「闇経済の怪物たち」溝口敦
2019/05/09|

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【私の評価】★★★★★(92点)
■通勤途中に、プレゼントで老人を集めて
健康器具を売っている店舗がありました。
しばらくすると、店は消えていました。
こうしたグレービジネスが儲かるらしい。
この本では、出会い系サイト、
デリヘル、闇カジノ、オレオレ詐欺などの
グレービジネス(一部は違法ビジネス)の
実態を教えてもらえます。
商売別の売上と経費の比率が
紹介されているのが興味深い。
・出会い系サイトに関わる経費だが、サクラのフランチャイズ代が40%、広告費が18%、システム代が月6%、名簿代が5%、決済費が1%、出会い系本体の従業員人件費が15%、残り15%が会社の利益という・・月1億5000万円を売り上げ(p55)
■驚いたのはオレオレ詐欺は、
高利の闇金融から派生した
らしいということです。
闇金融は10日で1~10割の
利子を取る違法な高利貸です。
闇金融はシステム金融とも呼ばれ、
高利の支払に困った客を
仲間のより高い闇金業者から借りさせ、
これを繰り返して高金利を得る。
10日で5割とすれば、
1億円が10日で利子5000万円。
無事回収できたとすれば、1カ月で
1億5000万円になるという商売なのです。
さらに、どうせ違法なのだから
借りていない人からも金を集めても
いいじゃないかということで
闇金融組織の中からオレオレ詐欺で
金を回収するグループが
出てきたらしいのです。
・昇進を判断する基準は数字・・・店長連中が貸付金の回収だろうと、他の名目の振込だろうと、カネはカネだということで、カネを貸し付けてもいないところからカネを引っ張った。オレオレ詐欺です・・・オレオレ詐欺は、回収率アップを原動力としてヤミ金から自然発生した。「ヤミ金=システム金融」が「オレオレ詐欺=システム詐欺」に換骨奪胎されたのだ(p197)
■風俗やギャンブルが儲かるように
グレービジネスは儲かるのだと
思いました。
また、違法ビジネスを行っている人が、
俺が嵌めなければ、他の人が嵌める。
だから罪悪感はないと、言っています。
私には他人を不幸にしてまで
金を取ることはとてもできないのですが、
気にしない人もいるのですね。
溝口さん、
良い本をありがとうございました。
■この本で私が共感したところは次のとおりです。
・氏のヤミ金は成功し、300店舗、従業員1300人を数えるまでに肥大した・・「店員」は月給40万円からスタート・・「番頭」で、役回りは店長補佐。月給は200万~300万円。「店長」の月給は700万~800万円。その上が「統括」といい、月給1000万円が基本で、統括する店舗数で割り増しがついた。その上が「総括」で月給が5000万円。さらに上が「社長」になり、月給が1臆5000万~2億円。その上が3人から成る側近の「幹部」で月給2億~3臆円。その上が本藤氏本人で月収が最低でも2臆~3億円だった(p196)
・ユーザーからの(出会い系サイトの)課金徴収はすべて別会社への銀行振込だから、収入については歴然たる痕跡が残る。が、別会社は架空会社と言ってよく・・この会社のネットバンクには、トバシのWi-Fiを使ってログインし、入金の有無などを確認する・・・できるだけ銀行のATMを使うな、コンビニのATMを使え、コンビニ店員の方が対応が遅く、逃げ出せるチャンスが多いからとも指導している(p54)
・闇カジノ・・バカラ台2台を置き、1日平均売上が2000万円、店の利潤が150万円という。雇用はディーラーが5人、他に店長、キャッシャー、黒服、女の子が各1人ずつ。客への食事、酒代は無料。地元のヤクザに月100万円のみかじめ料を払っている(p112)
・毎日営業している闇カジノでは、あまりイカサマはやらない。ざわざわしているところはやりにくいし、バレたときが怖い。実際にイカサマが多いのはマンション・バカラです。目当ての金持ち1人を完全に嵌めるため、マンション・バカラに誘い込む(p119)
・アダルトビデオ制作会社の社長として年間2億円を稼いでいた・・・21歳のとき、知り合いにAVの事務所をやらないかと誘われた・・・彼女の出演料が1本500万円で、一緒に30本の出演という契約を結んだ。計1億5000万円(p166)
・『海外から4~5キロ、金属の塊を持ってくるだけで小遣いになるぞ』と若者を誘って運ばせてます。プロの資金力にもよりますが、ふつうは1回に4~5名のチームを組み、それぞれに4~5キロ持たせる場合が多いので、1回に計20キロ前後、購入価格ベースで1臆円未満の仕事です。1回の利益は800万~1000万円って感じでしょうか(p190)
・人には好かれて、かつ恐れられろ・・・ヤクザ界の高倉健(p209)
・(ヤクザの)シノギを通して学んだいくつかのルール・・まず朝早く起きて、やりたくないと思った仕事から始める。シノギに当たっては最悪の事態を覚悟する。いろいろな変化や条件を想定しながら仕事に臨む。事を避けようと思ったら、相手に読まれる。避けようと思ってはならない。どんな事態になっても、わが身に引き受ける気持ちがあれば解決していく・・最終的にはお互いウィン-ウィンの関係に持っていくのがベストだ(p227)
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▼引用は下記の書籍からです。
光文社 (2019-03-08)
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【私の評価】★★★★★(92点)
■目次
第1章 「裏」情報サイトの先駆者
第2章 出会い系サイトの帝王
第3章 堅気のデリヘル王
第4章 危険ドラッグの帝王
第5章 日本一のイカサマ・カジノディーラー
第6章 FXの帝王、仮想通貨に挑戦
第7章 六本木の帝王と関東連合
第8章 詐欺の帝王の新事業
第9章 ヤクザ界の高倉健