★5日本社会の最近のブログ記事

「正義」を叫ぶ者こそ疑え
宮崎 学
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 663

【私の評価】★★★★★(92点)


■ヤクザの息子として生まれ、
 学生時代は共産党活動家として活躍。

 社会に入ると週刊誌記者や、
 家業の解体屋であばれまくった
 著者が世の中の見方を教えてくれる一冊です。


・政治の動きを見るときは
 「それで儲けるのは誰か」を
 注視するのは政治ウォッチャーの初歩的原則である(p54)


■共産党の活動家であり、
 ヤクザの世界も知っているだけあって、
 ウラの世界をよく知っている。

 そして、知っているだけでなく、
 それに騙されるな!
 という原則も教えてくれるのです。

 生き方の心構えとでも、
 言うのでしょうか。


・どんなことが起こったらやめるか、を心に刻んでおけ・・・
 組織が腐った、と感じる限界、あるいは自分の問題として
 ここまで妥協してしまったら、自分が許せなくなる限界は
 どこなのか、まずそれを心に刻んでおく(p107)


■今、問題となっている
 原発の問題も指摘しているところが
 鋭いと感じました。

 世の中ってどうなっているんだろう、
 と怖い世界の真実を
 知りたい人にお勧めの一冊です。

 世の中とは怖いですね。


 宮崎さん、
 良い本をありがとうございました。


━━━━━━━━━━━━━━━━━


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・「パールハーバーだ」という同じ感想は
 アメリカとアジアでは正反対の意味を持つ。
 アメリカでは宣戦布告なき卑怯な急襲を意味する。
 日本やアジアでは「また知っててやらせやがった」(p23)


・原発を維持する論理の一つが「作動させておく方が安全だ。
 だから作動させ続けなければならない」というものがある。
 停める方がコストがかかるし危険もあるという論理。
 しかしいつか停めなければならないときが必ずくる。
 そのときの危険性は「考えない」のである。
 考えることすら恐ろしい、だから考えないことにするという
 思考停止状態。原発もまた解体不能の建物の典型例だ(p46)


・ロシアの革命家トロツキーは
 「悪魔でさえ聖書の引用で自分の言葉を飾ることができる」
 と言った。(p51)


・マイカル、そごうは潰すが、ダイエーはまずい、
 とはどんな基準によるものだろう。・・・
 そごうやマイカルの人間は役人や銀行にへいこらしなかったから、
 という巷の判断が正しいようである(p55)


・日本共産党の機関紙・赤旗のキャッチフレーズは
 「正義の味方、真実の報道」である・・・
 正義を体現していると信じた瞬間から、
 自分が世界の中心になってしまう。・・・
 そして、その正義に従わない者こそ悪と
 断じてしまうのである。(p63)


・覚せい剤で挙げられた場合、警察官には執行猶予付きだが、
 やくざは懲役五年の実刑である。・・・
 ここに法の下の平等はない。(p78)


・組織を動かすことには魔力がある・・・
 成果をあげよう、もっとこうすればと工夫する。
 はまり込んでしまう。組織の強化、発展しか考えなくなるのだ。
 原点を忘れてしまう。(p105)


・自分の息のかかった企業に落札させ、政治献金として
 還流させる・・・・不動産売買と同じく手数料は三%が原則・・・
 100億円単位の援助工事も多いODAを牛耳っていた鈴木宗男の
 集金力はかなりのものだったはずだ。やり過ぎたから叩かれたと
 見るべきだろう。そこに他の議員の嫉妬が絡んでいる(p119)


・警察官僚出身の後藤田の権力の源泉は情報にあった。
 政界の誰かれの外には出せない情報が彼の存在を高からしめた。
 実際に情報を握っているかどうか判らなくてもいい。
 握っているのではないか、と思わせるだけで、党内も反対政党も
 表立って批判できない雰囲気になってしまうのである。(p121)


・官僚の筋書きをどれだけ早く、具体的レベルで知っているか、
 それを「政策通」と呼ぶ。・・・先に利権のありどころを知り、
 橋渡しをすると称して企業に見返りを要求する手段である。
 これが政治の構造だ。(p125)


・創価学会員が一番困るのは
 「池田先生はそんなこと言ってないよ」
 「それは池田さんの理念と違うよ」と
 議論を吹っかけられることだ。
 試してご覧なさい。(p142)


・インチキ宗教を見分ける基準はいくらでもある・・・
 まず、信仰に金は必要ない。
 金を欲しがる宗教はすべてインチキである・・・
 信仰をテストし、ステージを上げるのもインチキ。
 信仰は外から評価されるものではない(p163)


・「民族」の概念も怪しいもの・・・利権のために
 民族主義を利用する政治屋が現れ、それに乗って
 いい思いをしようという人間が煽り、それをまともに信じた
 人間が死ぬという構造だ。(p171)


・尖閣諸島や南沙諸島の問題は大陸棚資源の問題だ。
 別に民族の問題じゃない。・・・利権問題は外交の場で
 調整すればいいことであって、それを民族対立の材料に
 したがる勢力は、はなから排除するか、一切相手にしない(p181)


「正義」を叫ぶ者こそ疑え
宮崎 学
ダイヤモンド社
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なぜうつ病の人が増えたのか (幻冬舎ルネッサンス新書)
冨高 辰一郎
幻冬舎ルネッサンス
売り上げランキング: 83421


【私の評価】★★★★★(92点)


