「TPP反対が国を滅ぼす」中川 八洋
2013/04/11公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(73点)
■農水省、JA農協といえば、
あまり良い話を聞いたことがありません。
この本も農水省、JA農協の
悪いところを列記した一冊です。
やや口調が汚いところが、
引いてしまいましたが。
・オランダの農産物輸入額(495億ドル)は、日本より
やや少ない程度だが、人口比で考えれば日本の6.8倍も
輸入している・・・食糧自給率が国家の安全保障だと
農水省が強弁したいなら、農水省は「オランダ/ドイツ/
フランス/英国は、安全保障が分からないバカ国家だ」
を証明しなくてはならない。(p71)
■日本の農業関係で悪名高いところでは、
カロリーベースの食糧需給率(日本以外は金額ベース)
減反政策
小麦の国家貿易
バターの国家貿易
豚肉輸入の差額関税制度
農政事務所と統計・情報センター
農薬や肥料を大量に使わせる
農業より金融
などでしょうか。
・バター不足事件で、仮にある業者がバターを緊急輸入しようと
すると、国際価格を187円/キログラムとすれば、それに関税
ぶんを乗せると、一キログラムあたり・・1228円」となる。
つまり、国際価格の6.6倍にはね上がる・・・(p85)
■これだけ指摘されても、
変わらないのはたいしたものだと思います。
農政は、国民にとっても政治にとっても
伏魔殿のようなものなのかもしれません。
中川さん、
良い本をありがとうございました。
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■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・食料「自給率」教の農水省が驀進させる、無駄・無理・無用な
"四大<反・農政>"・・・国産小麦、国産コメ粉用コメ、
国産飼料用コメ、国産大豆の、四品目の大増産である。・・・
そもそも、国産小麦は品質が劣悪で、それではパンはつくれない(p59)
・国産飼料コメに対する補助金は、10アールあたり八万円・・・
日本の畜産農家が、牛肉などの質を維持するためには、
必ず現在の米国産飼料を用いるだろう・・・飼料用コメを
仮に大量に生産しても、購入する農家はほぼゼロという事態が
確実な問題を無視するのである(p60)
・農水省は、小麦をキログラムあたり30円前後で
海外から無関税で買い入れ、これに勝手に20円のマークアップ
(売買差益、国家マージン)を乗せて、製粉業者などへ
売り渡している。消費者は、これだけでも66%高い小麦製の
食料品(パン、菓子、ラーメン・・他)を買わされる・・
これが国内産小麦を生産する農家補助に充当されている(p78)
・日本産の小麦は、じつはそのほとんどは、商品に適さないほど、
味を含め品質が劣悪である・・・どんなに農水省の嫌がらせによって
輸入小麦の価格を法外なものにされても、オーストラリア産を
使うほか、伝統とブランドの讃岐うどんをつくることはできない(p18)
・農水省は、毎年の輸入米77万トンのほとんどを売却する
のではなく、そのまま保管する・・・わざわざ玄米のままではなく
精米にする。早く腐るのを待つためである。・・・膨大な保管費用・・・
13年間で、1253億円の国費(国民の税金)を投入している(p82)
・豚肉輸入の「差額関税制度」・・この差額関税制度は性質が悪い。
なぜなら、どんなに安い豚肉を輸入しても、農水省が設定した
基準輸入価格546.53円/キログラム(部位肉)との差額を
関税として徴収するからである(p87)
・農薬については、肥料よりもっとひどい。
単位耕作地あたりの日本の使用量は世界一で、
米国の八倍というのはいかがなものか(p113)
・農水省職員のうち統計職員が三千五百人に及ぶ。
全官庁(全・国家公務員)の統計職員の過半数が、
じつは農水省という一省だけに集中している・・・
「統計・情報センター」とは、大東亜戦争に乗じて、
日本の農政を計画経済で運営すべく・・・設置した
組織が、解体されることなく、戦後六十年を経たいまも
残存している。(p52)
・コンバインの数は、"世界最大の農業国家"米国の二倍以上・・・
自給率ゼロの石油漬けの日本農業が、「農業生産物の
自給率は100%が理想である」と世界に向かって公言する
姿は、正常の範囲にない(p29)
PHP研究所
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