「さらば! サラリーマン 脱サラ40人の成功例」溝口 敦
2019/08/07公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(73点)
要約と感想レビュー
著者の溝口 敦さんと言えば暴力団に刺されても取材を続ける武闘派ジャーナリストという印象ですが、テーマが珍しいので手にした一冊です。
よく考えれば、溝口さん自身が出版社のサラリーマンからフリーのライターになった脱サラ組なのです。脱サラして食っていけるのは一割にすぎません。溝口さんがジャーナリストとして今でも生き延びているのは成功と言えるのでしょう。
・銀行で学んだ起業の厳しさに挑戦・・百人が起業する。成功するのはそのうちの一人。なんとかその仕事で飯が食えるようになるのはぜいぜい10~20人。残りの人たちは大失敗に終わる(p115)
40人の脱サラ事例が紹介されていますが、必ずしも経済的に大成功しているわけではありません。経済的だけではなく、心の面で成功といえるものを紹介しているように感じました。
収入は減っても仕事は充実している。収入は減っても過労死するような仕事ではない、など収入だけが成功ではないということです。
・朝四時に起きて店主と一緒に豆腐をつくる。接客もし、19時頃には店をしまう。一日があっという間に過ぎたが、とはいえ一日15時間労働である。それを二年間続けた(p146)
気軽に脱サラできるものではないと感じつつ、自分がすべてを決める自営業の魅力もあると思いました。
脱サラした場合、他の同業者とプロとして比較される中で生き延びられるのか。そしてその結果を受け入れ、自分で自分の運命を切り開いていけるのか。それは自分しだいなのです。
溝口さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・安易な起業は失敗する。たとえばラーメン店である。ラーメン店は開店して一年で四割が閉店するとか・・三年以上営業できる店はわずか三割にすぎないとされる(p10)
・葬儀会社設立・・病院の事務局長に会って、一度うちを使ってみるかという気になってもらう。バックリベートとかそういう世界ではなく、毎日、うちの社員が病院の霊安室の掃除に行き、花を飾るとか、年に一回ぐらい食事会をやるとか、その程度です(p18)
・素晴らしいのは企業理念、行動規範である。全文を紹介できないのが残念だが、「社員が最も優先されます」「一人勝ちは評価されません」と明記している(p112)
・大手の飲食店チェーンW社に入った・・店ではフリーターが一番の戦力になった・・その店にも古株のフリーターがいて、彼らが従業員の意識をまとめている。そいいう人に着目し、その人の合意を得るようにして店の方向性を定め、運営していく(p163)
・「こうざき自然塾」という稲作を主体とした農家のグループがある。米を生産するだけではなく販売まで考え、消費者との関わりの中でどのような米が望まれているのか。生産者自身が理解できるようになるという考えでスタートしている(p146)
・漁業には狩猟民的な野放図さが許されるのかもしれない。板子一枚下は地獄でも、覚悟さえあるなら辛気くさくない(p179)
・「対馬の漁協が国境を守ってるんです。中央がそれを忘れてもらっては困る」・・逆も言える。日本人が近海魚を食べないようなら韓国や中国に売るまで。だから漁業の前途や洋々と開けていると(p180)
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【私の評価】★★★☆☆(73点)
目次
第1章 起業の夢を実現する
第2章 故郷で第二の人生を
第3章 職人として生きる
第4章 趣味を活かす
第5章 人の役に立ちたい
著者経歴
溝口 敦(みぞぐち あつし)・・・1942年生まれ。出版社勤務などを経てフリー。暴力団や中国マフィアから宗教、食の安全まで幅広く調査、レポートしている。ノンフィクションの著書多数。
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