■最近、職場ではメンタルヘルスということが
 よく言われ、何か悩みがあれば、
 相談しなさい、ということになっています。


 この本では、
 ほとんど全ての国において、
 「SSRI」という抗うつ薬が販売されてから、
 うつ病患者が激増していること、

 そして
 うつ病患者が増えると同時に、
 メンタル休職者が増えていることを
 教えてくれます。

 この事実は、
 精神科医である著者にとっても
 驚きだったようです。


・現在のうつ病診療の基本方針は、「薬」と「休養」である。
 うつ病患者が病院を受診すれば、抗うつ薬を処方され、
 休養を勧められる。したがって、うつ病患者が増えれば、
 抗うつ薬の売り上げが伸び、メンタル休職者が増える(p40)


■さらに、
 抗うつ薬は、うつに効果が少ない
 というデータがあり、

 さらに、軽度のうつ病では、
 データ上は効果がわからないということ。

 それでも日本では、
 軽度のうつ病患者にもすべて
 抗うつ薬が処方されているのです。


・一般向けのうつ病啓蒙書には「抗うつ薬を飲むと、
 六週間で約六割の人は改善します」といった説明が
 書かれている・・・しかし、抗うつ薬を飲まずプラセボ
 (偽薬)を飲んだ人でも六週間で五割の人は改善すると
 聞かされると、抗うつ薬に対する見方が変わってくる(p191)


■数百人の職場では、
 何人かは精神的に問題を持っている人が
 いるものです。

 そうした人へのサポートは大切ですが、
 マクロ的に見て、薬を売るために
 病気かどうかわからないような人にまで 
 抗うつ薬を飲ませるというのは、
 どうなのかと感じました。


 人はだれでも金儲けになると
 判断を間違うことがあるようです。

 原子力の安全神話にも通じるような
 会社の利益ばかり考えてしまう組織の危うさを
 抗うつ薬にも感じました。


 冨高先生、良い本をありがとうございました。


━━━━━━━━━━━━━━━━━


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・昔の精神医学は、重症うつ病が診療対象の中心だった。
 重症うつ病とは、抑うつ気分が非常に強く、平常心を喪失しており、
 自宅で療養するのが難しいレベルのうつ病である(p26)


・高い薬はよく売れる・・・
 TCA(三環系抗うつ薬)の価格と比較して、
 SSRIの薬価が二~十倍高いことがわかる。(p68)


・現在米国では、過剰なまでも小児躁うつ病の啓発活動を
 進める製薬会社と、積極的に子供を躁うつ病と診断し
 薬物を投与する精神科医に対して批判が起きている(p82)


・抗うつ薬の普及が進んだ米仏ではうつ病が多い。
 同じ先進国で、経済レベルはそれほど変わらないのに、
 抗うつ薬の普及が遅れた国の方が、うつ病が少ない・・・
 抗うつ薬が普及している国は、うつ病にかかる人が減るはずだ(p153)


・「うつ病が回復しないと自分には何もできない」
 「周囲の理解がないので私のうつ病が治らない」
 といった考えに固まった患者に出会う度に、
 うつ病の啓発活動の難しさを感じてしまう(p175)


・軽症うつ病には抗うつ薬がほとんど効果がない、
 という臨床試験の結果を重視して、軽症うつ病には
 最初から抗うつ薬を使わないよう勧めている国もある・・・
 日本ではほとんどの精神科医は軽いうつ病患者にも、
 例外なく薬物療法から始めている(p204)


・約二万人の臨床試験参加者の結果を調査したところ、
 抗うつ薬服用群の方がプラセボ投与群よりも、
 自殺者の比率が1.8倍と高かったのである。
 統計的な有意差はなかったが、予想外の結果だった
 ・・当時製薬会社は、自殺予防を全面に押し立てて、
 うつ病の啓発活動を行なっていたからである(p215)


・なぜ日本の精神科医は同じ作用の薬を何種類も併用する
 ・・・複数の抗うつ薬が処方されることが多い。
 しかも抗うつ薬だけでなく、抗不安薬、睡眠薬、抗精神病薬、
 気分安定薬と多岐にわたって、それぞれ複数処方される
 ケースが多い。(p233)


・医療において、専門家の間で意見が異なる問題に関しては、
 枚挙に暇がない。高血圧はどこまで降圧すべきか、高コレステロール
 血症はどのレベルから薬物治療を開始すべきか、未破裂の
 脳動脈瘤はどの大きさから予防的に手術すべきか、等々(p134)


なぜうつ病の人が増えたのか (幻冬舎ルネッサンス新書)
冨高 辰一郎
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人生に悩んだら「日本史」に聞こう 幸せの種は歴史の中にある
ひすいこたろう 白駒妃登美
祥伝社
売り上げランキング: 496

【私の評価】★★★★★(96点)


■元キャビンアテンダントの白駒さんが、
 海外に出て気づいたのは、
 日本という国家の素晴らしさです。

 欧米の人は、バカンスのために働いている。

 一方、日本人は自分のためでもありますが、 
 公のためにも働くのです。


 そうした日本の良さを
 さらに確信させてくれるのが、
 先人の残してくれた生き方です。

 日本の歴史の中にこそ、
 日本人の素晴らしさを
 見ることができるということ。


・何か問題があると、
 「ここで福沢諭吉ならどう考えるだろう」と、
 歴史上の人物と対話していたというのです(p5)


■この本には、日本の良さを
 再確認させてくれる事例が満載です。

 黒船を作ったちょうちん屋さん。

 明治維新の志士に資金提供し、破産した商人

 欧州で研究所長の職を断って、
 日本で研究所を作った科学者。

 日本には、
 ときどき型破りで、
 粋な人がいるんですね。


・西郷隆盛・・・
 人を相手にせず、天を相手にせよ
 天を相手にして、己を尽くし人を咎めず、
 我が誠の足らざるを尋ぬべし(p84)


