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「動乱のインテリジェンス」佐藤 優 手嶋 龍一

本のソムリエ 2019/08/06メルマガ登録
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動乱のインテリジェンス (新潮新書)


【私の評価】★★★☆☆(78点)


要約と感想レビュー

 2012年の書籍です。2012年といえば、3年にわたる民主党政権が終わった年です。民主党は、沖縄で普天間基地移転を潰し、日米関係の破壊に成功しました。尖閣中国漁船衝突事件の映像も隠した。


 中国は空母遼寧を完成させる。北朝鮮は長距離弾道ミサイルの実験を行っていました。中国の海洋覇権の意思、北朝鮮のイランとの協力による核兵器の開発が着実に進んでいたのです。


・中国が航空母艦「ワリャーグ」を外洋に浮かべ、露骨な海洋覇権に乗り出した時点で、「東アジア共同体」の選択肢は消えたのです。いまの時代に空母なんか造っても、国際社会の厳しい目がありますから、まともに運用なんかできませんよ。なのに造るという振る舞い。わけのわからないことを始めている。もっともここで表れた中国の帝国主義的な国家意思を過小評価してはいけません(佐藤)(p210)


 韓国においても李明博大統領が、竹島に上陸しています。竹島については、施設の現状維持、相手の反論に異議を唱えないという密約があったようですが、韓国は竹島密約を守らず、日韓請求権協定も反故にされ、日韓正常化前に戻っています。


 韓国の国家戦略だとは思いますが、日本は韓国に金だけ取られて元に戻りました。韓国の素晴らしい成果だと思います。次は日韓関係を破壊し、北朝鮮と一緒になって核で日本を脅し金をひき出すつもりでしょうか。


・日韓国交正常化に先立って、日韓で領有権が争われていた竹島(韓国名:独島)については、領有権を主張する互いの主張を認め合い、相手の反論には異議を唱えないという密約があった(手嶋)(p17)


 沖縄の学者で1609年の薩摩の琉球整理を「琉日戦争」と呼ぶ人がいるなど、沖縄独立に向けた動きについても言及しており、7年前から種は蒔かれているのだと思いました。今も各国の諜報機関は動き続けているのでしょう。佐藤さん、手嶋さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感したところ

・ワシントンD.C.でもそうですが、中国のインテリジェンス・オフィサーは、米政府や軍、それに議会を標的に広汎な工作を繰り広げています。さらに一歩踏み込んで、政府職員を買収するなど非合法な情報活動を行っているケースもあります(手嶋)(p93)


・日韓両国は、1965年に国交を正常化するにあたって、竹島問題の扱いに困り果て、ひとつの「交換公文」を取り交わしました・・「両国政府は、別段の合意がある場合を除くほか、両国間の紛争は、まず、外交上の経路を通じて解決するものとし、それにより解決することができなかった場合は、両国政府が合意する手続きに従い、調停によって解決を図るものとする」・・「交換公文」は、条約や多国間の協定に準じる公式の権威ある国際約束です・・韓国側では日本の領有権主張を一応了解していた(佐藤)(p16)


・地下水脈で、北朝鮮からイランへ、北朝鮮からシリアへと、核関連の技術が輸出されている。つまり、アメリカが北朝鮮に宥和的対応をとることは、イランの核を完成に近づけてしまいかねません(手嶋)(p159)


・北朝鮮のミサイル発射をめぐるドタバタ劇から得られる教訓はいろいろあるのですが、独自情報を収集するシステムの確立は急務です・・現在も日本の情報収集衛星は地球上を回っています。ところがわずか四個しかない。五個になれば、日本も確認できるわけですよ・・日本版GPSが必要なのであって・・正確なシステムが必要だという世論を形成して、とにかく準天頂衛生を七つ上げるのです(p179)


・アメリカの対太平洋同盟の拠点が少しずつ沖縄から周辺の国々に移りつつある現実に日本側はもっと危機感を抱いていいはずです(手嶋)(p214)


・外務省の中に一種のねじれた嫌米感を持っているような連中がいて、鈴木宗男さんへの反発で噴出した。鈴木宗男さんは、イランのアザデガンのガス田の開発とか、外務省の一部の幹部がイランのイスラム革命防衛隊とインテリジェンス協力を始めちゃったのを、その政治力によって潰してきたんです(佐藤)(p148)


・日ロ共同経済活動などでロシアとの相互理解を深めていこうという計画を潰す中心となったのが、実は一部の返還運動活動家だったんです・・例えば「四島即時返還」と発言して、はい講演料三十万円、といった具合に・・北方領土問題が解決されないおかげでお金が入ってくるという構造はなくさなきゃいけない(佐藤)(p66)


・東京・錦糸町のロシア・パブにいるのは何故ウクライナ人なのか。日本を初め旧西側諸国には、ウクライナは西側の仲間みたいなものだという固定観念がある。だからビザは簡単に出る・・ウクライナ人には二重国籍者が多いし、ロシアとの間で国籍移動なんてしょっちゅうある・・それゆえインテリジェンスのプロはウクライナ人を使うんです(佐藤)(p104)


・シリアの現政権を支持した方が都合が良いという点でロシアとイスラエルの利害が一致しているからなのです。現在、シリアは内戦状態になっていますが、アサド政権が完全に崩壊しないのは、第一にイラン、第二にロシアからの支持があるからです(佐藤)(p163)


・台湾の国際空港では今でも行き先の案内表示が琉球になっています。中華民国(台湾)はモンゴルと琉球は外国領として未だに認めていません(p28)


・トルクメニスタンは、ソ連が崩壊した後、永世中立国になったのです・・もし沖縄が独立して永世中立国になると言ったら、中国は承認ですよね(佐藤)(p54)


▼引用は下記の書籍からです。
動乱のインテリジェンス (新潮新書)
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佐藤 優 手嶋 龍一
新潮社
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【私の評価】★★★☆☆(78点)


目次

第1章 日本の周縁で噴出するマグマ
第2章 中国、そのモラルなきインテリジェンス
第3章 イランの鏡に映る日本外交
第4章 イランの核、北朝鮮の核
第5章 アジア半球の新たな勢力地図



著者紹介

 佐藤 優(さとう まさる)・・・1960年生まれ。日本の作家。学位は神学修士(同志社大学・1985年)。同志社大学神学部客員教授、静岡文化芸術大学招聘客員教授。在ロシア日本国大使館三等書記官、外務省国際情報局分析第一課主任分析官、外務省大臣官房総務課課長補佐を歴任。2002年に鈴木宗男事件に絡む背任容疑で逮捕される。2005年に執行猶予付き有罪判決(懲役2年6か月、執行猶予4年)を受け東京高等裁判所、最高裁判所は上告を棄却し、判決が確定した。


 手嶋 龍一(てしま りゅういち)・・・外交ジャーナリスト・作家。元NHKワシントン支局長。北海道出身。慶應義塾大学経済学部卒業。2006年~2012年 早稲田大学政治経済学部大学院客員教授。2006年4月~2015年3月 慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネージメント学科専任教授。


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