「見えない洪水 ケースD」糸川英夫


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【私の評価】★★★☆☆(74点)
要約と感想レビュー
■昭和56年(1979年)に糸川先生が
20年後の1999年を予想して書いた
未来小説です。
オイルメジャーが食糧メジャーと結託し
国連も動かして世界を支配しようと
しているという設定です。
食料をテーマにするところが
糸川先生の世の中を見る目の
レベルの高さがわかります。
■この小説から分かるのは糸川先生の
未来を予想する力のすごさです。
当たっている点はハイブリッドカー、
アルコール燃料、中国の台頭、オイルメジャー、
食糧メジャーの支配構造、世界の温暖化など。
小説としては今一ですが、
科学者としては一流なのでしょう。
糸川先生、
良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・みんなが使っている電気自動車やアルコール電気ハイブリッド・モーター車・・(p32)
・穀物メジャーは不気味な存在だね・・もしかしたら、オイル資本よりこっちの方が政治的にはウエイトが大きいかもしれない(p52)
・アメリカはせっせと石油を買い、備蓄している。できるだけ早く中東のオイルを減らしちまえという狙いもあるし、いずれソ連が中東のオイルに手を出してくると読んでいる・・そのときアメリカは、すでに腹一杯のオイルを抱えている。もし戦争という事態になったらどちらが有利か、これはいうまでもない・・・食糧の方でも牽制しておきさえすれば、ソ連は手も足も出ない(p53)
・中国はどうなんだ?アメリカと拮抗する勢力になり得ないだろうか・・今すぐには無理だよ。しかし20年も経てば、確実にそうなるね・・中国における小中学校の就学率がすでに90%を超えている・・・西暦2000年には14億人になる。その頃の中国は大変な力を身につけていると思うよ(p56)
・日本は食糧の自給率にこだわりすぎている。・・世界中でこれほどコスト高の主食を食っている国民は他にないと思うよ・・米は石炭と同じで早く切り捨てなくちゃね・・日本がいつまでもこの狭い国土でコスト高の米にこだわるのはおかしいよ(p57)
・みどり藻から作ったジュースだよ。飲んでごらん。意外にうまいんだ。健康にもいい(p92)
【私の評価】★★★☆☆(74点)
著者紹介
糸川 英夫(いとかわ ひでお)・・・・日本の工学者。(1912年7月20日生まれ、1999年2月21日没)専門は航空工学、宇宙工学。ペンシルロケットに始まるロケット開発で「ロケット開発の父」と呼ばれる。1967年、東大を退官し組織工学研究所を設立。
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