「学校が教えない本当の日本史」伊勢雅臣
2020/11/10|

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【私の評価】★★★★★(96点)
内容と感想
■私が中学生の頃、歴史教科書の「日本軍の侵略」
という記述を、文部省が「進出」と修正させた
という報道がされたことがあります。
実はまったくの誤報だったのですが、
後日、国際問題にまでに発展し、
教科用図書検定基準には
「隣接諸国との友好親善に配慮する」
という条項が追記されました。
歴史を諸外国に配慮して書き換えるのは
一種の政治的プロパガンダなのですが、
自ら相手国の都合のよい歴史にしますよ、と
宣言しているのは面白い。
歴史工作としては最大の成果を出した
事例ではないでしょうか。
この本では日本の中学校の歴史教科書を
引用しながら、いかに隣接諸国との
友好に配慮した歴史の歪曲が書かれて
あるのか解説する内容となっています。
・共同体破壊のためのプロパガンダ・・・共同体の「根っこ」を攻撃する手口・・・「南京大虐殺」や「従軍慰安婦」なども、その事例です(p17)
■まずアイヌについては、教科書ではアメリカの
インディアンと同等の記載となっており、
国会でも「アイヌ民族を先住民族とすることを
求める決議」が採択されています。
しかし、インディアンのように保護区という
収容所にアイヌを強制移住させたわけでもなく
アイヌを虐殺したわけでもないのです。
・「アイヌの人々に農業を強制し、アイヌの文化を否定するもの」と断罪する記述には、驚かされます。・・・多くのアイヌは与えらえた土地を和人の入植者に貸して小作料をとっていました。「アイヌの文化を否定する」については、・・・近代化政策も同化政策も一緒くたにした議論です(p57)
■島原のキリシタン弾圧では、
重税に苦しむ農民がキリスト教徒となり、
善良なキリスト教が弾圧された。
そう信じている人も多いでしょう。
しかし、現在のキリスト教とは異なり
当時のキリスト教は他国を植民地とし
異教徒は奴隷にしていい。
同じキリスト教でも宗派が違うだけで
殺し合うような排他的で狂信的な
恐ろしい宗教だったのです。
・『中学歴史』の記述では・・・当時のキリスト教を「学校、病院、孤児院などを建設し、人々を救済した」善き存在として描いています。不思議なのは、欧州では新教徒と数百万人規模の壮絶な殺し合いをし、アメリカ大陸の古代文明を滅ぼし、フィリピンやマカオを植民地化したスペイン・ポルトガルがどうして日本でだけ善き存在になるのか・・(p118)
■沖縄でも沖縄の独立を目指す勢力が、
沖縄戦では集団自決を迫られた、
沖縄は見捨てられたという
プロパガンダが行われています。
しかし、沖縄戦は米軍から日本軍が
沖縄を守ったのであり、住民の疎開、
食糧調達に努力した記録があります。
・昭和19(1944)年7月7日夜、政府は沖縄県民の60歳以上と15歳未満の老婦女子を本土と台湾へ集団疎開させることを閣議決定しました・・・(p184)
■歴史教科書については、
日本という同胞感を持った共同体の根っこを
破壊しようとする共産主義勢力の
工作活動が浸透してしまっているようです。
相手はプロですので対応は難しく、
できることといえば自ら学ぶこと、
こうした本を読むことしかないのでしょう。
伊勢さん、
良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・『中学歴史』の記述は、信長は「封建的な」仏教勢力を抑え、「近代的な」キリスト教を保護した、と指摘したいようですが、これまでの本書の記述から史実は違うことがわかります。国内の和を乱す武装勢力を抑え、同時に日本侵略を狙うキリスト教勢力を排除しようとしたのです(p88)
・ポルトガルはアフリカ西海岸および沿岸諸国を次々と攻略していきましたが、そこでの特権は1455年、ローマ教皇ニコラウス5世の勅書によって認められていました。その勅書は、制服した土地の所有を認め、そこで法律をつくり、税金を課し・・・「非キリスト教徒を永久に奴隷状態におくことができる」(p80)
・島原を領有していた有馬晴信は・・・領内にあった40を超える神社や仏閣をすべて破壊し、領民2万人を入信させました。さらに浦上の地を、イエズス会の教会領として寄進しました。晴信は宣教師の求めに応じて、領民から少年少女を取り上げ、インド副王に奴隷として贈る、ということまでしています(p84)
・人間の平等を理想として掲げた共産主義が、例外なく共産党幹部がエリートとして一般民衆を政治的・経済的に搾取するという階級差別・搾取体制をつくったというのは、皮肉な歴史現象です・・・(p161)
・沖縄県の翁長雄志知事が次のようなスピーチをしました・・・米軍基地は、事件、自己、環境問題の温床となってきました。私たちの自己決定権や人権が顧みられることはありませんでした・・・「自己決定権」という言葉に要注意です。これは沖縄は日本人とは違った少数民族で、自ら自己決定権を持つ、という歴史観です・・・(p165)
・屋良朝苗氏は、かつて沖縄教職員会会長として祖国復帰運動を立ち上げ、琉球政府主席選挙では本土への早期復帰を訴えて、当選した人物です・・・喜屋武真栄氏が会長に就任した頃から沖縄教職員会が変わり始め・・名護で開催された教職員婦人部の会では・・・復帰は言わずに安保反対だけを言え」・・・「沖縄を日本革命の基地にしよう」という教職員会のポスターが貼られるようになりました(p206)
▼引用は、この本からです
伊勢雅臣、扶桑社
【私の評価】★★★★★(96点)
目次
序 章:共同体の「根っこ」への攻撃
第1章:辺境異民族征服史観
第2章:キリシタン迫害史観
第3章:階級搾取史観
第4章:沖縄被差別少数民族史観
著者紹介
伊勢雅臣(いせ まさおみ)・・・創刊23年のメールマガジン『国際派日本人養成講座』編集長。読者5万人。昭和28(1953)年東京生まれ。東京工業大学社会工学科卒。製造企業に就職。カリフォルニア大学バークレー校留学。工学修士、経営学修士(MBA)、経営学博士(Ph.D.)。社業のかたわら、私立大学の商学部・工学部で非常勤講師として「産業界の偉人伝」を講義し人気を呼ぶ。平成22(2010)年、ヨーロッパ子会社の社長。平成26(2014)年より3年間、アメリカ法人社長。
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