「金融ダークサイド 元経済ヤクザが明かす「マネーと暴力」の新世界」 猫組長(菅原潮)

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金融ダークサイド 元経済ヤクザが明かす「マネーと暴力」の新世界

【私の評価】★★★★☆(85点)


■著者(猫組長)は山口組系経済ヤクザとして
 石油ビジネスに参入し、600億円を稼ぐ。
 しかし、テロ資金が紛れ込んだため
 米国に口座を凍結された経歴の持ち主です。


 金融の表と裏を知り切った猫組長が、
 ゴーン事件を解説してくれます。


 ゴーン事件の真相は、自分の投資失敗を
 日産に負担させるようとしたものです。


・ゴーン事件の最深層・・
 会長という立場を利用して、焦げ付いた
 個人投資の損金を知人に保証させ、
 謝礼を日産に肩代わりさせた(p34)


■そもそも新生銀行は一度、
 ゴーン氏の焦げ付きを
 日産に付け替えさせています。


 それを証券取引等監視委員会に
 個人の失敗を企業に付け替えるのは
 特別背任の共犯の可能性があるとして
 指摘され、新生銀行はその負債を日産から
 ゴーン氏に再移転しているのです。


 それではとゴーン氏は、友人のジュファリ氏
 に新生銀行への追加担保としてSBL/Cを発行させ、
 ジュファリ氏には自分の決済権限のある予算から
 1470万ドル(約16億円)を支払ったのです。


 個人負債を日産に付け替えたり、
 保証のないSBL/Cを担保として受け取った
 新生銀行もかなり怪しい動きをしています。


・ジュファリ氏が追加担保としてSBL/Cを使った・・
 知人の金融庁関係者は「よく新生銀行さんは、
 この場面でSBL/Cを受け付けたな」と驚きを
 隠さなかった・・30億円のSBL/Cを
 リースする際に必要な金額は、
 年7%の使用料と、2.5%の手数料で
 約3億円というのが、国際金融での
 常識的な相場だ(p43)


■ゴーン事件は、金融のダークサイドが
 表に出てきた事件と言えるのでしょう。
 それを説明できるのが猫組長なのです。


 世の中にはそうした怪しいお金を扱う
 銀行もあるという現実と、それを取り締まる
 国家権力という構図も説明されています。


 ビットコインや仮想通貨は犯罪組織に
 とっては資金洗浄(マネーロンダリング)の
 便利な道具なのです。国家がこれを
 許すはずがないのですね。


 猫組長さん、
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・アメリカは国益のためにSWIFTの内部に
 アクセスするただ一つの国となっている。
 監視対象へのリストアップに「推定無罪」
 は適用されない。疑わしい者すべてが
 「被疑者」となる・・
 香港のHSBC(香港上海銀行)は
 現在ではAML/CFT規制によって、
 国際送金がほぼ不可能な状態だ(p55)


・「クズ債権」バックアセットにして、
 額面30億円のBG、SBL/Cを発行することが可能・・
 BGは銀行しか発行できないが、
 SBL/Cは金融機関だけでなくブローカーも
 発行できる(p62)


・多重債務者は、借金によって借金を支払うのが
 常だ・・最初に返済すべきなのは、暴力団や
 ヤミ金など「怖くてうるさい借入先」だ・・
 ゴーン氏の損失に対して新生銀行は新たな
 担保を求め、損失に対して「ロスカット」
 (強制決済)をしなかったのだから、
 「怖くてうるさい」借入先ではないことは
 明らかだ・・「投資の焦げ付き」はまだ他に
 あったと考えなければ説明がつかない(p78)


・「儲かるかもしれない」というレベルで
 資本を投下するのは投資ではなく投機、
 いやギャンブルである。「ほぼ儲かる」
 というレベル以上でなければ、
 投資とは言えない(p95)


・私の選択肢に「ハイリスク」は存在しない。
 「リスク」はマネージ(管理)すべきもので、
 コントロールしうる限り
 「リスク」ではないからだ(p124)


・他人資本は絶えずジャンプが正解だと
 考えている。貸し主には儲かった分から
 「利息」以上の配当を渡して返済日を
 延ばせるだけ延ばして、どれだけ長く
 自分の手元に他人資本を残せるかが、
 投資にとっては重要な鍵になる(p100)


・ビジネスは他人資本で行なうべきなのだ。
 失敗したら、次の他人資本を探せばいいだけの
 話だ。その繰り返しの中に落ちている成功を
 拾うことにこそ、ビジネスの面白さとうまみが
 凝縮されていると言えるだろう(p215)


・悪事で稼いだ金を銀行に預けるのはもちろん
 のこと、ダイヤモンドなどの高額な商品や、
 株券を購入すれば証拠が残るということで、
 犯罪収益の多くは現金での保管ということになる。
 日本の暴力団も資産は現金での保管が
 ほとんどだ(p131)


・14年に4億8000万ドル(約480億円)が流出した
 「Mt.Gox事件」と、270万ドル(約2億7500万円)が
 流出した「シルクロード2.0事件」などは、
 「ロシア人ハッカーの犯行によるもの」というがの
 地下経済界では定説となっている(p207)


・第二次世界大戦末期に「ドル」が基軸通貨に
 なったが、ドルを支えるものこそ「米軍」
 という世界最強の暴力装置に他ならない。
 2003年にブッシュ大統領が引き起こした
 イラク戦争の要因の一つは、当時フセイン
 大統領が石油の決済をドルではなく
 ユーロで行おう考えていたため、
 とされている(p208)


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【私の評価】★★★★☆(85点)

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■目次

第1章 元経済ヤクザが明かすゴーン事件の最深層
第2章 世界を行き交うマネーのシステム
第3章 獲物を狙うアメリカ
第4章 私の黒い経済史
第5章 マネーのブラックホール
第6章 金融閉鎖列島を脱出したブラックマネー
第7章 フィンテックが生み出す新世界



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