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「『安倍晋三 回顧録』公式副読本-安倍元首相が語らなかった本当のこと」中央公論新社

2024/10/18公開 更新
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「『安倍晋三 回顧録』公式副読本-安倍元首相が語らなかった本当のこと」中央公論新社


【私の評価】★★★☆☆(77点)


要約と感想レビュー


谷内正太郎覚書とは

安倍元首相暗殺後に出版された「安倍晋三回顧録」について、関係者の証言を集めた一冊です。登場するのは、谷内正太郎、手嶋龍一、橋本五郎、小池百合子、石破茂、大学教授などです。私にとって読む価値があるのは、谷内正太郎氏と手嶋龍一氏の対談のみでした。


谷内正太郎氏は、第二次安倍内閣で初代の国家安全保障局長となり、「日本版NSC」で日本の外交をコントロールしてきた人です。谷内正太郎氏は、安倍首相に外交方針をまとめたメモを説明し、了解を得たという。これが、「谷内正太郎覚書」なのです。


外交においては・・中国、ロシア、韓国、北朝鮮といった国々との関係悪化が著しいので、近隣諸国との関係を改善することが急務だと訴えました(谷内正太郎)(p16)

対等の日米同盟を作ること

谷内正太郎覚書には、大目標と中目標と小目標が記されていました。大目標は、憲法9条改正と、双務的で対等の日米同盟を作ること。


しかし、この大目標は簡単に進むものではないので、中目標として、集団的自衛権の憲法解釈変更、海洋国家のネットワーク構築、経済の成長とエネルギー戦略、環太平洋パートナーシップ協定の発足が設定されたのです。この中の海洋国家のネットワーク構築が、後の「自由で開かれたインド太平洋」につながるのです。


そして双務的で対等の日米同盟のために、防衛費のGDP比2%への引き上げ、反撃能力、継戦能力の保有強化が進められることになったのです。


2022年の暮れのいわゆる安保3文書(「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」)の閣議決定によって、防衛費のGDP比2%への引き上げ、反撃能力、継戦能力の保有といったことに道が開かれましたが、これらはもともと安倍さんが提唱してきたことです(p28)

ウクライナ化まっしぐら

安倍晋三が偉大な首相であったとすれば、谷内正太郎という人間を見出し、外交の責任者に据え、その方針を実行していったということなのでしょう。ロシアのウクライナ侵攻や、中国の台湾恫喝を見ていると、今、日本に必要なのは、日本が次のウクライナや台湾にならないことのように感じます。


そのために谷内正太郎は、「谷内正太郎覚書」を作ったのです。


しかし、今日の新聞の日本共産党のチラシに「大軍拡と9条改憲まっしぐら」と書いてありました。日本がウクライナ化まっしぐらにならないことを望みます。中央公論新社さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・北朝鮮から連れ戻した拉致被害者・・また北朝鮮に返すべきだという議論があったなか、安倍さんはひとり、犯罪者の手に被害者を戻す非道などあり得ないと力説するわけです(谷口智彦)(p267)


・トランプさんと信頼関係を結べたことが、日本にとってどれだけプラスになったことか。トランプさんの方も、安倍さんを頼りにし、折に触れて意見を求めるというところがありました(谷内正太郎)(p21)


・「日米安保条約は日本の施政の下に適用されるため米軍基地が北方の島に置かれる」という巧みな情報操作が行われているという話を日ロの関係者から筆者(手嶋龍一)も聞かされていた(p50)


▼引用は、この本からです
「『安倍晋三 回顧録』公式副読本-安倍元首相が語らなかった本当のこと」中央公論新社
中央公論新社


【私の評価】★★★☆☆(77点)


目次


第1章 秘話
第2章 当事者は語る
第3章 研究者の分析
第4章 霞が関より
第5章 安倍晋三とは


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