「黄金の日日」城山 三郎
2013/02/23公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(74点)
要約と感想レビュー
■信長から秀吉、そして家康へ
権力が移っていく戦国時代を
堺の商人の視点から描いた一冊。
「天下城」では、石積み職人の視点から
同じ時代を描いています。
この時代、堺の町は、
資金や武器の供給源として、
有力な勢力でした。
商売で稼いだ資金力を背景に、
街全体を濠で囲い、
武器、武力を持っていたのです。
・日本から銅を持って行って売り、生糸を買って帰ると、二十五倍の値段になったりした。生糸は極端な例だとしても、遣明船はふつう一万貫程度の荷を積んで行き、三、四倍の利益をあげた。もっとも、難破したり、海賊に襲われて、元も子もなくすことも計算に入れる必要はあるが・・(p6)
■そうした堺の商人が、
戦国の世の中で
生き抜いていくわけです。
ある者は、茶で
権力者との関係を作る。
また、ある者は、
外国との交易に命をかける。
そうした人々の姿を
淡々と語るスタイルが、
城山さんなのでしょう。
城山さん、
良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・今井家では、我孫子村に鉄砲製造所を持ち、さらに近くの村々の鍛冶屋に材料を提供して鉄砲を作らせていた(p28)
・いわゆる目利きが鑑定することで、同じ品物がたちどころに高値にはね上る。目利きは、錬金術師にも見えた。(p99)
・土佐沖の外洋を回る南海路へも船を走らせた。こちらは、海賊に代わって海難が多く、台風の季節には、船頭たちもいやがった。海賊は、荷は奪っても、船乗りの命まではとろうとはしないのに、時化は船ごと命ごと奪ってしまうためである(p105)
・ただ漫然と使いの用だけを果す、ということでは、満足できなかった。だが、そういう助左衛門を、秀吉はほめてくれた。「人はみな、さし出るぐらいがいい。わしなどは、その心掛けひとつで伸びてきたようなものだ」と。(p93)
【私の評価】★★★☆☆(74点)
目次
一章 雄々しき人々
二章 満山焼き払い
三章 名物狩り
四章 死に一倍
五章 中国大返し
六章 第二の堺
七章 住てわたらん
八章 絢爛たる屋敷
九章 天下分け目
十章 マニラの客
著者経歴
城山三郎(しろやま 三郎)・・・(1927-2007)名古屋生れ。本名、杉浦 英一(すぎうら えいいち)。海軍特別幹部練習生として終戦を迎える。一橋大学を卒業後、愛知学芸大に奉職し、景気論等を担当。1957(昭和32)年、『輸出』で文学界新人賞を、翌年『総会屋錦城』で直木賞を受賞し、経済小説の開拓者となる。吉川英治文学賞、毎日出版文化賞を受賞した『落日燃ゆ』の他、『男子の本懐』『官僚たちの夏』『秀吉と武吉』『もう、きみには頼まない』『指揮官たちの特攻』等。2002(平成14)年、経済小説の分野を確立した業績で朝日賞を受賞。
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