「政治家も官僚も国民に伝えようとしない増税の真実」髙橋洋一

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政治家も官僚も国民に伝えようとしない増税の真実 (SB新書)

【私の評価】★★★★★(93点)


■消費税10%への増税が、半年後となりました。
 元財務省官僚の著者は、今のタイミングで
 消費税増税は必要ないと主張し続けています。


 消費税は「社会保障財源」とされていますが、
 本来消費税は安定した一般財源とすべきもので、
 国民の理解が得やすいから「社会保障財源」と
 理論武装しているだけと,解説しています。


 財源を増やすためには徴収漏れを減らす、
 保険料を上げるという方法もありますが、
 現在の体制とやる気を変更せずに
 簡単に財源を増やす方法が、
 消費税増税なのだ,という現状認識です。


・財務省も年金の財源を消費税でまかなうという
 建前があるほうが、国民の理解が得やすい・・
 年金が保険であるという本当のことが
 バレてしまうと、「年金財源が不足しているのなら
 保険料を上げればいいだろう」と反論されてしまう・・
 厚生労働省にとっては、財源としての税金を
 財務省=国税庁に徴収してもらったほうがラク、
 という事情もある(p97)


■そもそも、消費税増税は国の財源を増やし、
 国債発行を減らすためですが、
 消費税増税の前に、国の資産を売却したり、
 税金や年金保険料の徴収漏れを減らす
 努力が必要である,というのが著者の主張です。


 著者が現役時代に政府のバランスシートを
 作成し,資産の売却の可能性を指摘すると、
 天下り先がなくなってしまうので却下。


 イギリスで歳入庁ができたのを報告すると
 国税庁を手放しくたくない大蔵省としては
 口外しないように注意。


 つまり、消費税増税だけが
 最も簡単に現状の権益を維持しつつ
 財源を確保できる方法なのです。


・当時の上司に「・・政府のバランスシートは
 それほど悪くないことが判明した。もし、
 政府の借金を返済する必要があるというのなら、
 まずは資産を売却すればいいと思う」
 と報告をしたら、
 「それでは天下りができなくなってしまう。
 資産を温存した上で、増税で借金を返済する
 理論武装をしろと言われた」そして、
 「このバランスシートは公表しない。
 "お蔵入り"にする」とはっきり
 言われたことを覚えている(p177)


■著者の主張に説得力があるのは、
 国税庁と日本年金機構を統合して
 歳入庁を作るという対案が
 あるからでしょう。


 元大蔵省官僚であり、キャリアとして
 地方税務署長の経験のある著者は
 税と社会保険の二重行政の非効率を
 よくわかっているのです。


 高橋さん、
 良い本をありがとうございました。


───────────────


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・社会党は、野党時代は当然消費税に反対
 していたのだが、大蔵省に丸め込まれた
 のであろう。さしたる抵抗も見られず
 消費税増税に踏み切ってしまう・・・
 2009年9月からの民主党政権もまったく
 同じなのだが、野党が政権に就くと、
 いとも簡単に官僚に洗脳されてしまうのだ(p31)


・消費税が持つ逆進性は、所得の低い人により
 強く影響が出る。所得が低い人に対して給付する
 年金の財源に、所得が低い人からの税収を充てる
 というのは、明らかに矛盾している(p88)


・消費税は国税ではなく地方税に適してる。
 地方の基幹的業務である、教育や水道
 消防、福祉といった公共の行政サービスは、
 景気動向に左右されるような税収を財源に
 するのは好ましくない(p88)


・日本の年金は賦課方式であり「積立方式」
 ではない・・ある一定の前提の下で必要な資金が
 不足している「未積立債務額」というのは
 計算することができるが、もともと積立はないので、
 積立が不足するという事態はない仕組みだ(p81)


・年金保険料は、国が徴収する際、税金と同じに
 扱うことが法律で定められている。したがって、
 年金保険料を滞納すると、税金を滞納した場合と同じく、
 法律的には強制徴収することが正しいのだ・・・
 以前は、年金保険料の未納(=実質的には"滞納")
 について、税金の滞納ほど厳しく追求されることは
 ほとんどなかった・・日本年金機構に、
 未納者からの徴収を行う人員やデータが不足
 していたことに加え、きちんと徴収しようという
 "ヤル気"が欠如していたせいである(p106)


・国税庁がつかんでいる法人(=企業)の数は約280万件
 あるといわれ、この法人はすべて税金を払っている。
 一方、日本年金機構が把握している法人は約200万件で、
 国税庁より80万件ほど少ない(p108)


・(年金の)積立金を運用する
 「年金積立金管理運用独立行政法人」(GPIF)は、
 株式投資などを行っている。
 筆者は、積立金を運用する必要は
 まったくないと考えている・・・
 賦課方式で運営されている以上、
 インフレが起きても、つねに現役世代からの
 保険料が給付に回されるため、
 年金額の実質的な目減りは
 避けられることになる(p145)


・法人が得た所得は、経営者や従業員への給与と、
 株主に対する配当金になる。したがって、
 個人の給与所得への課税と、株の配当金に対する
 課税をきちんと行えば、わざわざ法人に課税
 しなくても済むことになる・・・
 完全に個人の所得を捕捉することは技術的には
 難しいので、法人税をなくすことは現実的には
 困難だが、所得税の捕捉率が上がれば法人税を 
 減らしていくのが、基本的な税の理論からすると
 正しいのである(p184)


・所得税をしっかりと徴収し、法人税や相続税は
 軽減するという流れからすれば、分離課税は
 廃止するのが正論になるだろう(p192)


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■目次

第1章 「消費税増税」はデタラメばかり!
第2章 「年金財源」に消費税なんて必要ない!
第3章 消費増税の前に、「歳入庁」の設立が先だ!
第4章 「少子高齢化」でも年金制度は維持できる!
第5章 財政再建が完了した今、消費増税の必要はない!
第6章 こうすれば、消費税は要らない!



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