【私の評価】★★★★☆(82点)
■ドイツのヒトラー、イタリアのムッソリーニ。
この二人はファシストとして、
「悪」というイメージがあります。
では、ファシスト国家である
ドイツとイタリアと三国同盟を
結んだのは誰か。
当時の首相は、近衛文麿(このえふみまろ)。
総理大臣である近衛文麿は、
三国同盟の締結に加えて
次の2つを行いました。
日中戦争の拡大。
アメリカとの開戦方針決定。
国家総動員法と大政翼賛会による統制。
・日本は、近衛文麿首相の強引なリーダーシップのもとに
1941年7月2日に早々と「対英対米戦を辞せず」
(「情勢ノ推移ニ伴フ帝国国策要綱」)を
御前会議で決定していた(p44)
■口では、「平和への努力」と言いながら、
日中戦争に予算をつける。
軍部とアメリカの圧力を理由に、
勝てない戦争決断を正当化する。
これは、近衛がバランス感覚を欠いた
無能な人であったか、
または心の底に別の意志を持った
天才であったかのどちらかなのでしょう。
著者の考えは、
近衛は共産主義者として
確信を持って行動していたということです。
・近衛文麿が積極的に側近に登用した共産主義者としては、
書記官長(=現在の官房長官)の風見章(親ソのマルキスト)、
ゾルゲ事件の首謀者の一人として死刑となった尾崎秀実(ソ連のスパイ)、
日中講和の阻止に暗躍した西園寺公一(中国共産党系のマルキスト)や
犬養健(同上)、朝日新聞の佐々弘雄、松本重治など(p66)
■日中戦争を拡大する近衛文麿の目的は、
日本の対ソ連向け軍事力を分散させること。
中国を弱体化させ、共産化すること。
日本を弱体化させ共産化させること。
そのような視点で見ると、
近衛首相の行動が理解できるのです。
・「支那事変」の巨額予算は、軍が強要したり要求した
痕跡がまったくない。つまり、正確な歴史事実は、
軍が独走し、軍によって戦火が拡大し、そして軍の圧力によって、
政府がそれに抵抗しながらついに圧力に屈して、
その予算をつけ増税した事実はまったくない(p130)
■近衛文麿については、あまりマスコミも
報道しないようですので、
集中的に調べてみたいと思います。
さっそく、関係の本を
5,6冊買いこみました。
しばらくお待ちください。
中川さん、
良い本をありがとうございました。
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■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・米国のルーズヴェルトの周辺が共産主義者で
固められていたのと同じく、日中戦争の早期講和を阻み
「南進」を決行する日本でもまた、
近衛文麿首相の周辺も共産主義者の巣窟であった(p66)
・近衛文麿は東京帝大(哲学科)をわざわざ中退し、
京都帝大(法科)へ入りなおしているが、
その理由は・・共産主義者の河上肇
(京大助教授、共産党員、懲役五年の実刑)
のもとで学びたかったからであった(p90)
・英米の主導で東アジアの平和が維持されていた
当時の状況を破壊することが、つまり自由主義の
故をもって英米をアジアから追放することが、
近衛文麿の変わらない信条であった(p105)
・近衛とは軍部の尻をひっぱたく積極的な指導者だったし、
軍部以上に過激であった。近衛文麿の口グセ、
「軍よりも先手をうつ」強行主義を貫いた。
"革新"軍部もまた近衛の過激さに驚きつつ喜び・・(p170)
・5・15事件の首相暗殺のテロリストたちを無罪にしろ!
法を枉げろ!法なんかなんだ!と、"コミュニストの巣窟"
朝日新聞(東京)が社をあげて連日、文字どおり一面トップの
大キャンペーンを展開したことを忘れてはなるまい(p195)
・尾崎秀実の狙いは、具体的には、第一は中国の共産化であり、
第二は日本の共産化・・・第三は、日本の軍事力を対中国の戦争で
浪費させることによってロシアへの侵攻能力をゼロにする
ことであった(p30)
【私の評価】★★★★☆(82点)
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