■なぜ、こんなにも白駒さんのお話が、
 心にスーッと入ってくるのか不思議でしたが、
 最後にその理由がわかりました。

 その理由だけで一冊の本が書けそうです。
 
 皆さんにもこの本を、
 前からじっくり読んで、
 最後に感動してほしい。


 そして、申し訳ありませんが、
 共著者として、ひすいこたろうさんは
 不要でした。

 著者名も、白駒妃登美さんを前にしてほしい。

 白駒さん、良い本をありがとうございました。


━━━━━━━━━━━━━━━━━


■この本で私が共感したところは次のとおりです。


歴史を知るとは、時空を超えて、
 偉人を"友達"にできること
です。(p6)


・黒船が浦賀沖に来航した際、・・・
 船内の様子をスケッチしまくり、メモしまくり、
 取材しまくりだったようです。
 「コイツラ、クロフネ、ホンキデツクルキダ」って
 アメリカ人を驚かせたわけです(p42)


・欧米では「あなたは何のために働いているのですか?」
 と尋ねると、ほぼ100%に近い人が、
 「バカンスを楽しむため」と答えます・・・
 日本では、神さまたちが、自ら働いているのです。(p98)


・私は、航空会社に勤務していた頃、
 仕事や旅行さで海外のさまざまな街を訪れましたが・・・
 「日本人だから」という理由だけで、信用してもらえたり、
 とても親切にしていただきました・・・
 究極のブランドとは、ヴィトンでもなく、エルメスでもなく、
 その生き方であると思います(p206)


・江戸しぐさ・・・
 人とすれ違うときに、お互いが右肩をスッと引く。
 これは、肩と肩がぶつからずにすむ
 "肩引き"と呼ばれる所作です。
 雨の日にすれ違うときには・・・(p73)


人生に悩んだら「日本史」に聞こう 幸せの種は歴史の中にある
ひすいこたろう 白駒妃登美
祥伝社
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■国内農業保護政策を進める農水省に対し、
 日本の農業は保護なしでやっていける。
 むしろ、保護政策により、真面目な農家は
 困っていると主張する一冊です。


・長年、生産調整をさせられた挙げ句、
 残った面積で昨年は資料米、来年からは米粉を
 作らないといけなくなった。これでは
 注文をもらっている業者へのコメが足りない。(p58)


■まず、農水省は「日本は食料自給率が低い」と主張していますが、
 それは農水省が低くなるように自給率を計算しただけであり、
 実は、日本は輸入依存度が最も低いというデータもあります。

 自給率を低く見せるカラクリは、価格ではなくカロリーベースにする。
 分子に兼業農家の生産を含まない。輸入飼料分は国産としない。
 分母に廃棄分、食べ残し分も含める、と色々工夫しているようです。


・なぜ、生産額ベースの自給率は、国の政策目標であるにもかかわらず
 他国と比較しないのだろうか・・・日本の66%は主要先進国の
 中で三位である。さらには、農業生産額に占める国内販売シェアは一位。
 輸入依存度が最も低いことを表している。(p34)


■国際的には、農業はすでに産業化されていることが
 わかります。つまり、農業とは、自動車のように安い原料を輸入して、
 農産物という商品を生産して、販売しているのです。

 それに対して、現在の日本の農水省は、農業保護という方針の下で、
 小麦、トウモロコシ、バターなど輸入原料に高い関税をかけて、
 国内メーカーの国際競争力を削いでいるわけです


・農水省の天下り団体「農畜産振興機構」のバター輸入独占業務
 ・・・たとえば、国際価格500円のバターを一キログラム
 輸入したとしよう。まず、500円に関税29.8%相当の
 149円+179円が課せられる。そこに輸入差益806円を
 足すと1634円に化ける。輸入価格の三倍以上だ。流通・
 小売マージンを乗せれば2000円を優に超える(p100)


■昔、自動車産業を保護するために、
 外国自動車の輸入制限、国内自動車会社を増やさない
 という政策を経産省が行おうとしましたが、
 これが実施されていたら今のホンダは存在しないのです。

 「保護は、産業を弱体化させる」というのは、
 だれでも知っている真理であると思います。

 では、なぜ農水省の人は、農業を
 弱体化させたいのでしょうか。


・自給率の名の下に国内保護政策を強化しても、
 農業は弱体化し、いい思いをするのは農水省と
 関連団体だけだといっていい(p45)


■実は、農水省に働く人にとっても、
 この現状は悲しいことなのかもしれません。

 農協との関係もありますし、
 先人がやっていたことを続けていただけ。

 天下り先をなくさないようにやってきたことが、
 日本の農業を弱体化させているのですから。

 泥棒が警察に捕まった時、
 「捕まってホッとした」と言うことがあると
 言いますが、農水省の人も
 「この本が出てホッとした」と感じているかも
 しれません。

 浅川さん、よい本をありがとうございました。


━━━━━━━━━━━

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・国内の農業生産額はおよそ八兆円。
 これは世界五位、先進国に限れば
 米国に次ぐ二位である。(p4)


・自給率が示す数字と一般的な感覚がかけ離れているのは、
 農水省が意図的に自給率を低く見せて、
 国民に食に対する危機感を抱かせようとしているからである(p6)


・食料自給率に潜むカラクリ・・・
 分子の国産供給カロリーには、全国に200万戸以上もある
 農産物をほとんど販売していない自給的な農家や副業的な農家、
 土地持ち非農家が生産する、大量のコメや野菜は含まれていない
 ・・・海外から輸入したエサを食べていた家畜は除外される(p30)


・輸入トウモロコシは一キログラム約30円。
 対する国産の飼料米は、コストだけで六倍超の200円弱もし、
 その差額が補助金で埋められる。(p63)


・飼料米を作る農家は作りたくて作っているわけではない
 ・・・プロの畜産農家はその背景を知っているから、
 突然エサが手に入らなくなるリスクを負ってまで、
 国産の飼料米に切り換えるわけがない(p65)


