「モーツァルトと量子力学」糸川 英夫
2014/10/16公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(79点)
要約と感想レビュー
■ロケット開発の父、天才といわれる
糸川先生のエッセーです。
脈絡はないのですが、
テーマは世界的な研究者だけあって
日本と海外の文化比較が多い。
糸川先生からすると、
日本は資源のない島国でありながら、
なんとか経済成長してきた
変わった民族なのでしょう。
・電気冷蔵庫は、ただし、アメリカと違って、土地の下に石油のない国なのだから、はるかかなたの中東から石油が幸運にも運搬移動されている間は、アメリカなみに作動しているが、油が切れて、電気が切れたら忽ちアウトである(p59)
■これだけ人・物・金が
世界を移動するようになると、
国際性を持った人材が欠かせません。
外国の人といかに
うまく付き合っていくか、
ということです。
そのためには、独りで海外旅行をしてみよう。
できれば長期間滞在して
生活してみることを推奨しています。
・「国際性」を持つということは、世界の各地に「土地カン」を持つことがベースだ、と私は考えている。・・・その方法の一つとして提案してみるのが、このエッセーのテーマ「海外旅行一人旅」のすすめである(p242)
■糸川先生は天才だと思いましたが、
本人は自分が感動したことを
ただ突き詰めているだけなのかもしれません。
探究することが好き。
すきだからやる。
だから天才なのです。
糸川さん、
良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・一つの技術が生まれる背景を度外視して、モーレツに吸収し、日本という土壌の中に、強引に植え付けて、独自のものにしてしまうバイタリティは、異常なものと言えよう(p64)
・氏いわく、・・韓国のどこへ行っても、秀吉の韓国侵略の被害の話で・・・「怨念」と民族の関係についてツキツメて考えこむことになった。そこで八重洲のブックセンターに二日通って、「怨念」に関する本を全部買うことにした(p136)
・科学技術雑誌も、一種の週刊誌と同じように、エンターテイメントが必要で、「面白く」なければならないのに、「解説」ばかりが出て来る。このあたりはクラッシックの音楽会のプログラムと同じで、「解説」である(p177)
・テヘラン大学の助教授というシロニー氏は「日本とユダヤだけが、非キリスト教国で文化、経済、技術で成功を収めた民族で、非キリスト教徒であるために、世界の問題児、異端とされ、時として弾圧され、いわれない批判も受ける」という(p204)
・ユダヤについて弦楽器奏者の優れた人を出しているのは、日本と言われている(p6)
・アメリカでは文科系志望が多い。中身は、「法律」と「経営」ビジネス・スクールである・・ここを出ないと一流会社の管理職になれない、となると、Bスクールの花盛りになる。以上の背景には「エンジニア」は所詮、管理される立場で、中世のギルド制度を思わせる「職人」の延長線上にある。つまり「技術者」軽視である・・・日本は随分違う(p273)
・ケプラーの法則を高校の物理の時間に習った時は大きな衝撃をおぼえた。・・・物理学で二回目のショックは、量子力学、・・・アインシュタインの相対性原理は、大学の工学部の物理学で習った。・・簡単明瞭な結論が出て来たときは、大変ショックであった・・どれも私の人生の中の大きな感動であり、宇宙の「美学」であった(p189)
・アレルギー性鼻炎・・・鼻の穴の中に、食塩水を注入することを思いついた。・・・この頃は、食塩のほかに「ウガイ薬」も併用している(p118)
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【私の評価】★★★☆☆(79点)
目次
景気をよくする法
「ごうまん」という落とし穴―日本文化の原点を見る
「工学博士」だけのカルテット―「音学」から「音楽」へ〈1〉
家元とコンクールの違いと共通性―「音学」から「音楽」へ〈2〉
本物の音楽を聴いたとき
「テクノロジーよ、お静かに」
江夏投手の話から
「電気冷蔵庫」の不思議さ
マーケティングは、同じ数字でも動機が違うのだ
「液体の磁石」という妄想
無視という不毛の批判
演奏家と顔
日本語と読心術
フィリップ公の予言は当たったか
空想の楽しみ
著者経歴
糸川 英夫(いとかわ ひでお)・・・・日本の工学者。(1912年7月20日生まれ、1999年2月21日没)専門は航空工学、宇宙工学。ペンシルロケットに始まるロケット開発で「ロケット開発の父」と呼ばれる。1967年、東大を退官し組織工学研究所を設立。
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