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「「対日工作」の内幕 情報担当官たちの告白」時任 兼作

2019/11/15公開 更新
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「対日工作」の内幕 情報担当官たちの告白


【私の評価】★★★☆☆(74点)


要約と感想レビュー

 スパイ防止法のない日本では、工作員の活動があまり見えません。この本では宗教、暴力団、政治、スパイ、凶悪事件などを追っている著者に、他国の諜報活動を教えてもらいましょう。


 まず、興味を引いたのは、オウム真理教がロシアから武器を輸入していたこと。また、オウム真理教が村井氏を暗殺するのに北朝鮮関係者を利用した可能性があることです。日本には在日韓国人が多数住んでいますので、北朝鮮の工作員も多数存在しているのでしょう。


・『村井刺殺事件』の実行犯の周辺には、北朝鮮の工作員や朝鮮総連の関係者がいたことがわかっている。そして、北朝鮮の十八番とも言える覚醒剤や偽ドルに教団も関わっていた(p13)


 そして、諜報関係では時々、不審な死者が出ています。


 諜報活動が明らかなものとしては、2004年在上海総領事館員が「一生あの中国人達に国を売って苦しまされることを考えると、こういう形しかありませんでした」と自殺したものが有名です。


 それ以外にも不審な死としては、2014年、内閣府職員の白石耕祐が渡韓後、北九州沖で遺体で発見。2015年、防衛省から内閣府情報保全監察室に出向していた神原紀之参事官が、屋久島で死亡。諜報の世界では、真実は世の中には出にくいのだと思います。


・"あの女"とは、王明清(仮名)・・・本職は中国共産党の機関紙『人民日報』の海外版を制作していた日中新聞社の社長であり、人民日報日本支社長・・2014年1月30日・・佐藤秀延氏が散弾銃で撃ち殺された・・殺害したのは、別居状態にあった息子・・佐藤氏は日中新聞の会長であり、もちろん中国の工作員。また王さんと内縁関係にあり、事件当日も王さんと会食の予定があった・・事件現場のマンションに菅義偉官房長官が居住していた(p148)


 内容の真偽の確認できないものも多く、参考くらいに読むのがよいのでしょう。ただ、大きい流れとして日本が各国の諜報機関にとって天国なのは間違いないのです。共産党や民主党は反対すると思いますが、今後、他国と同じようにスパイ防止法など法整備が必要なのだと思います。時任さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・オウム真理教は旧ソ連軍が採用したカラシニコフの74型アサルトライフルであるAK-74を買い付けたばかりか、それを基にして日本国内で銃の密造を企てた・・大型軍用ヘリコプター『ミル17』を実際にロシア軍から購入・・スペツナズによる軍事訓練(p12)


・2007年・・海上自衛隊第1護衛隊群に所属し、イージス艦『きりしま』に乗船していたこともある二等海曹の中国人妻が、出入国管理法違反(不法滞在)の容疑で逮捕された・・自宅を捜索したところ・・イージス艦搭載のレーダーシステムなどのデータが入った記録媒体が見つかった・・流出に関わった隊員5名が書類送検された(p92)


・陸上自衛隊で約500人、海上自衛隊では約200人、航空自衛隊においても約100人、計800人が外国人の配偶者を持つ・・そのうち約600人、70%以上が中国人だ。しかも、これには日本に帰化した中国人は含まれていない(p93)


・中国大使館の公使が女性スパイの直属の上司・・学者グループだけで約500人ものスパイがおり、企業や研究所となると、桁が増えて4000人余ものスパイの存在が確認されている。さらに繁華街の飲食店や歓楽街で店員やホステス、マッサージ嬢などとして働くスパイとなると2万6000人にもおよぶ(p234)


・内閣府職員の白石耕祐・・2013年7月から・・韓国系留学生の多い米国ミネソタ大学に留学・・翌年1月に渡韓・・
 1月4日 ゲストハウスに実名で宿泊
 1月6日・・偽名でほかのホテルに荷物を預ける・・ゴムボートを、香港出身のAlex Po名義で約10万円で購入・・
 1月8日 国際会議初日、欠席。プサンに移動後、ボートを受け取り、米国製の船外機、韓国製のバッテリーを自分の名義のクレジットカードで購入。
 1月11日 ソウルに戻り、ゲストハウスを引き払う・・
 1月18日 北九州沖でゴムボートが漂流・・
 1月20日 ボムボートの中から遺体(p105)


・2015年7月、防衛省から内閣府情報保全監察室に出向していた神原紀之参事官が、なぜか屋久島町で遺体となって発見された(p82)


・国連人権委員会に慰安婦の強制的な徴募についての特別報告を行ったクマラスワミ女史は、スリランカの首都・コロンボにある自宅で『韓国外交部合同取材団』なるグループの取材に応じていた。(2014年)「朝日新聞」が同月の5,6日に特集記事で、慰安婦募集の強制性の根拠となっていた『吉田証言』を虚偽と判断し、関連記事を撤回した直後のタイミングである(p229)


・民主党政権時、日本政府は韓国・北朝鮮の工作をずいぶんと受け、かなりの協力者を政府や内閣府に受け入れてしまった。その結果、そういった協力者からリクルートされ、さらなる協力者に仕立て上げられた日本の役人も出てきた(p108)


・レフチェンコ氏は、KGBの日本人エージェントらおよそ30名について証言していますが、そのうち4人が政治家です
 石田博英 元労働大臣。内閣官房長官や運輸大臣・・
 勝間田清一 元日本社会党委員長。衆議院副議長・・
 伊藤茂  日本社会党議員・・運輸大臣・・
 上田卓三 日本社会党議員。その後、部落開放同盟委員長。(p152)


「対日工作」の内幕 情報担当官たちの告白
「対日工作」の内幕 情報担当官たちの告白
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時任 兼作
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【私の評価】★★★☆☆(74点)


目次

諜報、情報担当官、そして情報機関―私的なる遭遇
『KGB極秘文書』と防衛情報担当官が鳴らした警鐘
瓦解する防衛省
狙われた内閣情報調査室、公安調査庁、内閣府
ハニートラップに弱い外務省
政治家に迫る諜報員
同盟国の熾烈な諜報
列強の諜報機関の実像
圧倒的な諜報網を整備した中国
孤軍奮闘の外事警察とその限界
外事警察自体にも迫る危機
元MI5サー・ジョン・C・マスターマンの警句


著者経歴

 時任 兼作 (ときとう けんさく) ・・・慶應義塾大学経済学部卒。出版社勤務を経て取材記者となり、カルトや暴力団、警察の裏金や不祥事の内幕、情報機関の実像、中国・北朝鮮問題、政界の醜聞、税のムダ遣いや天下り問題、少年事件などをレポートしている。


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