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「お金に強くなる生き方」佐藤 優

2022/05/09公開 更新
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「お金に強くなる生き方」佐藤 優


【私の評価】★★★★☆(80点)


要約と感想レビュー

 鈴木宗男衆院議員とともにロシア外交を主導しながら、背任で起訴・有罪となった著者が考えるお金との付き合い方です。まず著者が示すのはは、日本人の所得が下がってきたということです。平均所得は下がって、ところがお金持ちが増えている。貧富の差が広がっているということです。


 では、最も多い年収300万円代の人は、どうすればよいのでしょうか。一つは年収300万円の中で幸せに、豊かに生きる工夫をするということ。もう一つは収入を増やしていくこと。


 もし、大金持ちになるためには、労働者ではなく経営者となる道がありますが、経営者も楽ではないとしています。商品開発から営業、資金繰り、社員管理など心の休まる暇はありません。経営者は過酷な修羅の世界に生きているのです。


・年収300万円台で普通だと考え、そのうえでその収入でいかに上手に、豊かに生きることができるか(p28)


 共感できる点は、「お金」とは物々交換していた価値交換を「お金」を介することで簡単にした発明品であるということです。「お金」があるから資本を集めて、工場や橋など大資本が必要なものも作ることができるのです。その一方で、「お金」の魔力に魅せられて「お金があれば幸せになれる」と思い込み、お金の依存症になってしまう人も多いのも事実です。


 著者の提案は、お金はそこそこで十分で、近くの友人、家族を大切にして、そのなかで収入の許す範囲で楽しみと喜びを見い出すことです。物々交換の時代には、近くの人と物を交換しながら困ったときには助け合い、小さいコミュニティの中で生きてきたのですから、そこに戻ろうということです。お金がなくても楽しいことはたくさんあるし、お金がなくともそうした近くの人間関係の中や、自然や四季の移り変わりの中に本来の幸せがあるということなのです。


・お金さえあれば幸せになれると考えてしまう。生活の手段としてのお金が、目的にすり替わってしまうわけです(p176)


 共感できない点は、「資本論」を引用し、労働者と資本家にわけて、搾取される側と搾取する側としていることでしょう。そして大金持ちになるためには、労働者を搾取する資本家側にならないと難しいとしているところです。お金持ちになるためには、投資家でもなれるし、高度な技術や知識を持った専門家でもよいし、経営者でもなれるのです。資本主義のよいところは、自由経済が基本であり、だれもが自分の強みを活かした活動を選ぶことができることだと思うのです。


 もちろん貧富の差ができるのは課題ですが、貧富の差がなければ、さらに悪い社会になってしまうということも考えなければならないと思います。


 そしてなぜか「お金」についての本なのに、安全保障関連法案の成立を引用し、安倍首相の上から目線と強引な政策を批判しています。頭の良い人は、95%の正しいことの中に、自分の主張したいことをちょっとだけ織り込んできますので、注意が必要だと思いました。佐藤さんは非常に優秀な人ですので、その発言の中の多くの意図を含ませてくるので、読んでいて面白いと思いました。


 佐藤さん、良い本をありがとうございました。



この本で私が共感した名言

・標準的な努力をしていれば、名誉と尊厳を保って生活をしていける。それとともに、自己実現も、友だちとの楽しい関係を維持することも可能だ(p6)


・経営者となると、これはこれで大変です・・・四六時中経営のことを考えていなければ務まりません。失敗すれば自分の財産を失ってしまう(p24)


・お金持ちになったとたんに嫉妬やお金の貸し借りなどが出てきて、お互い貧乏だったころの気楽な関係は続かないものです(p39)


・中途半端にお金を持つより、家族や友だち、地域とのつながりなど、強いコミュニティを持っているほうが、ずっと強いセーフティネットになります(p43)


・重要なのは、常に自分の可処分所得がどれくらいかを把握して、その中で上手にやりくりする習慣をつけること(p132)


・(日本の)3分の1の世帯が貯蓄ゼロでありながら、全世帯の貯蓄平均値が1000万円以上(p55)


・依存症・・・一般の人が陥りやすい落とし穴の典型がギャンブルであり、風俗なのです(p121)


▼引用は、この本からです
「お金に強くなる生き方」佐藤 優
佐藤 優、青春出版社


【私の評価】★★★★☆(80点)


目次

第1章 私たちを衝き動かすお金という幻想
第2章 大格差時代を生き抜くお金の極意
第3章 プロに騙されずにお金を増やすには
第4章 人生を台なしにしないお金の実学
第5章 お金と人間の幸福な関係を考える



著者紹介

 佐藤 優(さとう まさる)・・・1960年東京都生まれ。作家、元外務省主任分析官。85年、同志社大学大学院神学研究科修了。外務省に入省し、在ロシア連邦日本国大使館に勤務。その後、本省国際情報局分析第一課で、主任分析官として対ロシア外交の最前線で活躍。2002年、背任と偽計業務妨害容疑で逮捕、起訴され、09年6月有罪確定。現在は執筆や講演、寄稿などを通して積極的な言論活動を展開している。


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