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【書評】「世界が称賛する日本の経営」伊勢 雅臣

2017/09/08公開 更新
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世界が称賛する日本の経営


【私の評価】★★★★☆(87点)


要約と感想レビュー


国家独立のために国を富ます

日本式経営とは、イメージとすれば新卒採用から終身雇用、年功序列という感じでしょうか。しかし、この本では、国家のために事業をするのだ、という経営者の気概に焦点を当てています。


特に明治維新から戦前までは日本という国家独立のために国を富ます必要があったのです。


例えば、豊田佐吉は晩年「これからは自動車工業だ」と数十億円に相当する金額を長男・喜一郎に与え、「わしは織機で国のためにつくした。お前は自動車をつくれ。自動車をつくって国のためにつくせ」と励まし、トヨタ自動車の創業を支援したのです。


また、北里柴三郎の「日本に伝染病研究所を設立したい」というの志に共感した福沢諭吉が地所・建物を提供すると、森村市左衛門は研究用器具費用として金一千円(現在なら一千万円相当)の寄付を申し出たという。


市左衛門は輸出奨励金を受け取らなかった・・先生(福沢諭吉)は常に自分(森村市左衛門)に向かってこう言われた。一国の独立は畢竟(ひっきょう)個人の独立にあるのだ。(p110)

信用を重んじる日本のビジネス

また、欧米での契約に基づく冷徹なグローバルビジネスの中で生き残ってきた日本企業に、学ぼうという動きもあります。信用を重んじる日本のビジネス慣習は独特なものです。多くの日本企業が海外で騙され、失敗してきたと思いますが、それ以上に成功している企業もあるのです。誠実な企業が最後は生き残るのです。


例えば、アラブ人は「日本人ほど騙しやすい連中はいない」と見てきたという。ところが、しばらくすると「札付き」という噂が立つと日本のすべての会社がその人を相手にしなくなった。長い時間が経ってみると、正直なアラブ商人は日本企業相手の取引を続けて金持ちになったという。


「浮利(投機的利益)を追わない」「国家民族のためになる事業しか手がけない」「信用を尊ぶ」といった住友家の伝統的な事業精神(p143)

商業と道徳とは一体

渋沢栄一は、商業と道徳とは一体だと考えていました。いかに商売で儲けても、道徳を欠いては、決して社会の中で永続できないとしていたのです。


人と物と情報のグローバル化は、紆余曲折はあると思いますが、今後も進んでいくのでしょう。そうした中で、日本という島国の誠実、正直といった価値観が世界に影響を与えていくとうれしいことです。


伊勢さん良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・韓国では俗に「三代続く店はない」と言われており、せいぜい創業80年ほどの会社がいくつかあるにすぎない。中国でも「世界最大の漢方薬メーカー」北京同仁堂が創業350年ほど、あとは中国茶、書道用具など百年以上の老舗が数件ある程度である(p33)


・自己を犠牲としても、国家将来のため、社会人類のために働くという覚悟は、事業を成す秘訣であると私は断言する(森村市左衛門)(p122)


・事業が成功するか失敗するかは、一にも人物、二にも人物、その首脳となる人物如何によって決まる。満腔の熱心さと誠実を捧げ、その事業と共にたおれる覚悟でかかる人であれば十分(安田善次郎)(p150)


・人の能力差は、あると言ってもせいぜい五倍。しかし意識の差は百倍もある。能力は磨いて上げるのは難しいが、意識は磨けば磨くほど上げられる(永守重信)(p23)


・よく調べずに買ったのは客の自己責任である・・『タルムード』の模範解答は「返金する必要なし」である・・ただし、これは客がキリスト教徒の場合であって、「相手がユダヤ人なら返金してあげなさい」とある・・同じユダヤ人同士なら「正直・信頼・助け合い」の「共同体原理」を教えている。一種のダブル・スタンダード(二重基準)である(p222)


世界が称賛する日本の経営
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伊勢 雅臣
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【私の評価】★★★★☆(87点)


目次


第1章 現代を生き抜く日本的経営
第2章 世界に挑んだ日本的経営
第3章 国を興した日本的経営
第4章 日本的経営の源流



著者経歴


伊勢雅臣(いせ まさおみ)・・・創刊23年のメールマガジン『国際派日本人養成講座』編集長。読者5万人。昭和28(1953)年東京生まれ。東京工業大学社会工学科卒。製造企業に就職。カリフォルニア大学バークレー校留学。工学修士、経営学修士(MBA)、経営学博士(Ph.D.)。社業のかたわら、私立大学の商学部・工学部で非常勤講師として「産業界の偉人伝」を講義し人気を呼ぶ。平成22(2010)年、ヨーロッパ子会社の社長。平成26(2014)年より3年間、アメリカ法人社長。


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