日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率 (講談社+α新書)
浅川 芳裕
講談社
売り上げランキング: 36
おすすめ度の平均: 4.5
5 食を人質にとった搾取を告発
5 この1冊で、農水省は「爆砕」された。
2 そもそも金額ベースが間違い
5 コペルニクス的転換を感じた本。 必読。
5 ひさびさに「目から鱗が落ちる」快感を味わわせていただきました

【私の評価】★★★★★(96点)


■著者紹介・・・浅川 芳裕(あさかわ よしひろ)

 1974年生まれ。
 月刊「農業経営者」副編集長。
 若者向け農業雑誌「Agrizm」発行人、
 ジャガイモ専門誌「ポテカル」編集長。
 2000年同社に入社。


■関連書評■

a. 「農協の大罪」山下 一仁
【私の評価】★★★★☆


b. 「夢の百姓「正しい野菜づくり」で大儲けした男」横森正樹
【私の評価】★★★★★


c. 「日本の食と農」神門 善久
【私の評価】★★★☆☆


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希望を捨てる勇気―停滞と成長の経済学
池田 信夫
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 1335

【私の評価】★★★★★(96点)


■「地獄への道は善意で舗装されている」と言われますが、

 その人を助けようと思っていたのに、
 結果は、逆にその人が不幸になってしまったという事例を
 ズバッと指摘する一冊です。


■まず指摘するのは、

 姉歯元建築士から大問題になった
 耐震強度計算の擬装です。

 姉歯の設計したマンションを取り壊したり、
 耐震強度をちゃんと計算しようとしましたが、
 チェック強化により建物着工ができず

 業界が大不況となりました。


・姉歯元建築士の設計した建物は「震度5で倒壊する」とされて
 取り壊されたが、同じ論法でいけば、1981年の建築基準法
 改正以前の建物は、みんな取り壊されなければならない。
 しかし役所もメディアも、それは問題にしない。震度5で
 コンクリートの建物が倒壊した事件はほとんどないからだ。(p32)


■そして、グレーゾーン金利にいたっては、
 それまで問題ないとされていた金利が違法となり、
 過去の金利を返済しなくてはならなくなりました。

 そのため、消費者金融業界は崩壊。

 消費者金融を利用していた人は、
 より高利の闇金融を利用するしかない
 状況になっているのです。


・グレーゾーン金利が、裁判所によって事後的に違法とされ、
 過去に遡及して訴訟が続発していることは、法治国家としての
 日本の信頼を傷つける。シティグループは日本の消費者金融から
 撤退するとき、記者会見で
 「ルールのない国でビジネスはできない」とのべた(p28)


■派遣労働についても、

 禁止や規制強化がなされれば、
 派遣労働者が幸せになるわけではなく、
 派遣労働者の仕事がなくなるだけに
 終わる可能性があるのです。


・不況の最中に46万人といわれる製造業の派遣労働を禁止したら、
 規制強化を口実にしてクビを切るか、契約社員やアルバイトに
 切り替えるだろう。(p47)


■これ以外にも、不動産の入居者の権利が強すぎる件、

 医者の手術失敗が刑事罰に問われる件、

 地方を無理に活性化させようとしている件など

 よく考えるとそうかもしれないという
 目からウロコがたくさんでした。


・問題は産婦人科医の不足ではなく、手術の失敗に刑事罰を科すなど、
 人命のためには他のすべてを犠牲にする司法のバイアスである。
 それは結果的には、多くの人命を失う結果をもたらしている。(p29)


■書籍のタイトルが今一ですが、
 内容は最高に充実しています。

 問題というものは、表面的な対応だけでは
 根本的な解決にならないこともわかりました。

 池田さん、よい本をありがとうございました。


━━━━━━━━━━━

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


・硬直的な人事制度のおかげで、日本のサラリーマンのほとんどは、
 年をとると何もすることがなくなる。・・・特に管理職になると
 地方勤務が多くなり、単身赴任という世界に類を見ない生活形態が
 増える(p55)


・奴隷は彼らの鎖の中ですべてを失ってしまう。
 そこから逃れたいという欲望までも。
 (ジャン・ジャック・ルソー)(p59)


・需要の変動に対応して雇用調整を行うメカニズムが、
 解雇(50年代)、配置転換(60年代)、出向(70年代)、
 非正社員(90年代)と変化してきたのである。(p67)


・店子の権利が非常に強く・・・立ち退かせにくい家族を
 入居させず、独身向けワンルーム・マンションを建てる。
 その結果、日本の賃貸住宅の質は低く、家賃は高い。(p26)


・地方はもっと(経済の自然な流れにそって)衰退しても
 おかしくない。・・・これからは都市国家の時代だ。(p136)


・比較優位・・・「アインシュタインが秘書よりタイピングが
 うまくても、彼がタイプしてはいけない」のだ(p185)


・「世界一速いコンピュータ」・・・時代錯誤の戦艦大和のような
 「大艦巨砲コンピュータ」に多くの優秀なエンジニアを
 投入することは、IT産業をミスリーディングし、
 税金よりもはるかに重大な人材の浪費になるだろう(p194)


・新聞社には気の毒だが、この流れはもう変わらないだろう。
 ・・・デジタル情報の限界費用(複製費用)はゼロなので、
 その価格がゼロになることは避けられない。(p207)


希望を捨てる勇気―停滞と成長の経済学
池田 信夫
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 1335
おすすめ度の平均: 4.5
5 若者よ、これを読んで選挙に行こう
5 斜陽=成熟社会という幻想
3 絶望後の"希望"が疑問も、やはりここからしか始まらないようだ・・・
4 絶望から、はじめよう。
4 日本の構造的問題を的確に分析

【私の評価】★★★★★(96点)


