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「マイベンチャービジネス」奥田 光

2021/07/16本のソムリエ メルマガ登録
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「マイベンチャービジネス」奥田 光


【私の評価】★★★★☆(88点)


内容と感想

 ミノルタカメラの技術者だった著者は,仕事の中でビジネスの楽しさに触れ,独立起業を計画し,ITバブルの頃,43歳で独立しました。最初に開設したパソコン教室は鳴かず飛ばずで,すぐに閉店。その後,昔の知り合いの技術者とレーザー製品の会社を立ち上げます。


 商品化したのは,赤色レーザーポインターより視認性が高いものの,高い技術力が求められる緑色レーザーポインターでした。私も2000年頃,スティーブ・ジョブズのプレゼンを見て,パソコンを操作できるレーザーポインターが欲しいと思った記憶があります。


 緑色レーザーポインターを日本市場に導入するため、モジュールや製品を製造してくれる会社を探し始めました。


・台湾メーカーは,取りたい仕事で競合した場合,簡単(?)に安い見積もりを出してくる。品質についても,できる,と言ってくる。だがふたを開けてみると,何を根拠にしていたのか疑問に思う場合が多い(p121)


 当時から競争力のある価格で製品開発するためには,台湾や中国のメーカーでの製造となってしまうようです。台湾や中国のメーカーは安値の見積りを出し,安かろう悪かろうでも受注し,日本の要求に対応しているうちに技術力を上げてきている現場の雰囲気が伝わってきました。


 日本は高付加価値で勝負するべきなのに,目先のコスト削減で工場を中国に移したり,社員をリストラしてしまい,付加価値を生む熟練工の技術を失ったばかりか,熟練工は中国や韓国に渡り,ライバルにノウハウを売り渡しているというのが著者の見立てです。


・長年積み上げられた熟練工の技術・・・企業の多くはさらなる効率化を追求し,一見直接的なリターンの少ないこうした部分は下請け企業にまかせ,競争力の源泉を支える多くの従業員をリストラし,気が付いてみれば競争力の乏しい状況に陥っていたのではないか(p110)


 著者は病気でベンチャー企業の経営から手を引くこととなるのですが,限られたリソースの中で,商売を続けていくベンチャー企業の雰囲気を知ることができました。


 最近は,立ち上げた企業を大企業に売却して,次の起業に挑戦する連続企業家のような人もいるようですので,日本でそうした人が増えてくると,面白くなってくるかもしれません。


 著者のリアルな体験談に敬意を表して★4つとしました。奥田さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・台湾のハイテクメーカー・・・日本企業からは,彼らにしてみたらとんでもないような高い,あるいは細かい要求が出る・・・それを取り込むことによって,彼らの品質レベルが向上し,それを宣伝することによって彼らに対する信頼が得られる(p75)


・複雑な金型設計・・例えば日本で1カ月ほど掛かる大掛かりな設計の場合,台湾のプロジェクトリーダーが全体をかみ砕いて分解し,中国にいる何十人かの設計者に仕事を割り振る。上がってきた図面をリーダーが取りまとめる・・数日から1週間ほどでこなしてしまう(p88)


・日本の大手企業は,高度成長期を経てどんどん拡大し,業務や組織が膨張した・・・一体だれが全体のことを考えているのだろうか(p120)


・優秀な人材は大企業に集中する。何らかの事情でそこからドロップアウトした人,あるいは能力はあるけれども埋もれてきた人などが狙い目になった・・・効果的だったのは,主に女性向けの求人サイトだった・・ただ,定着率はあまりよくなかった(p137)


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▼引用は、この本からです
「マイベンチャービジネス」奥田 光
奥田 光、東京図書出版


【私の評価】★★★★☆(88点)


目次

第1章 起業まで
第2章 事業スタート
第3章 レーザー関連事業への転換
第4章 レーザー関連事業スタート
第5章 OEMの拡大
第6章 台湾メーカーとの振興
第7章 中国展開
第8章 グローバルビジネスと日本企業
第9章 コストダウン
第10章 様々な出来事
第11章 闘病と会社譲渡


著者紹介

 奥田 光 (おくだ ひかる)・・・1957年、大阪市生まれ。京都大学工学部卒業後、ミノルタカメラ株式会社(現コニカミノルタ株式会社)入社。2000年、同社退職。エスティーシー株式会社を設立し代表取締役就任。2013年、同社を譲渡し退職。


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