「生きざま 私と相撲、激闘四十年のすべて」貴乃花光司
2013/02/25公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(84点)
要約と感想レビュー
若貴が活躍したころの大相撲は、毎日満員御礼でした。それは貴乃花という才能をもったタレントがいたからでしょう。当時の貴乃花の仏様のような表情は、ただひたすらに相撲だけを考えていたからだということがわかりました。
大相撲のいいところは、実力だけが物を言う世界だというところだというように、土俵の中では上下関係など一切無視してぶつかっていったとのことなので、八百長がある世界では、浮いていた可能性があると感じました。
ガチンコだけでは勝ち続けるのは難しいと言われる世界で、ひたすら相撲に打ち込んで、弱音を吐きたくなるとき、愚痴を言いたくなるときは四股を踏んだという。「愚痴を言う暇があったら汗をかけ」と弟子たちに伝えているという。
・土俵上では、欲は禁物だ。「勝ちたい」「倒したい」という我欲が出た瞬間、精神が濁り、負けを呼び込む(p78)
そうした「すべては相撲のために」という思いは誤解を受けることも多かったようです。酒も飲まない、付き合いが悪い、八百長しない。時間のすべてを相撲に捧げる姿は、ある意味超人的なものを感じさせてくれます。
八百長について書いていませんが、いい加減な人間はいい加減な生き方しかできない。ズルい人間はそのズルさが刻み込まれていくと表現しており、暗に八百長をしていることを揶揄しているように感じました。
・宴席に呼ばれても酒は一切口にしなかった。すべては相撲のため。「相撲のためにならないことはしない」という初心を貫いていただけだ。にもかかわらず、「偉そうになった」「変わった」と受け取られてしまう(p102)
父・花田満(元大関・貴ノ花)は55歳で亡くなりました。その年まで、私に残されている時間はあと十五年。その間に一体、どれほどのことができるのかと貴乃花は自分に問いかけています。
横綱という父の果たせなかった夢を実現する、そして今度は自分が横綱を育てる立場にいる、自分はこれから何ができるのか。そうした貴乃花の思いが伝わる一冊でした。貴乃花さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・「ライバルは自分です」としか答えられない自分がいた。カッコつけているわけではない。嘘偽りのない気持ちだった(p77)
・勝った負けたの世界ではあるけれど、そこでも「負けた相手がいるから、お前が強くなれたのだ」・・・そう思えば、負けた相手に対し、自然に敬意を払える力士になれる(p125)
・大相撲は日本の文化をそのままの姿で次世代へ伝えるという大事な役割を担っているのだ。ただ人気が出ればいいわけではない、ただ儲かればいいわけではない。(p84)
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【私の評価】★★★★☆(84点)
目次
第1章 父の引退、そして相撲を始める
第2章 相撲に生涯を捧げる決意
第3章 不撓不屈―雑草のように生きる
第4章 不惜身命―横綱という栄光の光と影
第5章 親方となる、そして父との別離
第6章 相撲への恩返し
著者経歴
貴乃花光司(たかのはな こうじ)・・・本名、花田光司。1972年8月12日、東京都杉並区出身。二子山部屋(当時は藤島部屋)に入門当時からその優れた素質が話題となり、数々の最年少記録を打ち立てた。生涯戦歴は、七九四戦二六二敗。幕内優勝二十二回、殊勲賞四回、敢闘賞二回、技能賞三回など第六十五代横綱として数多くの記録を残す。現在は一代年寄・貴乃花として貴乃花部屋の師匠を務め、財団法人日本相撲協会理事および地方場所(大阪)担当部長
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