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「マネジメントへの挑戦 復刻版」一倉 定

2024/03/29公開 更新
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「マネジメントへの挑戦 復刻版」一倉 定


【私の評価】★★★★☆(85点)


要約と感想レビュー

余裕を削るのが経営計画

一倉定(いちくらさだむ)といえば、社長を叱り飛ばす激しい指導をしたという伝説のコンサルタントですが、復刻版ということで読ませていただきました。会社では販売計画は低めに計画され、製造コストと経費は高めに計上され、工事工程は長めに計画されがちであることを指摘しています。


社長がすべきことは、こうした余裕を削るために、会社が目指すべき売上、利益目標を明示し、統制不能費と未来事業費を天引きしたうえで、残りで経費をまかなうよう工夫することだと断言しています。ストレッチした目標は時に社内に不正を生みますが、不正なしで、死にものぐるいの努力をすることが生きがいではないかと問いかけているのです。


過去の実績をもとにしていたら、そこには進歩もなければ、革新も生まれないのである(p24)

賃率が高くとも工賃が安くなればよい

私が驚いたのは、親会社が下請けに対して求めるべきことは、価格の総額を下げることであり、賃率や工数を下げることではないと指摘していることです。(価格の総額=賃率×工数)下請けとしては、工夫して工数を減らす努力をすることは当たり前で、能力の高い人を使ったり、高効率の道具を使う=賃率が高くても、工数が少なくなることもあるのです。


しかし実際には、下請けがお金をかけて工数を減らしても賃率はそのままで工数を下げられ、努力しただけ損になる場合があるという。つまり一律に賃率を決められ、工数も少なく設定されると工夫のしようがない、工夫しただけ損になるというのが下請けの構造となってしまうのです。
 

現在の公共工事では単価(賃率)が決まっていて、実勢労務費の上昇に単価が追いついていないと言われています。結局は単価が固定化していれば、工数をごまかして適正な総額をもらうようにせざるをえなくなってしまうというわけです。


親工場で求めるものは、賃率の低いことではなくて、工賃の安いこと・・賃率はいくら上がろうと、要は工数との掛けあわせで、工賃が安くなればよいのである(p195)

未来事業費を削減しない

一倉定といえば、「社長はお客様のところへ行け」と一喝されるかと思ったら記載はありませんでした。キリで穴を開けるような重点主義や、人材育成、製品開発、設備投資、事務効率化などの未来事業費を削減しないことや、書類の手続きを減らすことなどが書いてあり、やや大企業向けの内容になっているのかもしれません。


本のソムリエとしては、「読書は、これを自分の仕事と結びつけて実践してこそ意味がある」という言葉を心に刻みたいと思います。一倉さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・きめたことは守らせる・・規定が実情に合わないのなら、規定そのものを変更して、そのとおり守るのである(p61)


・監督者の職務・・職場をきれいに・・三日間の予定を立てる・・危険な箇所をなくす・・付加価値目標と実績をみていること(p141)


・研究事例・・特定企業の、特定時点における問題点をとらえ、これにいかに対処していくか、その企業の人になって考えぬき、討議をする。その過程で自己を高めていく(p223)


▼引用は、この本からです
「マネジメントへの挑戦 復刻版」一倉 定
一倉 定、日経BP


【私の評価】★★★★☆(85点)


目次

1章 計画は本来机上論である
2章 実施は決意に基づく行動
3章 統制とは目標を達成しようとする執念
4章 組織は目標達成のためのチーム・ワーク
5章 有能な経営担当者への道
6章 お金(財務)に強くなる法
7章 時代おくれの教育訓練
8章 破産しかかっている人間関係論
9章 労務管理の基礎は賃金



著者経歴

一倉 定(いちくら さだむ)・・・1918(大正7)年、群馬県生まれ。1936年、旧制前橋中学校(現在の前橋高校)を卒業後、中島飛行機、日本能率協会などを経て、1963年、経営コンサルタントとして独立。「社長の教祖」「日本のドラッカー」と呼ばれ、多くの経営者が支持した。指導した会社は大中小1万社近くに及ぶ。1999年逝去


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