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「国破れて霞が関あり―ニッポン崩壊・悪夢のシナリオ」若林 亜紀

2009/10/04公開 更新
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国破れて霞が関あり―ニッポン崩壊・悪夢のシナリオ

【私の評価】★★★☆☆(70点)


■厚生労働省の外郭団体に働きながら、
 お役人の公金浪費の実態を
 内部告発した若林さんの一冊です。


 やはり内部で働いていただけあって、
 お役人の世界の雰囲気が伝わってくるところが、
 本書の良いところでしょう。


・浄化槽管理士・・・講習会に出席すれば
 無試験で資格がもらえるが、受講料は13万円・・
 お役所がいろいろな資格をつくって、
 天下り先の外郭団体に試験監督や講習を
 独占させてもうける、という典型的な
 お役所の「資格商法」なのだ(p100)


■民間企業では、いいかげんなことが
 行われれば、すぐに倒産という現実に
 直面します。


 しかし、お役人の場合には、
 組織は倒産することはなく、
 国家が倒産するまでその組織が
 存続するところが怖いことろです。


・『お役所の掟』の著者である宮本正於氏は、
 在職中に内部告発をしたため厚生省(当時)で
 いじめられ左遷され、最後にささいな
 ミスをあげつらわれて懲戒免職となった。
 その後ほどなくがんになり、
 フランスの病院で客死していた。(p173)


■お役人の世界を内部告発した人の
 運命は、それが政治家であろうと、
 部内者であろうと過酷なようです。


 お役人の強さを認識させてくれる
 一冊でした。


 本の評価としては★3つとします。


─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・独法(独立行政法人)は、
 天下りの温床にもなっている。
 役員の5割から8割が官僚OBの天下りで、
 ほぼ一律の年1600万円という
 高額報酬を得ている。(p166)


・残念ながら、公立学校の「大本締」であるはずの
 文科省の官舎に、その春、公立中学校へ入学する
 子どもは一人も見当たらなかった・・・
 文科省官僚の多くは、子供を
 「ゆとり教育」のない私立の小学校や
 中学校に通わせている(p128)


・ハローワークの休職・求人はコンピュータに
 登録されるため、人手もさほどいらなくなった・・
 しかし、失業給付の手続き窓口として、
 失業者をほとんど意味もないのに
 出頭させる仕組みにして、厚労省は
 ハローワークが忙しいように見せかけ、
 抵抗をしている(p208)


・日本労働研究機構という厚生労働省所管の
 特殊法人で働いた・・・
 レポートを書いたりすると、
 「生意気だ」「必要ない」と上司に止められた・・
 ある若手研究員は・・・「まともに研究すれば、
 今の厚労省の政策は、大体、ムダとか
 おかしいという結論になる」といって、
 大学に転出していった(p168)


▼引用は、この本からです。
国破れて霞が関あり―ニッポン崩壊・悪夢のシナリオ
若林 亜紀
文藝春秋
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おすすめ度の平均: 5.0
5 今後4年間の検証本
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4 日本という国の現実がよくわかる本です
5 「霞が関改革」、待ったなし!
5 行革の必要性を再認識させられた。

【私の評価】★★★☆☆(70点)



■著者経歴・・・若林 亜紀(わかばやし あき)

 1965年生まれ。
 88年大手建設会社に就職。
 91年厚生労働省の外郭団体、日本労働研究機構
 (現・労働政策研究・研修機構)に転職。
 01年に天下りや公金浪費の実態を「週刊朝日」に
 内部告発して退職し、ジャーナリストとなる。


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