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「見えない洪水 ケースD」糸川英夫

2019/11/16公開 更新
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【私の評価】★★★☆☆(74点)


要約と感想レビュー

 昭和56年(1979年)に、糸川先生が20年後の1999年を予想して書いた未来小説です。オイルメジャーが食糧メジャーと結託し、国連も動かして世界を支配しようとしているという設定です。


 食料危機をテーマにするところが、糸川先生の世界情勢を見る目のレベルの高さがわかります。


 この小説から分かるのは、糸川先生の未来を予想する力のすごさです。当たっている点はハイブリッドカー、アルコール燃料、中国の台頭、オイルメジャー・食糧メジャーの支配構造、世界の温暖化などです。


 アメリカは国内の石油開発に力を入れず、中東から石油を買い、できるだけ早く中東のオイルを減らしてしまうという戦略を喝破しています。また、ソ連が中東の石油を支配するとしても、アメリカ国内に石油資源が残っていれば、ソ連と戦えるのです。また、食糧でも世界を支配しておけば、ソ連を牽制できるというのです。


 1980年代で中国における小中学校の就学率がすでに90%を超えていることと、2000年に中国は人口が14億人くらいまで増えることを考え合わせれば、アメリカと拮抗する勢力になっていると予想しています。


 日本については、食糧の自給率にこだわり、コスト高の主食の米や石炭を問題視しています。石炭については日本の国内炭は閉山しましたが、米についても関税から補助金化するなどの対策が必要なのでしょう。


 小説としては今一ですが、科学者としては一流だと思いました。糸川先生、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・みんなが使っている電気自動車やアルコール電気ハイブリッド・モーター車・・(p32)


・穀物メジャーは不気味な存在だね・・もしかしたら、オイル資本よりこっちの方が政治的にはウエイトが大きいかもしれない(p52)


・みどり藻から作ったジュースだよ。飲んでごらん。意外にうまいんだ。健康にもいい(p92)



【私の評価】★★★☆☆(74点)



著者経歴

 糸川 英夫(いとかわ ひでお)・・・・日本の工学者。(1912年7月20日生まれ、1999年2月21日没)専門は航空工学、宇宙工学。ペンシルロケットに始まるロケット開発で「ロケット開発の父」と呼ばれる。1967年、東大を退官し組織工学研究所を設立。


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