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「比較中学歴史教科書―国際派日本人を育てる」伊勢雅臣

2018/11/12公開 更新
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比較中学歴史教科書―国際派日本人を育てる


【私の評価】★★★★★(96点)


要約と感想レビュー

■「歴史教科書がひどい」という話を
 よくネットや雑誌で見ますが、
 それを具体的に示した一冊です。


 この本では東京書籍と育鵬社の
 中学歴史教科書を比較しています。


 平成28年度の採択シェアは
 東京書籍51.8%、
 育鵬社は6.3%。


 まず、東京書籍の残念な点は、
 中国、朝鮮の良い点は記載し、
 良くない点は記載しないということです。


・日本の奴婢は平安時代前期から中期にかけて事実上消滅していったが・・・朝鮮では近代まで「白丁」と呼ばれる賎民階級が存在し、職業は屠畜、食肉商、皮革業などに厳しく制限され、姓を持つこと、文字を知ること、公共の場所に出入りすることまで禁止された(p76)


■さらに驚くのは、東京書籍では
 韓国併合が韓国の植民地化と
 なっているということです。


 植民地のために金と人を出すような
 国がどこにあるのでしょうか。
 最低でも併合の事実と植民地化とする
 理由を記載すべきでしょう。


 また東京書籍では、日本軍が
 南京において一般人々をふくむ
 多数の中国人を殺害したと記載されています。


 東京書籍と育鵬社を比較することで
 そうした差異が浮かび上がるのです。


・【東書】【韓国の植民地化】・・・[p180]【育鵬】韓国併合・・[p192]・・・わずか25年で人口は1.7倍、米生産量はほぼ2倍、普通学校数に至っては8倍近い伸びである・・・日本政府の対韓投資は持ち出しであった(p165)


■私の教科書も東京書籍であったと
 記憶しています。


 こうした歴史教科書が存在したことが
 また一つの歴史となるのでしょう。


 伊勢雅臣さん
 良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・【東書】日露戦争での勝利によって、日本は列強としての国際的な地位を固めました。国民の中には、帝国主義国の一員になったという大国意識が生まれ、アジア諸国に対する優越感が高まりました・・[p179]という歴史認識の根拠は何なのか?・・明治大正期には多くの日本人がアジア各国の独立運動を支援している(p160)


・戦時プロパガンダ「南京事件」・・【東書】日本軍は、1937年末に首都の南京を占領し、 その過程で、女性や子どもなど一般の人々や 捕虜をふくむ多数の中国人を殺害しました・・・同じ東書でも平成13年版では「20万人ともいわれる捕虜や民間人を殺害し」と人数を記述していた・・・現実に邦人二百数十名が虐殺された通州事件は伏せられ、「南京事件」の20万人というプロパガンダが教科書にまで記載されていた。戦後の日本の歴史教育の歪みを示す端的な事例である(p186)


・【東書】1951年、吉田茂内閣はアメリカなど48か国とサンフランシスコ平和条約を結びました。しかし、東側陣営の国々や、日本が侵略したアジアの国々の多くとの間では講和が実現しませんでした・・・中国が参加しなかったのは、当時、国内内戦が続いており、さらには中国共産党は朝鮮戦争に参戦して国連軍と戦っていたからである・・インドが参加しなかったのは、平和条約の中に一部領土の割譲などの項目があり、他国と同様の名誉と自由が与えられてないから、という日本に同情的な立場からであった・・「日本が侵略した」フィリピン、ベトナム、ラオスは署名と批准を済ませており、インドネシアは署名はしたが批准はせず、そのかわりに五年後に個別の平和条約を結んでいる・・・日本の侵略を恨む国々が講和条約締結を拒否したと、史実を誤解する生徒も出てこよう(p213)


・紀元前四世紀頃に始まったのは「水田稲作」であり、縄文人たちは、その数千年前からイネを含めた耕作をしていたのである。これは土器に付着した炭化米の放射性炭素年代測定によって、今日では多くの研究者によって指示されている(p29)


・自由社版では「和の文化 縄文」と題した2ページもののコラムを、次の一節で結んでいる。1万年以上にわたる縄文時代の大きな特徴は、遺跡から戦争の武器が出土しないことです。三内丸山のような巨大遺跡からでさえ、動物を狩るための弓矢や槍はありましたが、武器は見つかりませんでした(p15)


・水稲農耕とともに朝鮮半島から伝わってきた武器は、先端は尖り、両側面には鋭い歯が研ぎ出されている。福岡県志摩町の新町遺跡では、大腿骨に後方斜め上から磨製石鏃が突き刺さった熟年男性の人骨が発見されていて、実際に人に向けて使われていたことが明らかだ(松本武彦『列島創世記』小学館)(p31)


・東書では「百済や伽耶(かや)地域(任耶)の国々と結んで」と、さも大和朝廷が半島の勢力争いの外部から介入していったように書いているが、育鵬では高句麗に攻められた「百済からの求めもあり」と、救援のための出兵であったことを書いている(p41)


・南北朝の動乱が終わって社会が安定化したことや、明、朝鮮との貿易によって、各地で産業が盛んになりました。農業では、二毛作が広がり、かんがい用の水車や、牛馬のふんや堆肥の肥料が使われるようになり、収穫が増えました[【東書】p82]・・逆に、戦乱の中でこのような戦国大名の施策が産業発展をもたらしたのである(p91)


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【私の評価】★★★★★(96点)



目次

序 章 歴史教科書の目標
第一章 独立国家・独立文明の建設
第二章 大御宝のための国づくり
第三章 植民地主義との戦い
第四章 共産主義との戦い


著者経歴

 伊勢雅臣(いせ まさおみ)・・・創刊23年のメールマガジン『国際派日本人養成講座』編集長。読者5万人。昭和28(1953)年東京生まれ。東京工業大学社会工学科卒。製造企業に就職。カリフォルニア大学バークレー校留学。工学修士、経営学修士(MBA)、経営学博士(Ph.D.)。社業のかたわら、私立大学の商学部・工学部で非常勤講師として「産業界の偉人伝」を講義し人気を呼ぶ。平成22(2010)年、ヨーロッパ子会社の社長。平成26(2014)年より3年間、アメリカ法人社長。


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