■著者紹介・・・池田 信夫

 1953年生まれ。
 大学卒業後、NHK入社。
 1993年退職後、国際大学GLOCOM教授。
 経済産業研究所等を経て、
 現在は上武大学大学院教授。


■関連書評■

a. 「国破れて霞が関あり」若林 亜紀
【私の評価】★★★★☆

b. 「官僚とメディア」魚住 昭
【私の評価】★★★☆☆


c. 「日本の真実」大前 研一
【私の評価】★★★★☆


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産廃コネクション―産廃Gメンが告発!不法投棄ビジネスの真相
【私の評価】★★★★★(92点)


■仕事で産業廃棄物の処理について勉強するために
 産廃関係の本を8冊ほど購入。

 今日届いた5冊を一気に読んでみましたが、
 この本が一番でした。

 表面的な事務や法律を解説した本とは全く異なり、
 産廃業界におけるそれぞれの業者のポジション、
 儲けるコツ、不正をしてしまう理由まで
 裏の裏まで教えてくれるのです。


■著者によると、2002年の時点で、
 最終処分された5000万トンと同じくらいの
 4000万トンが不法処分されたと推定されるそうです。

 もし、不法処分がなくなれば、 
 最終処分場はとうの昔に満杯になって
 しまっているはず、というのです。

 では、どうして不法処分が行われるのか。


  ・マニュフェストなしの産廃もマニュフェストありの
   産廃と混合され、マニュフェストありの
   産廃として保積(積替保管場)を出ていく。(p88)


■それは最終処分場が少ないという
 物理的な理由と、
 不法処分することにより簡単に儲かるという
 金銭的な理由があるようです。

 産廃を目一杯受け入れて、
 結局オーバーフローしてしまい、
 仕方がなく不法投棄をすると、
 簡単に儲かってしまう。

 これでは、不法投棄はなくならないでしょう。


  ・中間処理施設は、取引先にマニュフェストを回付するため、
   最終処分場との契約がどうしても必要だ。
   オーバーフローした産廃を不法投棄現場に流出させているからこそ、
   辻褄を合わせるため、一定量の産廃は
   正規の最終処分場に処分しておかなければならない(p162)


■産廃Gメン(公務員)がここまで書けるとは
 驚きました。

 具体的なマニュアルとしては、
 「不法投棄はこうしてなくす」石渡 正佳

 が具体的でわかりやすいものとなっています。
 仕事で使う方は、セットで購入するべきです。

 ちょっと古い本ですので、
 今の状況が反映されていない可能性を割り引いても、
 ★5つとしました。


─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


  ・産廃の処理を委託するとき、収運は収運業者に、処理は処理業者に、
   それぞれ個別に契約を締結し、処理費も個別に支払うのが
   原則とされている。しかし、実態は大いに異なっており、
   収運業者が処理まで一括して受託することが通例となっている・・・
   安い処分先を探せば、処理費のピンハネが可能になる。(p91)


  ・中間処理施設は、産廃の減量化やリサイクルを担う 
   産廃処理の主役で、そこが不法投棄の主犯だといったら、
   産廃処理システム自体を否定することになってしまう。
   表向き、中間処理業者が主犯だとは言えない事情がある(p106)


  ・産廃を燃やして灰にすると、重量は10分の1以下になるが、
   燃やさなければできなかった有害物質が発生してしまう。
   効率的な最終処分のための減量化は、産廃を無害化するどころか、
   有害化してしまうのだ(p180)


  ・我が国の行政のずるい点は、システムを作るときには、
   学者を集めて一生懸命にあれこれと議論するが、
   一度システムができてしまうと、問題が生じても
   システムそれ自体の欠陥は決して認めようとせず、
   業界に責任転嫁し、自ら責任を取らないという体質にある(p213)


▼引用は、この本からです。

産廃コネクション―産廃Gメンが告発!不法投棄ビジネスの真相
石渡 正佳
WAVE出版
売り上げランキング: 126349
おすすめ度の平均: 4.5
4 強い意志と逃げを打たない仕事
5 廃棄物担当者は一見の価値
4 不法投棄削減の切り札はリサイクルだ
4 目をそむけてはいけない現実
5 産廃に関心のある人は読まれるといいですよ

【私の評価】★★★★★(92点)


■著者紹介・・・石渡 正佳(いしわた まさよし)

 1958年生まれ。
 1981年千葉県入庁。
 1996年から千葉県環境部産業廃棄物課で、
 産廃行政を担当。
 2001年から監視班のリーダーとして
 短期間に不法投棄ゼロを達成。


─────────────────

■関連書評■

a. 「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」武田 邦彦
【私の評価】★★★★☆

b. 「ごみを燃やす社会」山本節子
【私の評価】★☆☆☆☆

c. 「「法令遵守」が日本を滅ぼす」郷原 伸郎
【私の評価】★★☆☆☆

d. 「正義で地球は救えない」池田 清彦
【私の評価】★★★★☆


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道路の決着 (文春文庫)
【私の評価】★★★★★(93点)


■最近、高速道路のパーキングが
 変化していることに気づきます。

 まず、トイレがきれいになった。
 そして、まずいラーメンがなくなった。
 逆に、パーキング毎に人気メニューをPRするように
 なってきています。


■私は、これは道路公団の民営化がもたらした
 成果だと思っています。

 そして、なんと現在、旧道路公団三社は
 数百億円の税金を払っているそうです。

 道路公団のときには、
 毎年3000億円の税金を使っていたというのに。


  ・旧公団三社(東日本高速道路株式会社、中日本高速道路株式会社、
   西日本高速道路株式会社)は、年間で二、三百億円ほど納税している。
   かつては三千億円の税金が投入されていた(p14)


