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「暴力が支配する一触即発の世界経済」猫組長(菅原潮)

(2019年10月18日)|本のソムリエ
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暴力が支配する一触即発の世界経済

【私の評価】★★★★☆(83点)


■アメリカは最強の暴力団だという。
 だとすれば、国際社会とは暴力団同士が
 縄張り争いをしているようなもの。


 元暴力団の金庫番だった著者に
 暴力団のような国際社会情勢を
 解説してもらいましょう。


 まず、アメリカが世界を支配できるのは
 ドルが基軸通貨だから。
 そしてドルを支えるのが軍事力です。


・21世紀に至っても「石油の世紀」は続いている・・・そして石油取引は、基軸通貨「ドル」に支配されている。ドルが基軸通貨として機能している理由は、米軍という武力を背景に作り上げた金融支配構造とその維持にあると言える(p44)


■中国については、
 アメリカは旧ソ連と同じような
 図式を作ろうとしていること。


 北朝鮮のミサイル開発のために、
 ロシアンマフィアが
 ウクライナの部品を供給している。


 石油輸出国となったアメリカにとって
 中東の混乱はアメリカの利益。
 サウジアラビアとイランの
 戦争の可能性が高まっている。


 中国とヨーロッパの国々が
 新たな枢軸国を作ろうとしている。


 猫組長は元暴力団ならではの
 独自の情報網を
 持っているようなのです。


・サウジとイランの戦争が、現在のアメリカにとって大きな利益になることは間違いない・・・シェールガス開発でエネルギー輸出国になったアメリカにとって、石油を欲しがる日本マーケットが魅力的に見えていることも間違いない・・・人命を金に変える・・理性的で知的なマティス氏が感情に任せて辞任する動機としても十分といえるだろう(p156)


■暴力団の目で世界を見ると
 各国の思惑(おもわく)が
 浮かび上がってくるようです。


 そこは「力」と「金」と「情報」が
 飛び交い、各国が国益を最大化するために
 動いているのだとわかりました。


 米中貿易戦争もブレグジットも
 中東のタンカー攻撃も必然なのです。


 猫組長さん、
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・アメリカの対中規制はますます強くなっていったのだが、米国内でその動きをけん引しているのは、むしろアメリカ議会であることはあまり伝わっていない(p75)


・現在のトランプ政権には、レーガン政権でUSTR(アメリカ合衆国通商代表部)次席代表として活躍したライトハイザー氏など、レーガン時代のスタッフが多くいる。アメリカが中国との対立を「冷戦と同じ対称の図式にしたい」と考えているということ・・(p92)


・中国政府は、AIIB(アジアインフラ投資銀行)を通じて新興国のインフラ開発に融資する。しかし、焦げ付いた国からは陸路や海路の拠点を合法的に収奪している。実際に、ギリシャのプレウス港、スペインのバレンシア港、スリランカのハンバントタ港など海洋拠点を手中に収めることに成功した(p100)


・アメリカが中国製品への追加関税を発表してから、中国はこれまで以上に「金(ゴールド)」の購入量を加速させている(p104)


・ロシアン・マフィアが他の国のマフィアと大きく違う点は、そうしたアンダーグラウンドのアイテムだけではなく、石油や天然ガス、レアメタルや核物質など「戦略物資」を直接扱う点だ(p49)


・ソ連崩壊からわずか5年の1996年までに、実に民間企業の40%、国営企業の60%、銀行の80%が直接的または間接的にマフィアによって支配されていたと、当時、ロシア政府は考えていた・・・現在でもロシアンマフィアが石油や武器、核物質などを扱うのは、こうした経緯があるからだ(p185)


・北朝鮮の大陸間弾道ミサイル「火星14」にはウクライナの部品が使われている・・・しかし直接北朝鮮に兵器の部品を供給すればテロ支援国家として制裁対称になってしまうのため、ロシアン・マフィアが仲介する形でパーツを供給しているという構図だ(p130)


・燃料と食料が欲しい北朝鮮としては、自国産の武器を販売することで、是が非でもドルを手に入れなければならない・・・ミサイル発射が北朝鮮労働党製兵器のショーウィンドー(p123)


・北朝鮮の核開発・・対中戦略を考えても「日本の核武装化」が一番簡単な方法だ。しかし、唯一の被爆国である日本こそ、アメリカに対して核兵器で報復できる権利を持った唯一の国・・アメリカには日本を核武装したくなくてもできない事情がある(p137)


・「トランプ氏に献金するアメリカ企業が、北朝鮮進出を模索している」と、あるロシアンマフィアが私に教えてくれた・・・アメリカ企業が北朝鮮にカジノ建設をする計画も、すでに動き始めているという(p141)


・19年に入って、私の元イランの富裕層から第三国への亡命を求める連絡が続いている。それは、第五次中東戦争勃発リスクへの悲鳴に他ならない(p151)


・中国=ドイツ=フランス=イタリアによる新たな枢軸国と、アメリカを中心とした新たな連合国。世界は分断ではなく、「乱」の中で再編に向かっているのだ(p174)


・ドイツと金融・貿易を含めて蜜月の関係にあるのが、中国だ・・アメリカが、手をこまねいてヨーロッパを手放すはずがない。すでにドイツに攻撃を開始していると私は見ている。狙ったのは「ドイツの爆弾」と言われている破たん直前のドイツ銀行だ(p173)


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【私の評価】★★★★☆(83点)


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■目次

第1章 巻き起こる「イズム」から「実利」への大転換
第2章 米中貿易戦争に操られるトランプ
第3章 再編される「乱」世界
第4章 暴力プレート境界―日本



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