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「国破れて著作権法あり~誰がWinnyと日本の未来を葬ったのか」城所岩生

2024/04/01公開 更新
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「国破れて著作権法あり~誰がWinnyと日本の未来を葬ったのか」城所岩生


【私の評価】★★★★★(90点)


要約と感想レビュー

P2P技術の普及は京都府警に潰された

バカ真面目な日本の著作権法が、日本のネット技術を遅らせたと指摘する一冊です。2004年に京都府警はWinnyの利用者2名を著作権法違反で逮捕し、同時ウィニーの開発者である金子勇さんを著作権侵害行為を幇助した共犯容疑で逮捕したのです。包丁が犯罪に使われるからといって、包丁を作った人は罪に問われません。しかし、P2P技術によってデータ共有ソフトウェアであるウィニーを作った金子さんは、京都府警に逮捕されてしまったのです。


金子さんは自白を強要され、地裁で有罪となりますが、2011年に高裁で無罪、最高裁で無罪が確定しています。日本の天才プログラマーは7年以上も裁判で時間を失い、日本でのP2P技術の普及は潰されてしまいました。欧米ではウィニーのP2P技術を使って、スカイプやYouTubeやiTunesといったサービスが開始され、日本人は海外のサービスを利用する側になってしまったというわけです。


捜査当局が金子氏を逮捕した後、ウィニーの改良を禁じ、欠陥を修正できなくしたことによって、自衛隊や裁判所、刑務所、病院といった公的機関の情報が大量に流出(p51)

アメリカでは著作権をフェアユースで使える

アメリカでは、公正な利用であれば著作権者の許可なしの利用を認めるフェアユース条項があり、YouTubeもスマホOSのアンドロイドも訴えられていますが、フェアユースで裁判に勝っています。実際、グーグルはスマホOSの開発にあたってオラクルとライセンス交渉していますが、条件が折り合わず、合意なしにOSの開発に踏み切っています。アメリカでは著作権をフェアユースで使えるのでネットサービスがどんどん生まれたのです。


一方の著作権法にフェアユース条項のない日本では、著作権で簡単に負けてしまうので、技術者は著作権のグレーゾーンに関係する技術開発をしなくなったという。日本版YouTubeの動画共有サイト、ジャストオンラインも、日本音楽著作権協会JASRACから訴えられてつぶされています。検索サービスもフェアユース規定のない日本では、サイト一つひとつ検索サービスに登録していいか、事前に許可を取る必要があったという。そうしているうちにアメリカの検索サービスが世界標準となっていったのです。


日本の著作権法にフェアユースを導入すべきという意見は多いようですが、審議会は権利者団体の委員ばかりで、何も変わらないのが実情なのです。


文化審議会著作権分科会の委員構成・・権利者団体の委員15人に対し、利用者団体の委員2人というアンバランスな委員構成(p158)

京都府警が不幸の始まり

この本では、金子さんが京都府警に目付けられたのが不幸の始まりであるとしています。京都府警は著作権法の拡張解釈という裏技を駆使して、金子さんを逮捕して自分の手柄にしたというのです。実際、金子さんを逮捕してた京都府警の捜査の中心人物は、天下りして一流企業の執行役員になっているという。


世界ではP2P技術を使ってスカイプや動画共有サイトやビットコインなどが開発されました。日本ではP2P技術を開発した技術者が逮捕されて、逮捕した人が優遇されているのです。日本ではYouTubeもネットフリックスもiTunesも作る技術と技術者が存在したのに、司法当局が駆除してしまったのです。


毛沢東がスズメを害鳥として駆除したら、害虫が増えて飢饉になったという話を聞いて中国共産党をバカにしていましたが、日本も中国共産党と変わらないくらい愚かなのかもしれないと感じました。城所さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・NHKプラス・・24時間常時同時配信が実現したのは2022年度・・・BBCから15年遅れてのスタートとなった(p38)


・竹中(平蔵)氏が提起した「なぜ、インターネットでテレビの生放送が観れないのか」との素朴な疑問の解決にはさらに10年以上、待たなければならなかった(p26)


・金子氏の逮捕前には存在しなかったユーチューブやアイチューンズなど新しい技術が裁判中に次々に生まれて、日本のビジネスを駆逐した(p9)


▼引用は、この本からです
「国破れて著作権法あり~誰がWinnyと日本の未来を葬ったのか」城所岩生
城所岩生、みらいパブリッシング


【私の評価】★★★★★(90点)


目次

第1章 シリコンバレーの興隆と日本の停滞
第2章 世界の最先端を走っていたP2P技術の商用化を遅らせたウィニー事件
第3章 対照的な米国版ウィニー事件判決とその後も勇み足が続く日本の検察
第4章 オラクルの1兆円の損害よりも社会全体の利益を優先させた米最高裁
第5章 金子勇の悲劇を繰り返さないための提言
第6章 日本版フェアユース導入によりイノベーションを創出する
第7章 日本版フェアユース導入により文化GDP倍増を目指す
巻末特別インタビュー



著者経歴

城所岩生(きどころ いわお)・・・国際大学グローバルコミュニケーションセンター(GLOCOM)客員教授。米国弁護士(ニューヨーク州、首都ワシントン)。東京大学法学部卒業、ニューヨーク大学修士号取得(経営学・法学)。NTTアメリカ上席副社長、成蹊大学法学部教授を経て、2009年より現職。2016年までは成蹊大学法科大学院非常勤講師も兼務。2015年夏、サンタクララ大ロースクール客員研究員。著作権法に精通した国際IT弁護士。


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