■道路公団の民営化は、小泉首相官邸、
 そして民営化推進委員の猪瀬直樹が
 協力して推進し、実現しました。

 この本には、その経過がリアルに
 記載されています。

 反対派を批判するところは、表現が醜いですが、
 そこを除けば非常に面白く読めると思います。


  ・全国料金プール制は、いわばドンブリ勘定のシステムである。
   日本道路公団を分割することで、大きなドンブリを小さな茶碗に
   置き換えることで、地域に当事者意識と責任を持たせる(p161)


■一点、知っておかなくてはならないのは、
 猪瀬直樹が脅迫を受けていたということです。

 猪瀬と特殊法人に対する情報公開で協力し合った
 衆議院議員の石井紘基は暴漢に刺殺されています。

 それでも、猪瀬直樹は自分の信じる
 道路公団民営化を主張し、根回し続けたのです。


  ・「近藤さんは、命懸けでやる、と新聞やテレビのマイクの前で
   言いましたね。命懸けでやる、と命を懸けるは違う。僕のところには
   毎日のように殺すぞとか無言電話の脅迫があります。・・・だから
   命を懸けるということでやっていただきたい」(猪瀬)(p102)


■こうした事実だけで、
 3000億円の1%は年金として猪瀬さんに
 支払ってもいいような気になってきました。

 逆に考えれば、猪瀬さんのような人がいなければ、
 官僚国家は変わらないということであり、
 恐ろしい気持ちにもなりました。

 いずれ日本の財政は破綻すると思いますが、
 こうした背景があることを知り、
 さらに実際に戦った人のいることを知ることは大事だと思いました。

 そして、自分のできる範囲の中から、
 猪瀬さんと同じ方向で仕事をする人が一人でも増えれば、 
 破綻までの時間を稼げるはずだからです。

 本の評価としては、
 もちろん★5つとしました。


─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


  ・最終確認は作業部隊の例のJR課長とメールでやりとりする
   ことになっている。届いたメールを開いて驚いた。意見書の
   冒頭の部分に中間整理のとりまとめで書いておいた「改革の意義と目的」
   の項について、一部が買ってに改竄されているではないか。(p67)


  ・超過債務キャンペーンの背後には、税金投入で債務を
   減らしてもらい、身軽になってピカピカの会社に生まれ変わりたいと
   たくらむグループがいた。その中心人物が・・・道路公団事務系の
   片桐幸雄・前民営化委員会事務局次長だった。(p78)


  ・加藤寛千葉商科大学長に「猪瀬さん、なにをおいても分割だけは
   絶対に勝ち取らなくてはいけませんよ」と忠告されていた。「国鉄は
   分割民営化できたが、NTTの場合は壁が厚くてスタートの時での
   分割ができなかった。いまも悔やんでいる」と。(p127)


  ・東日本道路サービスではたらく五十代の収受員は給与明細を送ってきた。
   月給は手取り二十万円。天下りのポスト「現場代理人A」は年収九百万円
   だと書いた。「彼らは仕事もせず毎日だらだらしている。(p195)


  ・業者は生き残りをかけて受注のために必死になる。
   その弱みにつけ込んで公団はOBを送り込むのである。(p250)


  ・国鉄改革では、税金を二十四兆円も投入した。
   それは断じてやらないというのが道路公団民営化の一貫した
   考え方で、小泉さんはこれを実行した。(p313)


▼引用は、この本からです。

道路の決着 (文春文庫)
猪瀬 直樹
文藝春秋
売り上げランキング: 593
おすすめ度の平均: 5.0
5 道路公団民営化について完璧に分かる!

【私の評価】★★★★★(93点)


■著者紹介・・・猪瀬 直樹(いのせ なおき)

 1946年生まれ。作家。
 政界の利権、官僚支配の問題を
 精密な調査を元に著作として発表。
 「ミカドの肖像」「日本国の研究」他著書多数。


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■関連書評■
a. 「一気にわかる!空港の内幕」猪瀬 直樹
【私の評価】★★★★☆

b. 「日本国の研究」猪瀬 直樹
【私の評価】★★★★★


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公務員の給与はなぜ民間より4割高いのか

【私の評価】★★★★★(95点)


■賃金コンサルタントが、公務員の賃金について分析した一冊です。

 著者の分析の結果、わかったことは、
 まず、公務員の退職金が異常に高いこと。


  ・民間企業の従業員がもらった退職金
   総額8兆2056億円÷2048千人=1人あたり401万円
   公務員がもらった退職金
   総額2兆8700億円÷223千人=1人あたり1287万円
   (公的年金財政状況報告 平成17年度)(p40)


 そして、年金も高い。


  ・厚生年金の場合、平均額は16万円だが、
   国家公務員(20万円)は4万円ほど高く、
   地方公務員(22万円)も6万円ほど高くなっている(p49)


■さらに給与については、民間より4割高く、
 これは時給の分析からも同じ結論が出てくるようです。


  ・時給を比較すると、名古屋市役所は中小企業の1.8倍・・・
   名古屋市役所 49万0952円÷157時間=時給3127円(同1.8倍)
   トヨタ自動車 47万1000円÷163時間=時給2890円(中小企業の1.6倍)
   中小企業   31万0000円÷174時間=時給1782円(p110)


 わかりやすい例としては、
 名古屋市職員の給与がトヨタ社員とほぼ同等ということです。
 一度、職場を入れかえてみるとおもしろいかもしれません。


  ・名古屋市職員の給与もトヨタ社員を抜いていた・・・
   住民課の窓口で座っている高卒の50代のヒラ職員の給与が
   まさか49万円もするという事実を市民は知っているのだろうか(p82)


■国家公務員の給与は、人事院が毎年勧告しているではないか、
 と思う方も多いと思いますが、
 この本では、人事院の統計データ操作のからくりまで
 教えてくれます。

