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「世界史の極意」佐藤優

(2020年5月14日)|本のソムリエ メルマガ登録
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【私の評価】★★★★☆(80点)


■中国は、ロシアや周辺諸国と
 関係を深めながら、
 帝国主義的な力による支配地域の
 拡大を図っています。


 歴史的に覇権国家が弱体化すると
 次の覇権国家の座を狙って
 経済、軍事で主導権争いが起きる。
 世界大戦の一歩手前という認識なのです。


 そうした状況に対し、
 歴史を読み解くことで
 日本としてどのように
 対処すればよいのか考える
 一冊となっています。


・大きなポイントは、自由主義の背後にはつねに覇権国家の存在があり、覇権国家が弱体化すると、帝国主義の時代が訪れるということです・・イギリスが弱くなると、ドイツやアメリカが台頭し、群雄割拠の帝国主義の時代が訪れる(p50)


■興味深かったのは、
 バチカン(ローマ教皇庁)が
 ソ連を崩壊させた、
 というところでしょう。


 実はバチカン(ローマ教皇庁)は
 世界を動かす力を持っている。


 そういえば、2018年、中国とバチカンは
 司教の任命権で対立し、結局、互いの
 関与を認める暫定合意で和解しています。


 中国では宗教抑圧が続いており、
 バチカンとの関係は必ずしも
 友好とはいえません。


 中国とバチカンの関係が
 中国の運命を決めるのかもしれないと
 いうことなのでしょう。


・バチカンの世界戦略の第一段階は、ヨハネ・パウロ二世のとき、共産主義を崩壊させることでした。この戦略は、1991年のソ連崩壊で実現します。第二段階は、イスラムに対しての戦略です・・・では、どうやってバチカンはイスラム原理主義を封じ込めるのか・・・異文化対話を通じてイスラム穏健派を味方につける(p179)


■世界大戦を避けるための答えは、
 双方が「もう殺し合いをしたくない」
 と思うことだという。


 そのために、過去と同じように
 数百万人が亡くなる必要があるのか、
 それとも数万人でよいのか。


 著者は私たちにできることは
 人権、命の尊厳、愛、信頼
 といったことを啓蒙すること、
 またはよりレベルのセンスを
 磨くことだという。


 佐藤さん、
 良い本をありがとうございました。


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■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・帝国主義の時代には、西欧諸国が「力」をむきだしにして、勢力を拡大しました。現代もまた中国、そしてロシアが帝国主義的な傾向を強めている(p18)


・21世紀の帝国主義は植民地を求めません・・・また、全面戦争も避ける傾向を持つ・・・外部からの搾取と収奪により生き残りを図るという帝国主義の本質や行動様式は変わりません。帝国主義国は、相手国の立場を考えずに最大限の要求をつきつけます(p51)


・イギリスの南アフリカ植民地の首相をつとめたセシル=ローズ(1853-1902)は、「(イギリスの)貧民による内乱を欲しないならば、われわれは帝国主義者とならなければならない」という発言をしています。イギリス帝国主義は、外部を収奪することによって、国内問題を払拭できると考えていたわけです(p82)


・中国政府は、国内カトリック教会の高位聖職者の人事権がバチカンにあることを認めていません・・・新教皇フランシスコも、ベネディクト16世の保守路線と世界戦略を継承するでしょう。新教皇の下で、バチカンは中国に対しても「対話」を通じたソフトな巻き返しを図るはずです(p179)


・ロシア正教には僧侶に「キャリア組」と「ノンキャリア組」があります。ノンキャリアは婚姻可能で、結婚して各地域に勤務する。一方、キャリアは修道院や教会に勤務するが、結婚はできない。ちなみにカトリック教会では聖職者全員が結婚できない。プロテスタント教会は全員が結婚できる(p194)


・イスラム過激派はほとんどスンニ派のハンバリー学派に属しています・・・このハンバリー学派の一つにワッハーブ派がある・・・ワッハーブは、サウジの王様と協力してワッハーブ王国をつくり、これがのちのサウジアラビア王国の素地となりました。そのため、現在でも、サウジアラビアの国教はワッハーブ派です・・ワッハーブ派は・・・ムハンマド時代の原始イスラム教への回帰を唱え、極端な禁欲主義を掲げます(p208)


・ハプスブルク帝国のなかでチェコ民族が覚醒したように・・・もっと小さな民族に主権を持たせることで危機を乗り越えようという動きが出てくる・・・対照的に、国民国家の危機をグローバルな理念で乗り越えようとする動きも出てきます・・現代のEUも見方によっては、西ローマ帝国、さらにはローマ帝国への回帰ということもできるでしょう(p230)


・かつて私が仕事をしていた外交の世界では、特定の対象を分析するときには、イデオロギーに目を眩まされずに、相手や対象がどんな意図や論理で行動しているのかを把握するのが重要でした。これを「対象の内在的論理を知る」と表現します(p57)


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▼引用は、この本からです。

佐藤優、NHK出版


【私の評価】★★★★☆(80点)


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■目次

歴史は悲劇を繰り返すのか?―世界史をアナロジカルに読み解く
第1章 多極化する世界を読み解く極意―「新・帝国主義」を歴史的にとらえる
第2章 民族問題を読み解く極意―「ナショナリズム」を歴史的にとらえる
第3章 宗教紛争を読み解く極意―「イスラム国」「EU」を歴史的にとらえる


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