 水田にとっては災難であった。(p13)


・連合国軍司令部の入った日比谷の第一生命ビルは、
 もともと石坂が「普請奉行」として建てたもので、
 石坂の社長室をマッカーサーもそのまま使っていた・・
 このビルをつくらせ社長室の主をしていた男は、
 どんな男だったのか。その顔を見てみたい・・・
 「行かねえよ」石坂の返事がこれであった。さらに、
 付け加えた。「用があるなら、こっちへ来ればいい」(p16)


・商人と屏風は曲がらなければ立てない、というが、
 サラリーマンだってそれは同じであろう。曲がると
 申しても、決して悪いことする意味じゃない。
 己を抑えること、心にもないおつとめをつとめる
 ことだ。これも商売の上、勤務の上ではどうしても
 仕様のないものだが、個人としては出来るだけ
 ご免こうむりたいのが人情である(p36)


・社長は東芝在籍五年以上の者から選ぶ、という
 内規である。第一生命は早くから芝浦製作所株を持ち、
 戦中にはGEの持株も引き受けて東芝の大株主
 となっており、その関係から石坂は昭和15年6月より
 21年まで同社の社外重役を兼ねていた(p115)


・会費(税金)が余ったら、会員(国民)へ戻すべきで、
 あれこれ余計なことに手を広げるべきではない、・・・
 自由主義者石坂の頭の中には、治安とゴミ処理ぐらいが
 政府の仕事
、という夜警国家論があり、事ある毎に
 その正論をくり返した(p217)


もう、きみには頼まない―石坂泰三の世界 (文春文庫)
城山 三郎
文藝春秋
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【私の評価】★★★☆☆(72点)


■目次

それがしの1日
善遊善学
当て外れの転職
不思議な役員会
押し入れの中の情報
目標なき生活
凄い奴が来た
特別な日・特別の人
二人の首くくり
温室の中
わがまま適齢期
無所属の時間
後任人事
大成功の宵
大いに不満
命を楽しむ人


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