 基本的には、民間の給与を調査する場合には、
 給与の安い人を対象から外すようにしているようです。


  ・人事院の民間給与調査・・・からくり その1 調査対象を
   50人以上の事業所に限定する・・・からくり その3 調査対象を
   「事務及び技術関係」に絞る・・いわゆるホワイトカラー(p135)


■国家(公務員)反逆罪となるような一冊でした。

 巻末に、エリート官僚にはそれなりの処遇が必要などと、
 具体的な公務員給与の改革案を提示しており、
 建設的な一冊です。文句なく★5つとしました。


─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


  ・公務員は上位15%以内の高額所得者・・・
   国家公務員の平均年齢は40歳である。その所定内給与は40万円だ。
   そのほかに平均的に月間20時間程度の時間外手当が付く。その上で
   賞与を加えれば700万円を優に超す。(p103)


  ・リストラ不安のない公務員に、
   民間企業並みの給与は必要ない(p185)


  ・国家公務員は・・「30歳ぐらいまでの給与は民間とあまり変わらない」
   「40歳過ぎからもどんどん上昇するので、50代に入るとビックリする
   くらい高額になる」・・「高卒でもぐんぐん昇給するので、50代に入ると
   民間の大卒をはるかに上回っている(p60)


  ・国及び地方を合計した人件費は実際には合計37兆円ぐらいでは
   ないか・・・国の税収は平成19年度予算で53兆円、地方の税収は
   40兆円で、合計すれば93兆円だった。・・・実に4割が人件費
   で消えていることになる(p177)


  ・独立行政法人に移行させることで、"隠れ公務員"が急増(p166)


▼引用は、この本からです。

公務員の給与はなぜ民間より4割高いのか
北見 昌朗
幻冬舎
売り上げランキング: 10827
おすすめ度の平均: 4.0
5 読んでいて"面白い"賃金本!
2 微妙やし性格まがってる
5 やっぱりなー
5 マスコミ、公務員そして政治家はこの本を読め!!!

【私の評価】★★★★★(95点)

■著者紹介・・・北見 昌朗(きたみ まさお)

 1959年生まれ。
 1995年株式会社北見式賃金研究所を設立。
 オーナー会社を対象にした賃金・人事コンサルを行う。
 著書多数。

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■関連書評■
a. 「「社会調査」のウソ」谷岡 一郎
【私の評価】★★★★☆

b. 「官僚とメディア」魚住 昭
【私の評価】★★★☆☆


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反転―闇社会の守護神と呼ばれて
【私の評価】★★★★★(91点)


■現在、詐欺の名目で懲役3年の実刑判決を受け、
 服役中の田中元検事の一冊です。

 著者は、東京特捜部に在籍していた辣腕検事であり、
 その検事を辞めた後、弁護士として裏社会の人々を
 弁護してきました。


■田中さんの生き方にはあまり賛同できませんが、
 社会の裏と、政治家、企業家、高級官僚のつながりが、
 この一冊を読むだけで見えてきます。

 ヤクザ、政治家だけでなく検察を含めた高級官僚の名前が
 ぼろぼろ出てくるのは、
 検察組織から裏切り者として堀の中に入れられ
 失う者のない人間だからできることなのでしょう。


  ・住銀は労せずして、平和相銀の東京の店舗を手に入れ、業務を拡大・・・
   住銀と検察の関係は古く、強い。大阪で検事正が検察庁を退官して
   弁護士になるとき、住銀と読売新聞が責任を持って何十社に及ぶ
   顧問先をつける。(p178)


■この本を読んでから、
 新聞やニュースを見る気がしなくなってしまいました。

 「汚職は国を滅ぼさないが、正義は国を滅ぼす」とは言われますが、
 闇の部分も知っておく必要があるでしょう。

 日本社会の現実を直視するために必読の一冊です。
 本の評価としては、★5つとしました。

─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


  ・検察の捜査に対して「国策捜査」という呼び方をよく耳にする。
   ・・・そもそも検察の捜査の本質が、権力体制と企業社会を守護する
   ためのものだ。つまりすべて国策捜査である。(p16)


  ・無理やりストーリーをつくり、それを調書にした。・・・
   そうやって被疑者を追い込みながら、調書を取る。そのテクニックに
   最も優れているのが、東京地検や大阪地検の特捜部である。(p152)


  ・警察の捜査を受けて起訴、あるいは不起訴などを決定するのが、
   検察庁の役割である。・・・検事は、警察の捜査段階から刑事たちの
   相談を受ける。・・・いわば検事は、事件における捜査の指揮官の
   ような存在である。・・・だから、地方に赴任すると、大きな顔が
   できるのである。(p77)


  ・たとえば、本部長や大阪の中心地の警察署長が転勤するときには、
   当時で2000万円から3000万円の選別が
   地元の有力業者から贈られる。(p129)


  ・ヤクザは、その大半が、同和部落出身者かあるいは在日韓国・朝鮮人
   だといわれる。そういう差別された人たちが数多く住む大阪は、
   自然とヤクザが幅を利かす。彼らは、行政や経済に深く食い込み、
   事件の裏で暗躍してきた。(p133)


  ・会津小鉄会では、京都府の同和対策事業の工事費用をピンハネ
   していた。建設会社の受注金額の三パーセントを抜くことが、
   半ば習慣化されていた。そうしたカネがなければ、あれだけの
   大組織を維持できないのだろう。(p260)


▼引用は、この本からです。

反転―闇社会の守護神と呼ばれて
田中 森一
幻冬舎
売り上げランキング: 92
おすすめ度の平均: 4.5
5 考えさせられる本
3 バブル紳士たちの横顔
5 いわゆる国策捜査を表と裏から読み解く
5 虐げられた者への共感を基底に持つ作者のハードボイルド世界
5 「裏社会」と「表社会」は密接だった!

【私の評価】★★★★★(91点)


■著者紹介・・・田中 森一(たなか もりかず

 1943年生まれ。岡山大学在学中に司法試験に合格。
 1971年検事任官。大阪地検を経て、東京地検特捜部。
 撚糸工業組合連合会汚職、平和相互銀行不正融資事件などを担当。
 辣腕検事として名を上げ、1988年退官、弁護士事務所開設。
 2000年石橋産業事件をめぐる詐欺容疑で東京地検に起訴され、
 2008年2月上告棄却、懲役3年が確定する。

─────────────────

■関連書評■
a. 「国家の罠」佐藤 優、新潮社
【私の評価】★★★★★

b. 「警察裏物語」北芝 健、バジリコ
【私の評価】★★★★☆


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小泉官邸秘録
【私の評価】★★★★★(94点)


■小泉劇場、刺客、丸投げ・・・
 多くの名言を残した小泉元首相。
 その秘書官から小泉政治の裏側を解説した一冊です。


■こうして読んでみると、
 小泉改革の内容は、当たり前のことを
 当たり前にするということであったと思います。

 例えば、予算編成は財務省が行なうのではなく
 首相の方針の下に編成されるのが当然でしょう。

 ・諮問会議の「骨太の方針」は、この「概算要求基準」に先立って
  決定される。・・・重要なことは総理自身が主導し議長を務める諮問会議で
  決定し、それに従った予算編成を財務省が行なっていく、という、
  考えてみれば当たり前の仕組み、ルールを作ったのである。
  これは言ってしまえば簡単だが、霞が関(とそれにつながっている
  族議員や業界)にとっては驚天動地の大事だったのである。(p23)


■小泉改革がうまくいったのは、
 問題点を正しく把握していただけでなく、
 その対応策があり、そして、その対応策を実現するための
 諮問会議、人事などの方法論があったことだと感じました。


 ・昼は主に新聞を念頭に置いたカメラなしのぶら下がり取材とし、
  夕方はテレビで映像が流れることを念頭に置いたカメラ入りの
  ぶら下がり取材とした(p34)


■そして、最後は首相の命をかけた信念です。

 ・医療制度改革・・・先送りにしたいというのが党の強硬派の固い主張
  のようであったが、総理は「三割は断固やるぞ。下でどんな議論に
  なろうと最後は自分のところできちんとやるから」と言って全く
  揺らぐことはなかった。(p91)


■一瞬、政治家になりたくなってしまった一冊でした。

 しかし、当たり前のことを当たり前にすることが
 これほどの困難を伴う国家に未来はあるのだろうか?
 と疑問を持ちました。

 テレビではこうした内容が伝わらないことを不思議に思いながら、
 ★5つとします。

─────────────────

■この本で私が共感したところは次のとおりです。


 ・ときどき大臣が役所の人事に口出しをして大騒ぎになる、という話が
  新聞を賑わすことがある・・・大臣であっても長年の霞が関の人事慣行
  に口を出すことそれ自体が官僚機構の反発を招くのである。・・・
  総理は・・・昔から官僚機構が自らの組織利害のために人事や組織を
  壟断することを非常に嫌い、常に厳しい態度で臨んでいた。(p26)


 ・モンゴルやウズベキスタン、カザフスタンなど、総理就任直後から
  行きたいと思っていた国でも、結局訪問したのは退任直前の
  2006年夏である。(p38)


 ・「切られるところは反発するぞ。でもその方がいいんだ、反発がある
  方が分かりやすい。中曽根さんがそう言っていたよ」とも語っていた。
  (p59)


 ・特殊法人なんてひどいもんだ。隠れ借金の塊だ。
  こういうことをみんなに分かるようにしないといけないんだ。
  そうしたら深刻さが分かるぞ(p62)


 ・「無駄な部門を五兆円削って必要な部門に二兆円回す。
  これで三兆円を削減する。後の細かい手順・内容は君たちで
  考えてくれ」。翌日官邸に来た財務省の幹部に、総理はそう言い渡した。
  大げさではなく、予算編成の主導権が財務省から官邸に移った歴史的
  瞬間だ、と私は思った。(p67)


 ・防衛庁には、いわゆる背広組の内局と征服組の陸・海・空の自衛隊
  という異なる組織原理を有する複数のグループが存在し、なかなか
  考え方が一致しない。そのため、お互いに自分に有利な情報をリーク
  しようとする傾向がある。(p129)


 ・郵政民営化準備室の室長は、大事な人事だった。誰にするかによって
  作業が滞る可能性もある。総理の意図をよく理解している人物で、
  行政経験にも長け、中立的にてきぱきと整理していく人物でなれば
  ならない。また、各省の事務方に対し重みを感じさせる人物でなければ
  ならない。(p239)


▼引用は、この本からです。

小泉官邸秘録
小泉官邸秘録
posted with amazlet on 08.03.01
飯島 勲
日本経済新聞社 (2006/12)
売り上げランキング: 2505
おすすめ度の平均: 4.0
2 本当の秘録かと思ったが
2 まずいことは墓場までもっていくんだよね、多分
1 小泉政治を意味づける巧妙な仕掛けとしての一冊

【私の評価】★★★★★(94点)


■著者紹介・・・飯島 勲(いいじま いさお)

 1945年生まれ。小泉純一郎の初当選から議員秘書。
 小泉の内閣総理大臣在任中は、内閣総理大臣秘書官。

─────────────────

■関連書評■
a. 「構造改革の真実」竹中 平蔵、日本経済新聞社
【私の評価】★★★☆☆

b. 「国家の罠」佐藤 優、新潮社
【私の評価】★★★★★


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